◆中学受験の窓口 今回のメニュー
・苦手の算数をどうしたら取り組める?
・得意科目があるだけで有望
・家庭学習 スタートは得意科目から
・もう1ステップ短時間で終わるもの
・苦手科目 考えれば勝負になる問題ができる理由
・課題の”おかわり”厳禁
・「もう少しやりたい」で終わるのがコツ
★苦手の算数をどうしたら取り組める?
【質問】小学5年生の男子です。苦手の算数から逃げて、ほとんど勉強しようとしません。
勉強しているかと思うと、机の上に広げているのは得意科目の社会だけです。漢字は塾での小テストの前に少しやっていますが、その場しのぎ、という感じで塾の月例テストなどでは結構間違えます。算数は親に言われて嫌々やるときもありますが、計算問題やせいぜい一行問題を数問やる程度。苦手な図形問題などはちょっと見て手が出ないと、考えもせずに直ぐやめてしまいます。
当然、算数のテストは数問正解する程度で、偏差値は40に届きません。社会は平均で68くらいあります。社会並みとはいいませんが、せめて55くらいを取らないと、志望校に届きません。何か算数を前向きに取り組む方法はないものでしょうか。
★得意科目があるだけで有望
社会の偏差値が平均すると68ですか。かなりハイアベレージですね。1科目でも得意なものがあれば大丈夫。勉強をした上で得意科目がある、ということは勉強をするための下地はあるということです。ただ、科目によって「きっかけ」がうまくつかめていないだけで、偏差値、成績アップには有望です。まずは「きっかけ」作りから始めましょう。
苦手科目を一生懸命やるより、得意科目を糸口に“嫌い”という気持ちを徐々に減らしていきます。5年生の男子なので、子どもによっては反抗期に突入しています。うまく反抗期と付き合いながら、成績アップを目指します。
★家庭学習 スタートは得意科目から
家庭学習を例に挙げます。まず、最初に得意な社会から勉強します。「一番得意科目」なら理科でも、国語でも何でも構いません。成績がいいので、親御さんは「じゃあ、テストで間違えたところを確認して、次はできるようにしておこうか」と声掛けします。もともとできる科目なので、さらに自分のレベルがアップすると思えば、進んで取り組んでくれると思います。
ここは本題の算数へ入るためのウオーミングアップですから20分程度でいいでしょう。好きな科目を終えた後なので、気分は悪くないはずです。
★もう1ステップ短時間で終わるもの
次にもう1ステップ踏みます。短時間で終わるものを組み入れましょう。国語の漢字や語句がやりやすいかもしれません。漢字はターゲットの個数を決め、5~10分以内にマスターすること、というルールでストップウォッチで測ります。
やり方は自由。書いて覚えても良し、眺めて覚えても良し。とにかくその後の小テストができていればOKとします。「漢字を●個ずつ書いて」はNG。子どもはマスターするという意識より、●個書くというノルマにばかり関心が行き、理解しようという意識が薄れます。
計算問題なら「早さより正確さ」です。もちろん早さも程度はありますが、九九のような易しいものから小数、分数までランダムに配列してください。
漢字でも計算でも結果については、親御さんができているところを評価してあげましょう。間違ったところはガミガミ言いません。それは子どもの勉強が終わった後、なぜ間違ったのかを分析し、どうすれば正解に導けるかの対策を講じる材料に親御さんがしてください。
★苦手科目 考えれば勝負になる問題ができる理由
ここまで40分程度。2つの過程を経てようやく苦手科目、ここでは算数に入ります。苦手科目をやる前に、ある程度の勉強に対する「自信」とある程度の「集中力」を高めておきます。得意科目ややりやすい課題に最初取り組むことで勉強へのハードルは低くなっています。車ならエンジンが暖まり始動して走行している状態です。
取り組む問題は、できる小問2つに、考えれば勝負になる小問2つ、現時点ではやや難を1つといった具合。ミソは「考えれば勝負になる2問ができるようになれば、その子にとってやや難の問題にも挑戦の糸口がつかめる」ということです。脳が集中している状態で、少し考えれば勝負できる問題に取り組めば、イヤイヤやるより気が付くこと、できる可能性が高くなります。
塾の先生に質問に行くにしても、具体的な問いかけができ、ただ「分かりませーん」と聞きに行く”丸投げ質問”より、効果的な指導が受けられます。分からない問題も「ここまで自分で考えた」という”足跡”があるからこそ、道は続くのです。
★課題の”おかわり”厳禁
1日のスケジュールはあらかじめ決めておきます。決してやってはいけないのが、課題の“おかわり”です。
苦手の算数の問題が調子よくできたとします。親御さんとしては、つい嬉しくて「じゃあ、この問題もやってみようか」と、当初予定になかった類題などを“おかわり”してしまいます。これが苦手を助長する可能性をはらんでいます。
大人だって仕事で「これで終わり!」と思っていたところへ、「これもお願い」と追加されれば、凹みますよね。子どもも同じです。まして、一番嫌いな苦手科目です。もし、勉強量を増量したいのなら、予定の段階で組み込んでおくことです。
大幅増量となると、一気にやる気が失せます。子どもの成績が上がり、苦手科目から嫌いではない状態にして、「もしかしてできるようになっているかも」という自信がつくまで、我慢してください。ある程度できるようになれば、自分でやり出します。そうなった時、できない問題をどうしても攻略したいという欲が出てきます。ここまでくれば「3ステップ苦手克服」作戦は成功です。
★「もう少しやりたい」で終わるのがコツ
「もう少しやりたい」で終わるのが、子どもに「次の日もまたやりたい」という気持ちにさせます。中学受験の学習の肝は「継続」です。1日に大量にやるより、小分けしてでも「継続」です。
苦手科目は一気に、というわけにはいきません。長いスパンで見る忍耐力が必要です。だからこそ、早めに手を打つことが克服への王道なのです。