◆中学受験の窓口 今日のメニュー
・「まさか」の正体
・やってみないとわからない子たち
・勝負は最後の「詰め」次第
・確実と曖昧潰しに徹する
埼玉入試が始まりました。
試験当日の夜に早くも合格発表があり、2月校志望の子は幸先の良いスタートを切った家庭もあるでしょう。
即本命校受験でこれにて終了、というケースは、心から「おめでとう」の言葉をお届けします。
前受けに限らず、中学入試で毎年必ず起こるのが「奇跡の合格」と「まさかの不合格」です。
この「まさか」が比較的起こりやすいのは、偏差値帯でいうと50台前半から40台(四谷大塚基準。首都模試であれば60以下から45前後)の層です。
体調不良などの要因を除けば、主な原因はほぼ1つです。
この偏差値帯の「学力がとても不安定」である、という点に尽きます。
偏差値50前半から40台の子どもたちは、6年生の模試や塾内テストで「成績の乱高下」を経験していることが多く見られます。
「問題との相性」「感がたまたま当たった」「よくわからないけれど何となく選んだ」――。
こうした要素によって、普段より良い結果が出ることもあれば、その逆もあります。
そのため、合格可能性が80〜60%に位置していても、30%、時には20%であっても「やってみなければわからない」というのが、この層の実態です。
つまり「学力が不安定」な状態です。
中堅校・一般校の入試では、合格者分布を見ても、安全圏とされる子が不合格になり、やや厳しいと見られていた子が合格するケースが決して珍しくないのもこのためです。
偏差値55から60前半の子にもややみられる傾向ですが、それほど強くありません。成績が落ちても一定のところで歯止めがかかります。
65以上をコンスタントにとっている子は、問題に左右されたりせず、あっても10回に1回程度でしょう。
難関上位校でも多少の番狂わせはありますが、頻発することはまずありません。
きっちり解き切る力、部分点を取るにしても筋の通った答案が求められる問題構成になっているので、「たまたま」が起こりにくいといえます。
合格確実、有望圏にいながら残念だった子に共通する最大の要因は「詰めの甘さ」です。
「過去問で合格点を取れた」「模試の結果も悪くない」「これなら大丈夫だろう」という流れで、本番を迎えた家庭も少なくないでしょう。
しかし振り返ると「ケアレスミスをそれほど気にしていない」「実は理解が不十分な単元をそのままにしていた」「国語記述で自己採点が甘い」「復習が浅く、同じミスを繰り返していた」などの「まぁ、いいか」が結構ありませんか。
こうした小さな「まぁ、いいか」の積み重ねが致命傷になることも少なくありません。
これらは、子ども一人の問題というよりも、これまで伴走で頑張ってきた親御さんが直前期に「どこまで完成度を上げ切るか」を意識していたかどうかにも関わります。
一方、「まさかの合格」をつかむ子にも共通点があります。
中には、問題との相性や出題傾向に恵まれ、想定より得点できたというケースもあるでしょう。ただ多くはそれなりに理由があります。
「最後の模試が終わってから、復習や弱点補強に本気で取り組んだ」「ミスに注意しながら、問題を丁寧に解くことを徹底した」など、自分に手の出ない問題を何とかしたとかではなく、できることを「詰めた」ということです。
結果として、最後の模試では成績が芳しくなかったとしても残りの50日程度(2月入試で考えた場合)で、実力がアップしたため合格を手繰り寄せたのです。
合格した時点では、本人や家族が気が付いていないだけで、もう「奇跡の合格」ではないのです。
中学受験でよく言われる「実力は最後まで伸びる」とは、きちんと「詰めた子」とそれを支えた伴走の親御さんの「ラストスパート」によってもたらされます。
入試とは妙なものです。
肌感覚ですが、詰めを頑張った子ほど「これ昨日やった問題だ」「先生に質問したところだ」という場面に出会うことがよくあります。
逆に、不安を感じながらも見て見ぬふりを続けていると「出題してほしくない問題」「これどっかでやったのに、復習してなかった」というシーンが、なぜか本番で顔を出します。
1月入試が2月校への前受けだった場合、もう新しい教材に手を付ける必要はありません。
やるべきことは1つ。
「確実と曖昧潰しに徹する」ことです。
「分かっているつもり」を「確認して確実にする」、「実は曖昧」を「少しでも完成度を高くする」。
焦る必要は全くありませんが、甘くならずに積み上げることが、入試で合否のボーダーライン上から一歩前に出ることにつながります。
入試に「秘策」や「裏ワザ」はありません。
塾の先生に時には頼りつつ、親子で今できる最善を、淡々と。
直前期はこれ一択です。