◆中学受験の窓口 今日のメニュー
・塾のクラスアップが難しい理由
・エンジンがかからないのはなぜ?
・小テストで高得点を続ける意味
・「子どもの現状把握」がミッション
中学受験の進学塾は多くが成績順によるクラス編成をしています。
入塾時は下位クラスでも「塾に入れば自然と、いずれ成績は上がっていくはず」と漠然と思っている親御さんは驚くほど多くいます。
確かに入塾時に下位クラスだった子が受験時にトップクラスまで上がり、志望校合格を果たすことはそれほど珍しくありません。
ただ下位クラススタートの子が通塾していれば「自然に」「いずれ」というほど、クラスアップは甘くありません。
トップのクラスと下位クラスでは同じテキストを使っていても、授業レベル、スピード、活気、扱う問題の数など、全てが違います。
トップのクラスは問題の「処理能力」が早い子が多く、自然と授業のスピードも上がります。
扱う問題の数も自ずと多くなり、発展問題、難易度の高いものにもトライし、力を付けます。
一方で下位クラスでは基本中の基本をやるのが精いっぱい。
残ったものを家庭学習でやろうにも、宿題を自力でやるための「基礎力」が備わっていないため、課題を消化するのに骨が折れます。
月に1度の「月例テスト」などでクラスアップのチャンスはありますが、出題される問題は「トップクラス仕様」です。
そうしないとトップクラスの子は高得点ばかりで、偏差値のヤマがいびつになり、クラス編成が難しくなるからです。
下位の子には歯が立たない問題ばかり。
点数は振るわず、クラスアップのチャンスをなかなか生かせず、いつのまにか下位クラスが「定位置」になります。
そんなことを繰り返しているうちに、勉強自体に興味が持てなくなります。面白みも感じなくなります。
加えて、周囲を見渡せば自分と同じ下位クラスの子も現状に「どっぷり浸っている」雰囲気。
「自分だけじゃないかも」とホッとしてしまい、そこから抜け出してやろうという強い気持ちはなかなか芽生えてきません。
下位クラスから抜け出せないのはこの「ぬるま湯温泉」のような心地よさが根本にあります。
このサイクルが繰り返されれば、6年生の終盤になってもエンジンが冷え切った状態で、なかなか「全開」とはなりません。
入試本番が近づいて、いざエンジンをかけようかと思っても、その頃はすでに「整備不良」「錆びついている」(基礎力がないので先に進まない、何を教えても暗記レベルが精いっぱいで合格につながる思考するというレベルに至らない)状態です。
特訓授業に参加しようが、家庭教師に依頼しようが「どうにもならない」ケースがほとんど、と言っても過言ではありません。
親御さんが叱咤激励、発破をかけても、子どもはどう応えていいかもわからず、イライラして口喧嘩ばかり。
当初思い描いていた中学受験とは程遠い景色、結果へとなります。
スタートは中下位クラスでは上位クラスへの「昇格」は夢なのか…。
クラスアップの肝は「次の授業までの1週間」にあります。
入塾直後の、授業内容が簡単なうちから、毎回の授業の復習を1週間後の授業までに行います。
具体的には子ども自身で解答を出せる勉強=「アウトプット」ができる数、内容を1つでも多く増やします。
アウトプットの最高の実戦の場は塾の授業前に行う小テストです。
国語なら漢字、算数なら計算、理社は一問一答式を完璧にする。それが「初めの一歩」です。
小テストでの高得点をとることを「当たり前」=「勉強習慣」にします。
得点も大切ですが、それ以上に高得点を続ける意味は「目に見える結果を出し続け自信を積み重ねる」ことです。
テストでの高得点は勉強の「潤滑油」になります。
潤滑油が機能すると、勉強のペースが上がり、1つのことから派生してさまざまなものを学ぶ「深さ」も出てきます。
こうして復習だけでなく、授業で手つかずの問題の中でも「できるもの」「ちょっとしたヒントで手が出るもの」まで、家庭学習範囲を広げることも可能になります。
上のクラスとの「ギャップ」をこれで徐々に埋め、月例テストで「勝負」です。
上位クラス昇格が現実的なものとなってきます。
復習をきっちり、と言うのは簡単ですが、小学生が毎週実践するのはなかなか大変です。
そのために親御さんが「伴走」します。
勉強を教えるというより「我が子の現状把握」です。
我が子が何ができて、どこでつまずいているのかを知り、必要ならば塾の先生とも連携を取って、勉強が「軌道に乗っている」状態をキープするのが親御さんのミッションです。
「我が子の現状把握」をし塾側と共有することで、子どもの勉強の「見える化」ができます。
点数だけを見て無暗に怒りをぶつけたり、焦って個別指導や家庭教師に依頼したり、市販の問題集をやらせるなどの悪循環に陥ることが避けられます。
遅れを取り戻そうとして「一気に」「短期間で」は必ずと言っていいほど失敗します。
焦らず、できることから始めることがポイント。4年生、5年生は今からでも遅くはないです。