中高一貫校の実情

中学受験 気になる「繰り上げ合格」事情


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情報ほとんどなし「繰り上げ合格」
27と0 保証なしの繰り上げ合格
熱意が大事「条件付き」合格
・「絶望」というわけでもない

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情報ほとんどなし「繰り上げ合格」

昨今の中学受験の合格発表は「試験日即発表」というケースが7割近くを占めます。

午後入試でさえ、日付が変わる1,2時間前にはなりますが合否の結果が出る時代。

合格発表をいちいち学校へ見に行かなくても、インターネット上に表示されます。

3年間一生懸命勉強した結果が「ポチッ」と1クリックしただけで…なんともあっけないものです。

合格ならばその時点でめでたく「受験終了」となりますが、残念だった場合、次の一手=あらかじめ出願しておいた試験日程に進むか、その時点で合格している学校へ進学するかの選択を迫られます。

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一方で親御さんの頭の中には「繰り上げ合格の可能性はないのか?」という一縷の望みを託した思いがよぎります。

親御さんにとって、繰り上げ合格はとても関心のある「項目」なのですが、正確な情報がなかなか出回りません。

中学校側が「舞台裏」で進める作業だからです。

新学期に入って公式に発表される各校の入試結果にも繰り上げ合格が反映されたものが少なく、一斉発表した際の「正規合格」のみの数字が出るのが普通です。

27と0 保証なしの繰り上げ合格

繰り上げ合格は大別して、「補欠合格候補者」などとして合格発表とともに受験番号が示される場合と、非公表で正規の合格者では入学定員に達しない際に「学校独自の基準」で受験生の親御さんへ直接連絡する場合の2パターンがあります。

補欠候補者、いわゆる繰り上げ合格の可能性がある受験生を発表する学校の1つとして、女子御三家の一角、桜蔭が挙げられます。

毎年、入試結果によって順番が付けられ、入学手続き(入学金の支払い)で定員に満たなかった場合、電話連絡によって「合格」を伝えます。

「定員に満たなかった場合」という条件があるため、補欠合格者が必ずしも繰り上がるとは限りません。

22年度入試までの過去4年の桜蔭の繰り上げ合格状況を見ると、22年度は候補者29人に対し、27人が繰り上げ合格しましたが、21年度は33人候補者がいながら繰り上げ合格は0でした。

20年は30人いて10人、19年は32人いて15人の繰り上げでした。

年によって大きく違うので「必ず」とか「高い確率で」と言えるほど保証がないのが現状です。

補欠合格者の存在を情報開示している学校は、慶應義塾中等部、同普通部、日大二、法政大中など少数派です。

しかも補欠の人数は出しても、その後繰り上げ合格した具体的な人数を出すところはさらに少なくなり、これが繰り上げ合格の「実情」が伝わらない一因となっています。

先の桜蔭も24,23年度とも補欠合格者を30人ずつ出していますが、繰り上げ数を発表していません。

熱意が大事「条件付き」合格

「熱意」で繰り上げ合格の可能性を高めることはできます

「熱意」とはこの学校にどうしても入りたい、この学校でどうしても学びたいことを示すこと、具体的には「複数回受験」です。

豊島岡女子学園は補欠合格者の人数を開示していますが、繰り上げ合格を出す際に同校が「第1志望」で「複数回受験」した子が優先されるとしています。

この2つの条件に入試の得点の高い順から決まっていきます。

24年度は3回の入試で補欠計44人を出し、繰り上げ合格は19人でした。

補欠の数は1回目から順に21、12、11人で、繰り上げは同5、6、8人でした。

補欠合格が回を追うごとに少なくなりますが、それに反比例して繰り上げ合格が多くなっています。

3回目の入試で最多の人数が繰り上がっている背景には、3回の入試機会すべて豊島岡にトライした「熱意」が認められたと解釈しても良いでしょう。

神奈川のサレジオ学院はA、B2回の入試がありますが、22年度の場合、1回目のA入試から繰り上げ合格は1人のみ。ところが、2回目のB入試からは38人に達しました。

複数回受験の優遇措置によるものと考えられます。

このほかにも2科目受験より4科受験の方からとか、逆に国語・算数の点数の良い方からなどの「条件付き」があります。

万が一の不合格に備える、というわけではありませんが、どうしても進学したい学校は入試で1点でも多く獲り、ダメだったら再度トライする「熱い気持ち」が奏功する場合もあります。

「絶望」というわけでもない

公表していない学校が多いため、繰り上げの実態はよく分かっていませんが、先ほどの桜蔭や豊島岡の例もあるように男女御三家や難関校、人気校も繰り上げ合格者を出しています

開成では24年度で30人程度、明大中野や学習院中等科では約20人、吉祥女子で20人超、普連土学園も15人程度の「敗者復活」が起きています。

大手塾の合格者実績を2月に毎日定点観測していると、日を追うごとに合格者数が増えていきます。

これが繰り上げ合格とみられ、すべてではありませんが、大体の数が把握できます。

数は決して多くありませんが、合格発表当日「志望校不合格=絶望」というわけでもなさそうです。

「ある日、突然」があるかもしれません。


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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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