◆中学受験の窓口 今日のメニュー
・「別ルート」で道が開けるのか
・通常授業での「基礎」再構築が有効
・6年秋の個別指導、家庭教師
・終盤の親塾は「険しい山登り」
6年生の9月以降の日曜日、学校名の付いた「冠講座」のコースに入れなかった場合、思い切って「日特」に参加せず、「別ルート」で志望校対策に徹するという方向へ舵を切る家庭もあります。
考えられるのは、個別指導塾、家庭教師、あるいは「親塾」という手段です。
ただ、どれも「道が開ける」コースと自信を持って言えないのがつらいところです。
そこで、代替案の1つと言えるのが「通常授業のフル活用」です。
直前期に軽く見られがちな平日のレギュラー授業は、使い方によってかなり有効な入試対策になります。
入試本番まで5カ月を切った中でも、肝心の「基礎」がグラグラ、という子は実はかなりいます。
かといって基礎を自分で勉強するのは、大人が思っている以上にかなりハードルが高いです。
分からないことが1つや2つではないからです。
そこで通常クラスの授業をフル活用します。
通常クラスの授業もこの時期になると問題演習中心になります。
親御さんは先生と相談して、子どもオリジナルのメニューをこの時間に組んでもらいます。
例えば、できる問題を確実に、もう少しでできそうな問題を自力で解答できるようにするなど、独自の「スモールステップ」を設定し、これを1つずつクリアすることを目標にする、などのプログラムです。
ただ教室の椅子に座っているだけで「できない」「分からない」の洪水で溺れるより、「自力でできる」のコレクションを増やす方が、志望校合格へ圧倒的に近づきます。
日特に不参加という選択をしたなら、日曜日は通常授業の復習に時間を割いて、やったことを無駄にしないことが肝になります。
基礎が積み重なると、「基礎と基礎の組み合わせ」である「応用」にも手が出るようになります。
基礎をしっかり再構築することで、つまずきが減り「流れ」が良くなります。
これだけで驚くほど受験終盤の成績が上がる子も出てきます。
個別指導塾、家庭教師という選択はどうでしょう。
個別指導塾は中学受験をきちんと指導できる先生が「希少」というのが現実です。
個別のボリュームゾーンは高校受験、公立中学校の補習で、中学受験を専門に、という先生はなかなかいません。
サピックス系の「プリバート」、日能研系の「ユリウス」など、大手塾に属している個別指導の方が、テキストに沿っての指導が前提なのでまだ「有効」です。
ただ、この時期になると「デキる」先生は既に「満席」状態であることが珍しくありません。
一番大切な6年終盤の「詰め」を任せられる先生に巡り合う確率は「奇跡に近い」というのが実際のところではないでしょうか。
家庭教師も同様、売れっ子や実力のある先生と、直前期にご縁があるケースは「奇跡的」です。
秋を迎える前に「手を打っている」親御さんは結構いて、中学受験専門の先生を囲い込んでいます。
何かつてでもない限り、新規の家庭教師に受験の追い込みを任せるのは「ギャンブル」に近いものがあります。
指導できるのなら「親塾」も有効です。
問題は親御さんがわが子相手に「冷静に、短気を起こさず」接することができるかどうか。子ども自身が「合格のために」と割り切って、指導を素直に聞き入れるかどうか、にあります。
口で言うほど簡単なことではありません。
親塾は「大成功」となる家庭がある一方で、かなり険しい山登りになる可能性も高いです。
中学受験は終盤でさまざまな「別ルート」が目の前にちらつきます。
しかし「場当たり的」だと多くは失敗します。
中学受験は「その時」になって考えても、遅いことは多々あります。
子どもの学習状況を常に気にしつつ、「6年秋」はどのような状態になっているか――。
思い巡らせることが5年生以下の親御さんの1つのミッションです。