親御さんの役割

中学受験「ちんぷんかんぷん」から脱出への第一歩


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・通塾しても効果のない子 

「抜け出す」発想は小学生には至難
・ 成績低迷なら「別ルート」も
・ 基礎、考える習慣、勉強体力

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通塾しても効果のない子

なぜ中学受験をするのかピンとこない状態で、親に勉強しなさいとだけ言われている

成績、偏差値が「低迷」しているケースで一番多いのがこのパターンです。 

とりあえず親御さんの言う通り進学塾へ行ってはいますが、本人の正直な感想は「どうしてここにいるのかな?」です。

塾で勉強して、できることには多少の楽しさを感じますが、前向きな姿勢ではないため、自分の理解を超えた内容については「難しくてわかんない」。

それ以上考えようとせず、興味も湧いてきません。  

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率直なところ、このタイプの子は自分で気がつかない限り大手進学塾へ通塾していても効果はほとんどありません

「抜け出す」発想は小学生には至難

親御さんからは「周りの子も中学受験をしようと頑張っているし、刺激を受けるのでは?」と反論されそうです。

しかし、成績が低迷している子と同じクラスの子は同様に「どうして中学受験なんてするの?」と思っている子です。

つまり「同類」です。 

同じようにできない仲間がいれば、自分だけじゃないと安心し、そこから「抜け出す」という発想を小学生に期待するのは難しいです。

授業中も下位クラスは落ち着きがなくわちゃわちゃ状態かお通夜のようにシーンとしているかのどちらかです。

前者の場合、子どもは半分遊びに来ている感覚で、親御さんには「塾は楽しい」と言います。

肝は「授業が楽しい」ではないところです。

成績が芳しくない子どもの「塾は楽しい」が危険なのは、決して「授業が楽しい」と言っていないところです。

「同類」からは強い刺激は受けません。むしろ、そこから突出することを恐れるかもしれません「仲間」ではなくなるからです。

同類の仲間が、一念発起して出て行こうとする子にちょっかいを出したり、中にはいじめのターゲットにしたりと「邪魔」さえします

成長して「いつまでもこんなところにいられない」と気がつく場合もありますが、それはいつになるか…。

気がつかないまま、中学受家が終わる可能性も十分あります。

成績低迷なら「別ルート」も

塾での勉強が「ちんぷんかんぷん」では、各科目に興味の湧きようもありません。

進学塾のテキストは偏差値で言うと「60」以上の子を想定して作成されています。

サピックスやグノーブルなどの「御三家・上位校」狙いの塾では、さらに高いレベルの子が「飽きない」ような内容で構成されています。

そうなると、成績低迷の受験生にとっては「スペックオーバー」状態。通塾しても好転の気配がないなら「別ルート」を模索するのも1つの手です。

偏差値20台とか30台の子は大手進学塾で「みんなと一緒」の授業より、子どものレベルに合わせて焦らずじっくり、内容をカスタマイズしてくれる、地元の個人経営の塾や家庭教師の先生を見つける方が得策です。

その際、先生に「お任せ」ではなく、親御さんと先生がきちんと話をして「目指すところ」を共通認識として共有することが必須です。

基礎、考える習慣、勉強体力

一方で可能ならば、偏差値40前半レベルまでの場合は、親御さんが伴走して「親塾」の方が一定期間は良いかもしれません

個別塾や家庭教師と「1から」となると、時間もお金もとんでもないことになります。

基本的な計算や漢字、読解、理科社会の知識をある程度つくまで親御さんが面倒を見て、その先は塾や家庭教師にバトンを渡します

具体的な親塾のやり方の一例です。

問題が10問あるとしたら、7~8問正解のレベルの勉強を続けます。

例えば5年生なのにレベルは小3でも構いません。

現状がそうなのですからしっかり現実を見つめます。

「遅れている」ことを認めるのは嫌かもしれませんが、基礎がないのに建物を組み立てても壊れるだけです。

大切なのは残りの2~3割。ここに少し考えたり、考え方を発展させればできる問題を入れて、親御さんと一緒に取り組みます。

中学受験に必要な「考える習慣」「思考習慣」を少しずつ意識してもらうことがミソです。

正解不正解はしばらく全く問いません。

少しずつ「考える習慣」「目の付け所が分かれば解けるという実感」を積み重ねることが興味の第一歩だからです。

同時に中学受験レベルの問題に挑戦できる「勉強体力」をつけます。

一定の時間、一定の勉強量は中学受験では必要です。

「基礎」「考える習慣」「勉強体力」の3点が揃えば、中学受験の土俵に上れます

これが「親塾」の目的です。


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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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