◆中学受験の窓口 今日のメニュー
・「テキトー」と「キッチリ」の差
・成績上昇の気配が感じられない
・基礎トレ完璧、消しゴムNG
・算数が面白いという「景色」
算数の偏差値50以下の子はこの基本問題を「テキトー」に扱う傾向があります。
宿題でもテスト直しでも、丸付けをしたらそれでおしまい。親御さんに復習するよう促されても、間違えた問題の解答の数字を「写すだけ」という流れに終始します。
偏差値60台中盤から後半の生徒は、間違えた場合でも放置せず、「キッチリ」納得がいくまで解き直します。
さらに自力で正解に至るところまでやり込みます。
間違えたことをきっかけにして、できないを「糧」に変えてしまいます。
この「テキトー」か「キッチリ」かの差が、そのまま偏差値や点数として表れます。
年月が経過すればするほど差は広がる一方で、テキトーにやっていた子が6年生後半の時期に追い上げようとしても、もう手遅れとなってしまうのです。
算数以外の他の科目でも「テキトー」感が抜けないのが、偏差値30~40台の子の学習姿勢です。
塾の宿題は指定されたところを「テキトー」にやり、小テストも不合格にならない程度の「ほどほど」の点数でよしとしているので、テストで間違えてもそれほど悔しくもなければ、気にもならない子が多い傾向です。
親御さんがイライラして、檄を飛ばして勉強するよう促しても根本がそれですから反抗するか、柳に風のいずれかで、成績は一向に上昇する気配が感じられません。
この状態からの脱却は「自分で気がつく」か「同類」だった塾の友人らが、入試が近づくにつれて真剣モードになって行く姿を見てハッとする、というケースが挙げげられます。
ただ、それがいつになのか分からないのがもどかしいところです。
算数を苦手としている子が本気で取り組み始めたからといって、すぐに結果が出ることはほとんどありません。
できるようになるまでのたどる「道順」があります。
塾の授業についていくのが厳しい場合、まずは家庭学習で復習(アウトプット)の時間を確保し、時間をかけてついていけるようにします。
家庭学習は親御さん伴走の下、各塾で配布される計算や一行問題が集まった「基礎力トレーニング」(名称は塾でそれぞれ)を丁寧に取り組むことを徹底します。
目標は全問正解。最初は時間を意識せず「正確にやり切ること」を一番の目標にします。
全問正解が「当たり前」になると、算数の正解率は格段に上がります。
「基礎トレ」の完成度が完璧になると、模試や塾内実力テストで正答率が5割を超える問題を確実に仕留められるようになります。
これだけで偏差値55程度に到達します。
次にミス対策。ミスをしたら必ず「原因究明」をします。
テキスト(コピーしたものがベスト、何度も使うため本体は書き込まない)に、間違えた「あと」を残し(消しゴムで消さない)、言葉で「繰り上げのミス」「掛け算が間違い」など、原因を書き込みます。
受験生それぞれで「ミスの傾向」が見えてきます。
そこを再度意識しながらやり直すことで、本人も自分の「傾向」を意識するようになります。
自分の間違いの傾向を知っていれば、文章題をやる時も注意するようになります。
本人が問題を解きながら注意するか、しないかの差は成績にはっきり表れます。
しっかりとした基礎力がついてくると、量もスピードも「ステージ」が上がり、算数の「思考体力」がつきます(それでも「スピード」は二の次。あくまで「正確さ」を追求します)。
「思考体力」がついてから、ようやく応用・発展問題で勝負になる段階になります。
良問をたくさん解いて「経験」を積み、算数の「引き出し」「道具」を増やします。
算数の「引き出し」の多さ、「道具」の適切な使い方が応用・発展問題を解くカギになるからです。
加えて思考体力がつくと、問題に対する「嗅覚」も発達します。
何を先に解けば得点になり、これに時間をかけるとハマる――最終的にこのような「嗅覚」が働くようになると、算数という教科が取り組んでいて「面白い」に変わっていきます。
算数が面白いという「景色」を一度見ると、子どもは必ず次の新しい「景色」が見たくなります。
この流れになると占めたものです。
算数は積み上げ教科。その子独自のミスの傾向を潰しながら基礎力を養成し、問題を解くための「思考体力」がつき、考えること自体が「面白い」という順番を経て成績が上がります。
算数は焦らず、足もとから固めます。