◆中学受験の窓口 今日のメニュー
・「学力差」は実はそれほど違わない
・基本問題を手堅く正解できるか
・早さより正確さを追求する夏
・本当に「できた」状態を知る意味
偏差値60台と40後半~50前半の子どもたちの間に、決定的な「学力差」はそれほどありません。
違いがあるとすれば「もったいない答案」を作ってしまうかどうかの差です。
「もったいない答案」の典型例は「ミス」として片づけられてしまう類の間違いが多いことです。
計算ミス、漢字の覚え違い、選択肢をきちんと吟味せず適当に読んで解答する、記述問題の主語述語がちぐはぐ…など、問題1問1問に対し「雑に扱っている」印象がとても強いのが「もったいない答案」です。
怖いのはこのような失点を「ミス」のひと言で、子ども自身も親御さんも簡単に片付けてしまう傾向にあるところです。
正答率の高い問題、きちんと復習していればできる基本問題を「正確に」「注意深く」解答しているかどうか、偏差値60台をコンスタントにとる子はこのあたりに抜かりがありません。
算数の場合、偏差値60台の子は大問1~3あたりの計算問題や小問集合などは「パーフェクト」です。
それ以降の問題も各大問の(1)(2)あたりまでは確実に正解します。
つまり基本問題を手堅く正解しながら前に進みます。
このあたりの問題は40台後半から50台の子でも取り組める問題なのですが、計算間違いやよく考えずに式を立てたり、求めるものの「方向」が的外れになるなど、いたるところで「ミス続発」です。
各小問の配点が高い算数は、計算問題1問正解するだけで偏差値は1ポイントアップします。
ここでミスが1つ、2つと重なると、当然偏差値の差は開きます。
「解くのが早い=優秀」と思われがちですが、入試で「早いけれど雑」は致命的です。
偏差値60台の子は、「確実に仕留める」を第一に考え、スピードは「極端に遅くなければいい」くらいの考え方で臨みます。
まずは多少時間がかかっても丁寧に解き、正答率を高めることが大切です。
スピードは後からでも身につきますが、正確さは意識しなければ身につきません。
「惜しい間違い」が多い子はこの夏、「正確に解く子」へモデルチェンジする絶好の機会です。
6年生の場合は、最後の機会です。
特別な勉強法でも、特別に講座をとるわけでもありませんが、成果が出る可能性は高いです。
偏差値が伸びない子ほど、テスト直後に「できた!」と言う傾向にあります。
しかしそれは「書いた=できた」と錯覚している場合がほとんどです。
偏差値60台の子は、自分の得点をほぼ正確に予測できます。
記述問題も含め、自己採点と実際の点数に差がほとんどありません。
本当に「できた」状態はどういうことか——それを感覚で理解しているからです。
応用問題よりもまずは、基本問題を確実に「できた」と言える状態を目指すこと。
偏差値アップはそこから始まります。