過去問はこう使う

中学受験 過去問への取り組み親の「3つの役目」


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タイムキーパーの肝は「観察」
過去問「採点と先生への橋渡し」
肝は「冷静であること」
・子どもの前で親は「演じる」

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タイムキーパーの肝は「観察」

「過去問の用意」「スケジュール管理」「答案の保管」――子どもが中学受験の過去問に取り組む場合、親御さんの「環境整備」は必須ですが、この3つは「基本レベル」の話です。

さらに親御さんには、過去問の取り組みに際し3つの「役割」があります。「タイムキーパー」「採点」「先生との橋渡し」です。

「タイムキーパー」は、試験時間の監督です。

子どもが決められた時間内でどこまでできるかを親御さんが計ります。ストップウォッチやキッチンタイマーなどで時間設定して計りますが、その際子どもの様子をさりげなく「観察」するのが肝になります。

「観察」によって、子どものクセ、思考回路、焦り具合などが見て取れ、改善すれば得点アップや時間の有効利用につながり、合格を引き寄せられるからです。

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問題を解くペースをはじめ、チェック項目は多数あります。

「問題をどういう順番で解いているのか」「答えが簡単に出ない問題に当たった時にどう対処しているのか」「国語の読解は素材文をどう読み(線引き、チェックなど)、解答記入へどのような流れでやっているのか」「理科社会の記号選択は、各選択肢を最後まで読み、解答の根拠に印をつけているか」…などを遠くからで良いので「観察」します。

試験時間は、短縮延長なしで。見直しを含め、与えられた時間をフルにどう使うかの練習です。

子ども自身が「50分の試験時間でできること、やらなければいけないこと」「30分では…」の体感をする経験を積み重ねて入試本番へと向かいます。

過去問「採点と先生への橋渡し」

「採点」も親御さんがします

受験生本人に、という方針の塾もありますが、必ずと言っていいほど「雑」な採点になります。

漢字の「トメ」「ハネ」や誤字、字が薄い、消し残しも注意です。機械で採点する場合は「×」になることもしばしばあるからです。

国語の記述、算数の途中式などは、親御さんが見て「仮」の得点を付けます。

その後は塾の先生にお願いし、チェックしてもらいます。採点基準、注意点を親御さんと生徒、先生で共有して、志望校合格に近づけます。

記述の採点のお願いも含めて、過去問を通じて子どもと先生との「橋渡し」をするのも親御さんの役目です。

すでに「デキる」親御さんは、過去問取り組み以前から先生との連携はできていますが、そうでない場合は、過去問採点を機に是非ともです。生徒が先生に質問するきっかけにもなります。

待っていても塾の先生から、各家庭にアプローチすることはありません。

決められた面談でしか接触がないのでは、高い塾代の「もと」は取れていません。

大手進学塾は親御さんが一歩踏み込んでナンボです。

肝は「冷静であること」

過去問への取り組みに親御さんの「存在」はかなり重要な位置を占めます。

親御さんが肝に銘じてほしいことは「冷静であること」です。

言葉で書くのは簡単ですが、100人中100人が、子どもの過去問の「悪い点数」を目の当たりにすると、「冷静ではいられない」状態になります。

「なんでこんな点数なの」「どうしてできないの」「試験中ボーッとしてない?」言いたいことが山ほど出てきます。

しかし、その言葉は「封印」です。

どんな子でも「親のひと言」は大きな影響を与えます。「叱責」に子どもは「怖い」とか「うるさい」とか思うだけで、実は何も子どもの心に届いていません。

矢印が自分に向かない子は怒鳴っても、罰を与えても「まったく効果なし」です。

むしろ「怒られないようにする」という自己防衛のために「やっているふりをして嵐が収まるのを待つ」「あらかじめ解答を覚えておいて点数を上げる」などの行動に出ます。

これは我が子の将来のためでもあると同時に「志望校合格へのプロジェクト」と捉えます。

大人の仕事では、プロジェクト成功のために現状での問題点、修正点を洗い出し、迅速に対処していくことが最優先です。

その時、一番邪魔なのが「怒りの感情」です。

自身の感情をぶつける前に、やるべきことの優先順位をつけ(欲張れないので1つか2つ)、それを実行すべく手を打つのが親御さんの役目です。

子どもの前で親は「演じる」

感情をぶつけず「問題点はわかりました。これから修正していきましょう。大丈夫、修正していけば間に合う。ただ、ここから動かなかったら、間に合わないよ」くらいのことを親御さんが言うと、子どもは意外と真剣に向き合います。

気持ちは穏やかでなくても、子どもの前で親御さんは「演じる」のです。

普段は反抗的な子どもでも、親御さんの冷静な言葉、雰囲気の違いに何かを感じます。

子どもと事前に「打合せ」しておくのも手です。

子どもから「言ってほしくない言葉」をあらかじめ聞いておき、口にしないと約束します。

親御さんがそれを言わざるを得ないときは、塾の先生や家庭教師など「第三者」にお願いしておきます(子どもには内緒です)。

親御さんが言っても何の効果もない言葉も、立場が違う人が口にすると効果的になることもよくあります。

「声がけ」1つで子どもは壊れもしますし、逆に真剣に自分見つめるきっかけにもなります

親子の「感情のもつれ」で貴重な時間はつぶしてはなりません。


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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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