◆中学受験の窓口 今日のメニュー
・中学受験「自爆」の始まり
・なぜ「救世主」にならないのか
・「寄り道」危険 「近道」は目の前に
・ぶれない軸と積み重ねを信じる
受験直前期、多くの親御さんが「このままで大丈夫なのだろうか」という不安に襲われます。
特に苦手科目や弱点単元はどうしても目につき、心をざわつかせます。
「何とか克服させたい」という思いから、書店の学習参考書コーナーに足を運び、カラフルな参考書や“入試頻出”と銘打たれた問題集を手に取り、ついまとめて購入してしまう。
帰宅後に「さあ、これをやってみよう」。そう言って子どもの机に積み上げる光景は珍しくありません。
これこそ、入試まで残り100日あまりの時期に陥りがちな、中学受験「自爆」の始まりです。
親御さんにとって、市販の参考書や問題集は「救世主」になるはずと見込んで購入します。
しかし、せっかく購入した書籍は受験家庭にとって「救世主」になることはあまりないでしょう。
参考書が悪い、というのではありません。これを使う受験生に「無理」があるからです。
もし子どもが参考書を使って理解し、弱点を克服できるのであれば、とっくに苦手を解消しているはずです。
塾の授業や先生への質問を通して、ある程度の改善も果たしているでしょう。
長く放置してきた苦手単元を、直前になって市販本1冊で埋め合わせようとしても、数ページで手が止まる、あるいは1ページも進まないまま挫折するケースが大半です。
参考書でも問題集でも、紙幅の都合で解説は「コンパクト」にまとめられています。
苦手な子に本当に理解させようとするなら、現在の何倍もの分量を割いて丁寧に解説しなければ届きません。
加えて直前期に新しい問題集に手を出すことは、勉強そのものの方向性を大きく揺るがします。
急に新しい教材を手渡された子どもは「今までの塾のテキストはダメってこと?」と動揺し、積み重ねてきた自信まで揺らいでしまいます。
その結果、勉強の“軸”がぶれてしまい、限られた時間で本当に必要な演習や復習がおろそかになります。
新しい教材を始めることで「寄り道」が増え、時間だけが浪費されます。
やるべき教材は既に目の前にあります。
今取り組んでいる塾のテキストや過去の模試、基礎の徹底こそが、入試本番に直結する力を養う一番の近道です。
入試まで残りわずかな時期に求められるのは、新しい知識や教材ではなく「やってきたことの定着と確認」です。
これまでのテキストやテストで何度もやってきた問題を繰り返し解き直すこと、自分の弱点パターンを洗い出し「次に同じ問題が出たら必ず取れる」状態にするこに徹します。
焦りから親御さんが新しい教材を差し出すよりも、目の前の教材を丁寧に見直すことは本当に大事です。
ぶれない軸、積み重ねてきた道のりを信じて取り組むことが、合格への最短ルートとなるのです。