◆中学受験の窓口 今日のメニュー
・大半が｢どうしたらいいか…｣
・実際は頑張りたくても｢動けない｣
・親の想像を超えた子の現状
・自分が小学生だったら…と
東京・神奈川の中学入試本番の2月1日まで、残り半年となりました。
受験生たちはいよいよ本腰を入れて、気合い十分…と大人は思いがちです。
実際には自分のペースをしっかりつかみ、合格という目標に向けて着実に進めている受験生はごく一部。おそらく10人中1人もいないのではないでしょうか。
あれこれ悩みながらも、一歩一歩前進できているのなら、それだけでかなり立派です。
実際は毎日夏期講習を受けながら「何をどうすればいいのか分からない」と戸惑っている子が、大勢いるのが現実です。
「できない」「何をすればいいのか分からない」「授業についていけない」――。
それが日常化すると、子どもは次第に「勉強しようとしても手が止まる」「やる気を出したくても気持ちがついてこない」といった状態に陥ります。
頑張ろうという「意志」はあっても、実際には「頑張れない」のです。
頑張れない自分を「何とも思っていない」子はほとんどいません。
表面上は平然としていても、内心では親御さんの想像以上に気にしています。
「何とかしたい」「自分だって変わりたい」――そう願ってはいても、肝心の「最初の一歩」が見つからない。
今さら塾の先生に相談するのは恥ずかしい、親には「本当は何もわかっていない」と告白するのは怖すぎて口が裂けても言えない。
八方ふさがりの中で、子どもの思考は止まり、塾で「何となく過ごす」しかなくなってしまいます。
家庭学習でも状況は何ら変わりません。
大人から見ると「やる気がない」ように映るかもしれませんが、実際には手の打ちようがない状況に追い込まれているのです。
夏休みという勝負どきに、我が子が「頑張っているように見えない」と、親御さんの目には「やる気がない」と映ります。
「やる気がない」と見えるのは、裏を返せば「どうしたらいいのか分からない」状態の表れです。
ところが、この「どうしていいか分からない」という子どもの現状に、親御さんはなかなか思いが及びません。
次に出てくる言葉は定番の「やる気があるの!?」です。
子どものあいまいな反応に苛立ちが募り、ついには雷を落とします。「中学受験なんか、やめてしまえ！」と。
決して本心ではないのですが、冷静でいられる親御さんはほとんどいません。
こうなると、親子の関係は一気に険悪になり「勉強」どころではなくなります。
中学受験に挑む小学生たちは、実はとても高度で難しい課題に立ち向かっています。
毎日の授業や宿題についていくだけでも、並大抵のことではありません。
途中で「どうすればいいか分からなくなって立ちすくむ」のは、決して怠けているからではなく、それだけ大きな壁に直面している証です。
ふつうの小学生では太刀打ちできないような内容に、日々挑んでいるのです。
怒りをぶつける前に、あるいは「やる気がない」と決めつける前に、ぜひ一度、算数の問題集をめくってみてください。
国語の長文問題に目を通してみてください。
そして「自分が小学生だったら…」と想像してみてください。
子どもが見せる「やる気のなさ」は、実は「努力しようにもできない」苦しさの裏返しであることが少なくありません。
親御さんにも、その背景を理解していただければ、「叱咤激励」だけでは子どもが動かない、いや動けない理由が、きっと見えてくるはずです。