◆中学受験の窓口 今日のメニュー
・6年からは大手より個人塾の理由
・基礎学力があるなら話は違う
・基礎力と経験値が欠けている弱点
・基礎力の差は結果に出る
新6年生(5年生)からの中学受験となると、様相はかなり違ってきます。
物理的に「時間がない」ので、かなりハードな1年になります。
進学塾の入塾試験を受けて合格なら入塾します(枠は少なく、空きがない場合もあり得ます)。
できれば大手ではなく、中学受験を指導している面倒見の良い個人塾、あるいは進学塾ではなく、金額は張りますが家庭教師で中学受験指導の経験が豊富な先生にお願いするというのが、ベターな選択かもしれません。
大手に入塾した場合、覚悟しなければならないのは、6年は新単元をやるというより、総復習や演習に重きを置いているという点です。
受験に必要なひと通りのことは、4年からの2年間の積み重ねで終わっているからです。
基礎学力は自力で家庭学習をしながら、「親塾」や個別、家庭教師にフォローしてもらってレベルアップを図ります。
あるいは「スタディサプリ」や各進学塾の「動画授業」などを使って順次埋めていきます。
十分ではないかもしれませんが、最低限これくらいはやらないと、入塾できても授業について行けず座っているだけの「お客さん」になってしまいます。
「お客さん」では納得のいく結果を2月に出せません。
ただ、本格参戦する前に、「親塾」などで家庭内で一定水準の基礎学力(計算の正確さ、数や図形の性質の理解、国語の語彙力、社会の地理の特徴、歴史の流れ、理科の実験に対する知識など)をつけてからの進学塾参戦の場合は少し話が違ってきます。
多少の「調整」は必要かもしれませんが、流れに乗れるようになるにはそれほど時間はかからないかもしれません。
「一から」仕込まなくても塾のカリキュラムの軌道に乗れれば、塾側も手厚くフォローしてくれます。
合格実績で「集客につながる学校」の合格にカウントできる見込みがあるからです。
新6年からの受験はとにかく時間と体力勝負です。
その分力技でゴールになだれ込むともいえますが、基礎が固まっていない単元や科目も多々ありながらの綱渡り受験になる可能性は否定できません。
6年生から参戦の子どもは「遅れをとっている」という自覚があるので、多くの子が頑張ってくれます。
漢字テストなど小テスト、範囲付きの月例テストなどでは、前からいる生徒で生ぬるくやっている子を簡単に追い抜き、10月くらいまでは偏差値は伸びる傾向にあります。
ただ、秋以降に「進撃」がピタッと止まるケースもよくあります。
合否のカギを握る算数はストレートな典型題が出ることは中堅・一般校を除くと近年少なく、多くが基礎と基礎の組み合わせから成り立つ「応用」をどう攻略するかで決まります。
どのような道具を組み合わせれば、正解に至るかの気づきは、「基礎力」と「経験値」=演習量がものを言います。
そうなると、6年参戦組は基礎固め、演習量に費やす時間が圧倒的に少ないという弱点がここで露呈します。
11月以降の模試では実際の入試を意識した出題が多くなると、偏差値が伸びず、場合によってはポイントが下がるのはそのためです。入試本番でも持ち偏差値以上に苦労する可能性があります。
そこに基礎力という「下地」がきちんと備わっていると持ちこたえられます。
志望校の合否は、基礎力によって結果が雲泥の差になります。
「そうだ、中学受験しよう」と、思いつきで勝ち抜けるほど中学受験は甘くありません。
今後わずかでも受験の可能性があるのなら、小学校の中だけの勉強にとどまらず、親御さんの伴走の下、早くから勉強体力、勉強習慣を付けておくことが肝要です。