早稲田
◆中学受験の窓口 今日のメニュー
・親御さんが気になる「指定校」
・中堅、一般校は早慶上理「完売」
・人気の早慶でも枠が余る?
・「出口」を想定しての中学受験
私立の中高一貫校へ進学した家庭の視線の先には、大多数の場合「大学」があります。
大学進学といえば、各大学が課す入学試験を経る「一般受験」が当たり前だった20世紀から、21世紀になって徐々に「推薦入学」が浸透しました。
現在では「学校推薦型選抜」(2020年まで指定校、公募などの推薦入試と呼ばれていたもの)や「総合型選抜」(旧AO入試)が半数を超えるまでになりました。
私立の中高一貫校もこの波に「乗っている」状態です。
特に偏差値(ここでは四谷大塚Aライン=合格可能性80%の偏差値)で50前後から40台を中心に「学校推薦」「総合型」を使って「年内決定」が主流です。
中学受験を考え、受験校を選定する時に大学合格実績とともに「どんな大学の推薦枠があるか」は親御さんの注目する項目の1つです。
国公立大は別として、私大の指定校として人気なのがいわゆる「早稲田・慶應義塾」の難関私大ツートップです。
これに上智と東京理科大を加え「早慶上理」といわれ私大難関校とされます。
理科大は一定の人気を保っているものの、上智に関しては看板の外国語学部にしても最近は人気がやや下降線をたどっています。
中学入試を行っている1都3県の高校約300校で、この4大学いずれか1校の推薦枠を持っている学校の割合は32%、2校が24%、3校が26%、4校すべてが18%(23年度調べ)でした。
1大学の中高一貫校は大半が上智あるいは理科大のパターンで、2校の場合は組み合わせがそれぞれ。3校の場合は早慶に理科大が加わるケースが多かったのが特徴です。
中堅校、一般校の場合はこの4大学なら毎年ほぼ「完売」です。
校内の成績評定平均4.0以上や外部模試の結果、英検の取得状況などさまざまな条件を課されることが多く、高いハードルです。
推薦枠は大抵1枠。多くて3枠程度なので、校内成績が優秀な子が即座に手を上げます。
偏差値55以上の上位校、60以上の難関校でも早慶は人気ですが、最近は少し傾向が変わってきました。
かつては早稲田や慶應といった「ブランド」重視で大学を選ぶ傾向にありましたが、最近は「進みたい学部学科があるかどうか」が生徒の選択基準になっています。
慶應の法学部の推薦枠があっても、進みたい学部が商学部なら一般受験でチャレンジ、理科大志望で物理を先行したいのなら、化学系の枠があっても見送る、といった具合です。
推薦枠が余る背景には、大学名だけで選んで「ミスマッチ」という事例も散見されており、そういう情報が先輩経由などで伝わると、おいそれと選べない事情があります。
それなら他の生徒が、となるような気もしますが、求められる評定が高すぎたり、中には「特進クラスは一般受験、推薦は普通クラスのみ」という中高一貫校によくみられる「特別ルール」でエントリーできない子もいるなど、事情は複雑です。
そのため上位校、難関校では早慶でも「枠が埋まらない」年があります。
その状態が数年続いたりすると推薦枠自体もらえなくなるケースも出てきます。
大学進学の全体像からすれば推薦で年内に進学先決定、という流れが主流ですが、首都圏の中高一貫校の主流は「一般受験で難関国公立、医学部、私大難関校」へというものです。
推薦で進学するにしても、東大をはじめ国公立大に自分の中高時代のやってきたことをアピールする「総合型」でのケースで、多くが大学入学共通テストを受け、その結果も合否に関係します。
面接や簡単な小論文程度では合格できず、それなりに勉強しなければなりません。
中学受験という目の前の大きな山を乗り越えられる稼働も定かでない親子に、「山の向こう側」を想像するのは難しいかもしれません。
しかし、学校説明会の際に先生方に「大学進学の概況」(一般受験組と推薦組の比率や学校側の方針、施策)を尋ねるのは、とても良い質問です。
「そんなことは入ってから考えれば…」かもしれませんが、「出口」をある程度想定することも中学受験の大切なポイントです。