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首都圏出身50%超!早稲田佐賀から早大「逆上陸」


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・大隈老候生誕の地の系属校
・倍率1.4倍 合格には6割以上
東京早大系3校と佐賀の偏差値
・1千万円超でも「ワセダ」へ

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大隈老候生誕の地の系属校

佐賀県唐津市、唐津城の隣にある早稲田佐賀中学高校は早稲田大学の系属校です。

東京でいう早稲田実業や早稲田中学高校と同じ立場で、早大への推薦枠を入学定員の最大50%(約120人、各学部10人を限度)持っています。 

1882年(明治15年)、早稲田の前身である「東京専門学校」を創設した大隈重信の郷里・佐賀に中高一貫校が登場したのは、2010年(平成22年)でした。

かつては地方の学生がこぞってワセダを目指した時代が長く続きましたが、現在は首都圏の高校出身者が圧倒的多数を占めています。

地方出身者をワセダへという卒業生団体「稲門会」からのリクエストもあり、大隈老候の生誕地である佐賀に白羽の矢が立ったという背景があります。 

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早稲田佐賀過去3年の早大学部別推薦合格者数

学部24年23年22年
政治経済8710
767
教育10910
10910
社会科学9810
国際教養
1079
文化構想101010
101010
基礎理工548
創造理工512
先進理工214
人間科学101010
スポーツ101010
合計10692110

倍率1.4倍 合格には6割以上

1月上旬から中旬に中学入試は前哨戦である埼玉入試とともに、各地の学校が東京に試験会場を設け「首都圏入試」を行います。

早稲田佐賀も早大のキャンパスを会場に入試を実施。近年、志願者数、難易度ともに上昇傾向が続いています。 

24年度1月の首都圏入試は545人が受験し、合格は381人程度で実質倍率は1.43倍。九州を中心とした他会場での合格者数は24年度893人で、入学は136人(男子89人、女子47人)でした。

合格最低点は非公表ですが、受験者平均は例年170点前後(300点満点、国算各100点、理社各50点)。学校側は「180点から200点弱が合格の目安」と説明しています。

偏差値はこのところそれほど変わらず、24年の結果偏差値は四谷大塚でAライン(合格80%)偏差値が男子56、女子は58です区分で言えば「難関校」一歩手前の「上位校」レベルといえます。

次の入試、つまり年明けの25年度入試から算数の得点を1.2倍換算で判定します。

早大は文系の政治経済学部の一般入試でも数学を課しており、社会科学部も25年度から「必須」にするなど「数学重視」の姿勢です。

算数重視の姿勢は、早稲田佐賀だけでなく、早大側の要請も少なからずあると思われます。

東京早大系3校と佐賀の偏差値

 気になるのは東京や関東の出身者がどれくらい在籍しているかです。

24年4月時点で中学3学年で、23都道府県出身の394人が在籍。うち東京出身は136人で約34%、福岡の124人を上回り、実はトップです。 

地元佐賀は28人。神奈川29人、千葉19人、埼玉10人で、東京と合わせると首都圏だけで過半数以上の51.5%を占めています。

大隈老候の幼名にちなんでつけられた寮「八太郎館」には中高合わせて約700人が生活しています。

寮費は年間約107万円(1日3食付、1年目のみ入寮費別途15万円かかります。

4人1部屋の共同生活(高2からは個室)、スマホ禁止、寮に帰っても勉強時間が決められ、チューターらがそれを管理する体制で、寮以外でも校則は厳しめの学校です。

自分の思うようにいかない生活は「青春」を謳歌したい10代には少々窮屈になるかもしれません。 

敢えて遠く離れた佐賀で寮生活をしてまで早稲田佐賀に中学から進む背景の1つには、首都圏の早大付属・系属校の難易度の高さがあります

同じ四谷大塚での偏差値で見れば、早大に全員進学できる早大学院と、早大だけでなく24年度は東大にも現役で32人合格した早稲田中・高はそれぞれ偏差値66と65(四谷Aライン偏差値)、共学の早稲田実業は男子が64、女子68。佐賀のAライン偏差値ではこの3校ともCライン(50%偏差値)にも達しない、という状況です。 

入試難度という点を考えると「九州ルートから早大逆上陸」というのは、「どうしてもワセダ」という熱望組にはあり得る「選択肢」なのです。

概ね普段の学業成績、学校生活の態度などで早大推薦権を得られる早稲田佐賀ですが、英検2級必須、河合塾の全統一模試で偏差値60以上が目安といった「隠れ条件」も存在します。

加えて推薦の自己アピール用の動画を作成しプレゼンするなど、早大への道は越えなければならないハードルがいくつかあります。

1千万円超でも「ワセダ」へ

親御さんにとっては金銭面も気になります。

首都圏から佐賀で6年間過ごすことになるとすれば、学費と寮費に諸々の雑費を合わせてざっと1000万円以上は必要です。

早大への推薦も半数と考えれば、お金を出すだけで早稲田進学が手に入るわけではなく、近づくというだけで、やはり中学へ入っても勉強を頑張らなければならないのは変わりません。

それでも子息を、愛娘を「ワセダへ」という親御さんにとっては、経済的に耐えうるのなら「あり」なのです。 

早大だけでなく地元九州大や国公立医学部への進学者数もいる学校で、そのあたりの面倒見も良く「早大一辺倒」というわけではありません。

ただ同校が掲げる「早稲田佐賀VISION25」の5つの目標の筆頭は「系属校として推薦枠50%からの飛躍」です。

創立25周年となる2035年までに、早大への推薦枠をさらに拡大していく方針は明白。「九州ルート」は今後も注目です。


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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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