偏差値30台からの脱出 5本の柱(番外編)

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中学受験は両親の方針一致が大切
両親の役割が明確であることのメリット
国語の読解力がつく両親の言動
成績下降と両親の方針不一致の関係
「母親の狂気」は父親の無関心から?
父親の「親塾」が破たんするパターン
冷静さを失うことが敗北への第一歩に

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中学受験は両親の方針一致が大切
中学受験で偏差値をアップするには「親の力」がカギであることは説明しましたが、両親が揃っている場合、2人が同じ方向を向いて子どもを導くことが何よりも大切になります。つまり、中学受験に対する考え方が夫婦で一致しているということです。

 特に中学受験をする動機、どういう方針で受験をさせるのか(難関校狙いなのか、やりたいことがあっての受験なのか、学力相応の学校を目指すのか、など)、第1志望が不合格だった時の善後策など、事前に何度も話し合って方針を一致させておきたいところです。

中学受験は方針の一致が大事

★両親の役割が明確であることのメリット
 夫婦の考えが同じスタンスだと、何より子どもが精神的に落ち着いて勉強に取り組めます。また、うまくいっている家庭は両親の役割分担も明確です。

 学習面、生活面に関しては母親が、志望校の調査、塾や模試の送迎、金銭面に関しては父親などのパートが決まっていることが多いです。どちらかが都合が悪い場合でも“ピンチヒッター”がきちんと務まり、恩着せがましくしないのも特徴です。むしろ相手に感謝をします。

国語の読解力がつく両親の言動
 そんなことで、と思うかもしれませんが、これがまた子どもの受験勉強にもプラスになります。相手を思う心や尊敬する心を目にすることは、国語の読解問題を解く際に必要な「共感」の気持ちを自然に育みます。

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 一見大人でも難しい中学入試の国語の読解ですが、作者の思いに「共感」しながら読み進めると頭に入ってくるものです。正確なデータがあるわけではありませんが、両親の関係が良好な子は国語が得意か、入試までには勝負できる科目になる傾向です。

共感性は国語読解問題攻略のカギ

★成績下降と両親の方針不一致の関係
 両親の受験に対する方針の大きな違い、絶えない夫婦喧嘩は、必ず子どもの勉強に影響を及ぼします。両親が口論したり、険悪な雰囲気になることは受験生に限らず、子どもにとっては親の一番見たくない、聞きたくない部分です。ひどい場合は、一生それがトラウマとなり、人生の重しとなってしまいます。

 経験から言って、小6になって成績、偏差値が下降線をたどる子の多くは、受験に関しての両親の不和が影を落としていることが多々あります

 意見がそれぞれ違うのは仕方ありません。夫婦とはいえ別の人格ですから。ただ、それを子どもの前で対立する姿を見せてはいけません。これは絶対に、です。中学受験のあまり語られない「鉄則」の一つだと思います。

【関連記事】最難関校合格のため? 高い偏差値3つの利点

成績下降の背景に両親の方針の食い違いが…

★「母親の狂気」は父親の無関心から?
 実際には夫婦の中学受験に対する“不一致”はかなりあります。典型例としては、母親が躍起になっている一方で、父親は無関心という場合。父親の本音は中学受験なんてさせたくてもいい、というケースです。

 成績に関わらず、母親が熱くなる(中学受験を題材にしたマンガ「二月の勝者」の中では「母親の狂気」と表現されるもの)ケースは、一定数の家庭で見られる傾向です。

★暴走した母親の受験終盤戦
 夫が関心を示さないことでヒートアップしてしまうのか、それとも話せる相手がいなくて情緒不安定になるのか、受験終盤になると受験産業に多額の金銭を投入する母親もよく見られます。

 家庭教師、個別指導塾、別の進学塾の講座…。投入する金銭もうなぎ上りですが、子どものスケジュールがパンクします。インプットばかりで、入試を必勝に持ち込むアウトプットの時間が取れず、知識の消化不良どころか、お腹を壊して入試本番。インプットしたはずのものは、結局何も身になっておらず、受験校全滅、になることもあります。

 受験が終わると、大抵つきものが落ちたように、放心状態になる母親が多いです。が、その時は夫でさえ暴走を止められない状態で「嵐が過ぎるのを待つ」と話したお父さんもいました。

あれだけつぎ込んだのに結果は…

★最近の流れは父親の中学受験への参入
最近はお父さんが一生懸命、というパターンも年々増えています。働き方改革などの影響なのか、平日でも比較的時間がとれるようで、塾の保護者会や個人面談などにも父親が出席するケースも珍しくありません。塾の先生との交わりも積極的な方もおり、母親の影が全く感じない家庭もあります。

 このタイプのお父さんは自ら子どもに勉強を教えている場合も多いです。昔取った杵柄(きねづか)とばかり、ねじり鉢巻きで算数を中心にテキストの予習までして「親塾」に臨みます。

父親の受験武勇伝はほどほどに

★父親の「親塾」が破たんするパターン
 研究を重ね、塾の先生顔負けのわかりやすい「親塾」を展開するお父さんもいます。娘さんと毎朝、計算問題を競って“切磋琢磨”した、理科や社会の過去問を解く早朝大会をやっていたという強者もいます。

 しかし、優秀な父親ほど、親子ゲンカをして関係が悪くなるという結末を迎えます。中学受験では“ご法度”とされる方程式を使っては子どもに「そんなやり方塾じゃ教えない」と反発されたり、我が子ののみ込みの遅さにいらだち、大声を出してみたり、「俺の頃は」などと受験武勇伝でマウンティングしてみたり…。

 仕事では沈着冷静な判断ができる男性も、わが子のこととなると愛情があるがゆえに…難しいです。

親子の愛情が深い故に対立も

★冷静さを失うことが敗北への第一歩に
 いずれにしても被害者は子どもです。最初は父親も母親も良かれと思い始めることなのですが、どこかで道に迷い、後戻りさえできない(許されない)状態になり、あがきもがいているうちに冷静な判断ができなくなって…。

 これでは悲劇です。子どものために、家族のために、相手にピキッときてもどこまでも子どもが勝てる、幸せになる道のみを考えましょう。そして、中学受験は両親の考え方が一致しているのが一番です。互いに冷静さを失うことが、敗北への第一歩と心に留めておいてください。(受験デザイナー 池ノ内潤)

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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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Published by
池ノ内 潤

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