親御さんの役割

中学受験 親の体験が「毒」にも「薬」にもなる


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受験成功者ゆえの「危うさ」

「あの時のように…」が子を潰す
成功体験が毒に変わるとき
・親の経験を活かす「編集力」

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受験成功者ゆえの「危うさ」

一般受験で、国公立大や難関私大に合格した親御さんの多くは、受験の厳しさとその先の景色を知っています。

学力の積み上げに必要な時間、模試の成績の意味、合格までにたどる道のり――。

さまざまな合格への「要素」を肌で理解しているからこそ、我が子の中学受験サポートを買って出ることもできます

しかし、その「経験」は同時に「危うさ」とも背中合わせです。

「あの時のように…」が子を潰す

親御さんがかつて経験したのは「18歳の大学受験」。

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そこにはある程度の「自覚」と「覚悟」が伴うものでした。

一方、我が子の受験は「12歳の中学受験」。

自覚や覚悟、ある子は実際どれほどいるでしょうか。

この点を考慮せず「あの時の自分のようにやればいい」と同じ熱量を求めたり、勉強量を想定すると、不安とイライラが募ります

親御さんから見て「やる気があるのか」となり、厳しい言動になり、子どもを追い込んで潰してしまうことにつながりかねないのです。

成功体験が毒に変わるとき

親自身が体験した「受験成功の法則」――。

その再現を目指す戦略は親として当然です。

「自分はこうして合格した」「この勉強法で伸びた」と伝えたい気持ちは強いでしょうし、山ほどあることでしょう。

しかし、親御さんと子どもでは「違う人間」です。

親の成功体験をコピーして、効果てきめんということもありますが、そのまま子どもに授けても同じような優秀な成績にはならないことの方が多いかもしれません。

親の成功体験を「これが正解」と有無を言わさず押しつけると、子どもは反発し、やがて親から心が離れていきます。

親の良かれと思ってしたことが「毒」に変わると、子どもは勉強が嫌、中学受験なんてやりたくない、という気持ちになります

親が受験成功経験者だからこそ、一段高いところから俯瞰して「親子といえども同じではない」という視点を持つことが質の高い伴走の基本といえます。

親の経験を活かす「編集力」

忘れてほしくないのは、親の受験成功体験は、ない人と比べれば「強力なアドバンテージ」です。

要はその使い方にあります。

親の価値ある経験を「薬」に変える鍵は「柔軟な編集力」です。

自分が成功した方法を絶対視せず、子どもの性格や理解のスピードに合わせて編集、組み立てます。

集中が長く続かないなら短時間型に、感覚的なタイプならイメージ重視の勉強法を取り入れてみる――。

「その子基準」のカスタマイズによって、子どもの学力を最大限に発揮できるような土壌をつくります

そうしたカスタマイズができるのは、親御さん自身が過去に受験勉強を一生懸命してきたからこそです。

何をやれば良いのかの見当をつけることができる親御さんは多くはありません。

親御さんの貴重な受験成功体験は「使いよう」で価値に大きな差になります


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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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