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中学受験 知らないじゃ済まない社会「採点基準」


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第1志望合格の近道は理社にあり
社会解答は漢字が「暗黙の了解」
「豊とみ秀吉」は〇か✖か
・1点くらい…が「命取り」

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第1志望合格の近道は理社にあり

4教科受験の場合、理科や社会の得点のウエートはそう高くありません。

均等配点(4教科とも100点満点ずつなど)の中学は少数派で、国語、算数の6割や半分などの傾斜配点の学校が多いです。

入試といえば国算重視という見方が強いのですが、第1志望校合格を勝ち取る子の「典型的」なパターンの1つとして「理社が安定している」というのが挙げられます。

「やってみなければ分からない」要素が強い国語、算数に比べ、余程傾向が変わらない限り理社は入試で「実力通り」の点数になります。

理社が強いと、国算の「想定外の失点」をカバーして、さらに「おつり」(さらなる得点上乗せ)が出る場合もあります。

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理社が強いと「身を助ける」のです。

社会解答は漢字が「暗黙の了解」

入試社会の採点基準で一番気になるのが「解答は漢字で書くべきかどうか」です。

多くの進学塾では、テキストに漢字表記されているものは漢字で解答する、と指導しています。

塾内のテストでも「漢字で答えなさい」という設問に、1文字でもひらがなが入ったら✖となり「無得点」です。

日能研系の出版社「みくに出版」が発行している「進学レーダー」11月号には、約140校にアンケートを取った各教科の採点基準が掲載されています。

社会では「人名、地名、出来事などの解答に漢字指定をしたか」の質問に、「指定しなかった」は5.7%。「すべての問題で指定した」34.1%、「一部の問題で指定した」56.8%で9割を超えています

年々「指定しなかった」が減り、「すべての問題で指定した」が増えている傾向です。

「指定しなかった」場合でも、ひらがなでも正解なのでしょうか。

「小学校で習う常用漢字または小学校の社会科の教科書に漢字で記載されているもの」(明大明治)というのが、多くの中学の基本スタンスです。

漢字指定はもちろん、指定されていなくても「社会は漢字で解答」が中学入試の社会では「暗黙の了解」です。

「学校で習っていないから」という言い訳は、中学入試では通用しません。

「豊とみ秀吉」は〇か✖か

子どもにとって解答の漢字指定は実は結構プレッシャーがかかります。

答えが「とよとみひでよし」と分かっていながら「豊臣秀吉」ときっちり書けなければ得点にならないからです。

「豊“富”秀吉」など、漢字指定の問題で一部漢字が間違っていた場合、81.4%の中学が「不正解」になります。

「減点」は12.9%で「配点2点なら1点減点、配点1点なら✖」(十文字)、「論述の場合においてキーワードの間違いは減点」(江戸川女子)など、一問一答形式でも論述でも漢字のミスをしてしまうと、分かっていてもその部分は減点対象になると思っていた方が誤解がありません。

「豊とみ秀吉」と一部をひらがなやカタカナで書いた場合は、88.6%が「不正解」で、8.6%が「減点」と回答しています。

「明らかにほとんどの受験生が正しく書けないであろう漢字を含む用語は出題しないようにしている(暁星)というのが、大半の中学の出題方針です。

ということは、出題されたものは「漢字で書ける」と学校側は見ています。

甘えずに「社会の用語、人名、出来事は漢字で書かないと点にならない」を徹底します。

「漢字指定なしの問題で、漢字が間違っていた場合」は考え方が分かれました。

「不正解」は46.3%で、「減点」は20.9%、「減点しなかった」は13.4%という回答でした。

漢字が原則の社会の解答形式で、分からない、自信のない漢字をひらかななどで「逃げて」うまく切り抜けられるかどうかは、中学校の考え方次第ですが、リスクは高いでしょう。

1点くらい…が「命取り」

社会の小問の配点は記述を除いて大半が1点、2点です。漢字のミスなどで1点くらい失っても、算数で一気に5点とか、国語の記述で大量点――、という考えの受験生や親御さんもいます。

しかし、入試はこの1点ずつの積み重ねが最後にものを言います

社会の受験者平均と合格者平均は5点と変わらないことが多く、多くは6割から7割の得点です。出題内容、問題の難易度から見て、まだ10点は上乗せできるはずです。

社会で10点プラスは、算数の2問分の得点になります。

算数は一朝一夕に得点増とはなりませんが、社会は地道な積み重ねでそれが可能です。

「社会は追い込みがきく」とは受験の世界で昭和のころから言われている言葉です。

これは1からやっても間に合う、というのではなく「細かい点を見直せば、得点力がアップしやすい」というのが本当の意味です。

中学受験で言えば、それが「漢字での解答」でしょう。

これまでの小テスト、模試を見直して書けていないもの、自信のないものは書けるようにしておきます

どこかの入試で「やってて良かった」という場面が必ず訪れます。

「漢字で答えなさい」の1問に正解するかどうかで合否が決まります。


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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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