◆中学受験の窓口 今日のメニュー
・「効果実感」の子と「効果薄」の子
・「光を見いだせない」20日間
・上位と下位のモチベーション
・講習前の「準備」で流れをつくる
6年生の夏期講習は残酷です。
「効果を実感できる子」と「効果があまり感じられない子」が明確に分かれるからです。
まず、難関校を目指す生徒の中で「勝負になっている子」(模試等で志望校への合格可能性が40%以上の子)は、4年・5年で積み上げてきた基礎をベースに、講習期間中に数多くの演習を繰り返しながら「弱点の洗い出し」ができます。
その課題を9月に本格的スタートを迎える「志望校特訓」で再び向き合って入試本番までに「自力解答力」をつけます
基礎力がある程度固まっている子にとって夏期講習は「できることの確認」と「次に取り組むべき課題」の発見となり、確実に志望校への合格力を高めていきます。
一方、偏差値が50を下回る子にとっては同じ「演習中心」の夏期講習は過酷なだけでなく、「光を見いだせない」20日間になってしまう可能性があります。
夏期講習のテキストは、基本を確認する演習問題も多く含まれますが、「受験生がつまずきやすい」問題や、複数の基本を組み合わせて解答を導く「発展問題」が充実しています。
「自力で前へ進める子」にとっては効果満点のテキストですが、基礎がおぼつかない子には「消化不良」を起こす原因になります。
実際、月例テストや模試で偏差値が40台、あるいは50前後をうろうろしている生徒は、夏期講習の演習においても「今、何をやっているのか分からない」という状態になってしまうことが少なくありません。
もちろん、塾側もクラスをレベル別に編成し、中下位クラスは基礎演習を中心に据えた授業を展開します。「
子どもたちの「手が届く問題」(正解率が高い問題)を確実に得点に変えられるように指導することでしょう。
それでも太刀打ちできない問題の量が多いと「できるようになった!」という実感が持てないまま講習が終わります。
こうなると秋以降の学習で成績の伸びが期待できず、「光を見いだせない」状態のまま入試本番になってしまいます。
この差を生む最大の原因は、6年夏季講習に至るまでの「積み重ね」にあるのはもちろんですが、実はそれ以上に「モチベーション」の違いは大いに関係します。
難関校を目指す子どもたちは、具体的な目標があり、そこに向かって「今、これをやる意味」を理解しています。
加えて自分で振り返りをしたり、できなかった問題を悔しがったりと、合格へ向かって授業から何かを得ようとする「前向きな姿勢」で講習に臨んでいます。
長く下位クラスに留まっている生徒の多くは「なんとなくやっている」状態が講習に限らず、ずっと以前から恒常的に続いています。
やらされている感が強く、授業の内容にも興味や関心が薄くなりがちで、問題ができてもできなくても別に…。
ただ、うるさいので「できなかった理由」を親に同言い訳するか、について考えを巡らせます。
多くは明確な志望校が、親御さんはともかく、子どもの中には特にないことも少なくありません。
では、成績が低迷している生徒は夏期講習で何も得られないのか——というと、決してそうではありません。
その前提になるのが、講習前からの「準備」です。
「3カ月くらいかけて、基礎をもう一度見直して講習を迎えた」
「志望校見学をきっかけに“どうしても”という気持ちが強くなった」
「徐々にだが成績が上昇傾向にある」
こうした「地道な取り組み」と「きっかけ」が、夏期講習中の「流れ」を良くします。
親としてできることは、子どもが「やらされている夏」ではなく、「自分の意志で動く夏」に変えられるよう、サポートをすることです。
勉強を教えるより前に、まずは子どもの「現在地」確認です。
手に負えないところがあれば塾の先生に相談を。夏期講習に入ると先生は多忙です。早めに動きます。
それと学校見学、オープンスクール参加など親御さんが「仕掛け」ます。
本当は6年生前に仕掛けて、乗せておいてほしいのですが、時間はまだあります。
夏期講習を生かすか、無駄にするかがこの1カ月強にかかっています。