親御さんの役割

中学受験 父親「緊急参戦」の功罪


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言う通りしなかったから4連敗?
父親緊急参戦 成功例もあるが…
「その子メソッド」に変形する
・厳しい言葉より「悠然と」

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言う通りしなかったから4連敗?

秋以降の模試での合格可能性はどれも20%。過去問の出来も…という状態の男子受験生がいました。

12月から小学校を休んで第1志望対策に時間を割き、埼玉、千葉の前受けもせず、2月1日を迎えました。

結果は第1志望不合格、その後4日まで受験4連敗。駆け込みで受けた中学校に繰り上げ合格しましたが、秋ごろから息子の勉強をマンツーマンでみてきた父親は納得しませんでした。

「俺の言った通りやらなかったからだ」

受験終了後も、事あるごとにそう繰り返し言う父親。3年後に高校受験でリベンジする、という計画を密かに練っている様子の父親ですが、息子がついていくかどうか、はなはだ疑問です。

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父親緊急参戦 成功例もあるが…

夏期講習でみっちり勉強したはずなのに、秋以降も偏差値が伸びず、しびれを切らした父親が中学受験に緊急参戦――というケースは毎年の「中学受験あるある」です。

「昔取った杵柄(きねづか)」とばかり、中学受験や大学受験で成功を収めたお父さんが「独自メソッド」を駆使して、厳しい状況を打破する、というパターンが典型的です。

傾向としては父親が選んだ市販の参考書を使ったり、自らテキストを作成したりと、「これをやれば合格できる」とばかり「特訓」を展開します。

お父さんの参戦は一概に悪い、とは言えません

子どもの状況を冷静に判断し、弱いところや欠けているところを伴走しながら克服していければ、12歳の子が独りでもがき苦しむよりは、はるかに効率的ですし、心強いです。

実際、塾では放置されがちだった成績の振るわない子を、お父さんの「テコ入れ」で「勉強の流れ」が改善し逆転合格したケースもあります。

少々の弱点には目をつぶって、得意科目をさらに伸ばし、気分をのせたまま第1志望合格をアシストしたお父さんもいます。

ただ、問題点もあります。

➀成功体験を子どもに当てはめようとする②冷静になれない、の2つがそれです。

「その子メソッド」に変形する

お父さんの「受験指導」は自身の成功体験が絶対と言っていいほど影響します。

「過去問に沿って傾向をつかみ、対策をきっちりやれば、逆転は可能だ。俺は模試の合格判定はE(合格可能性20%未満、志望校の再考が望ましい)だったが、目標を決めて苦手を克服して、合格した。努力すれば必ず合格する」。

中学受験に参戦する親御さんは、こういう体験談を話す人が結構います。中でも大学受験で「逆転勝ち」したお父さんは自分の経験則を子どもに当てはめがちです。

しかし、18歳の時の大学受験と12歳の時の中学受験は「似て異なるもの」です。

お父さんが子どもの現状、具体的にどこが「つまづき」の原因になっているかなどを考慮に入れず、「独自メソッド」を当てはめようとしても行き詰まり、最後はさじを投げて中途半端で終了というケースは枚挙にいとまがありません。

貴重な時間が無駄になっただけという最悪の展開になります。

親子といっても、それぞれ別の人間です。感性も違えば、興味、理解力もそれぞれです。

お父さんが成果を上げたメソッドも子どもにそのまま転用できるかどうかは分かりません。

もしお父さんが参戦するなら、独自メソッドを「その子メソッド」に変形できる柔軟性が必要です。

厳しい言葉より「悠然と」

仕事では冷静な判断ができるお父さんも、我が子のこととなると「熱くなる」場面が多々あります。

一生懸命教えているのに結果が伴わないと「どうしてこんなことが分からないんだ」「この前やっただろ?なんで同じ間違いをするんだ!」などと、言葉がつい感情的になりがちです。

叱咤激励のつもりの厳しい言葉も子どもには響きません

これらの言葉は親の苛立ちをただぶつけているだけだからです。

萎縮、もしくは反抗さえすれど、やる気に火は付きません。

「悔しいくないのか」という言葉も令和の子どもには起爆剤にはなりにくく、スルーされるのが落ちです。

ドライになって「我が子であること」を完全に忘れることもできません。

それでも中学受験という「プロジェクト」を成功に導くためには…という視点で家族の中で一番客観的になって、刻々と変わる局面に最善の判断で対処できるようにしておくのが、父親の最大の役目です。

2月1日まで4カ月。父親が「悠然と」構えているだけで子どもは精神的に落ち着きま

心の「揺れ」を最小限にして、入試で力を100%発揮するには、これが一番です。


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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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