過去問はこう使う

過去問 解き直しのポイントは「上から順に」

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過去問初挑戦→撃沈は当たり前
「試験直前まで伸びる」子の特徴
「流れ」を意識して作成される入試問題
「間違ったところだけを解き直す」に意味はない
「初見の問題」に対抗する力
先生への質問の仕方の変化は成績アップの原点
怒るな!中学受験は「仕事」と一緒
「奇跡の合格」実はやる前から決まっている

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過去問初挑戦→撃沈は当たり前
 9月から過去問にトライするとして、最初から合格点をクリアできる受験生はそう多くはありません。特に算数ではほとんどの子どもが“撃沈”します。お試し校でもすべり止めでも結構苦戦します。

 今まで塾でやってきたことは何だったんだ…、と落ち込みます。9月から10月に「受験をやめたい」と言い出す子がいるのは、あんなにやったのにできない、努力が報われない、という絶望感にさいなまれるからです。

最初の頃の出来はほぼ”撃沈”

「試験直前まで伸びる」子の特徴
 でも、入試問題は極端な話、1月、2月にできるようになっていれば問題ありません。過去問、要するに入学試験問題は各中学校の先生が「わが校はこういう考え方をできる生徒に来てほしい」というメッセージを問題に託している練りに練った傑作です。こちらも脳ミソに汗をかき、その問題に対応できるだけの力を付けて、初めて正解に到達することができるようになるのです

 秋にできなかった問題が、11月や12月ごろからポツポツできるようになり、1月になって「伸びた」という実感が湧いてくる受験生は、夏ごろからの努力に加え、塾での秋の授業で考えることを一生懸命してきたから。よく「試験直前まで伸びる」と塾の先生は言いますが、こういうことです。

最後の伸びは頑張った子の特権

「流れ」を意識して作成される入試問題
 さて、入試問題がどのような構成でできているか、考えたことがありますか。どの科目も1つ1つの大問には、程度の差はあるものの「流れ」を意識してつくられています。

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算数、理科に多いのですが、小問の配列―(1)(2)(3)と続く流れ―には意味があることがほとんどです。例えば小問が(6)まであったとすると、今まで解いてきた(5)までの問題が(6)を答えるための誘導になっていることが多いのです。

最後の問題だけでなく(1)が(2)の解答を導き、(2)が(3)を、(3)が(4)をという連鎖する問題が難関校を中心に見られます。つまり中学校側としては、情報を整理して物事を順序だてて考えられる生徒の入学を望んでいるという姿勢が出題からうかがい知ることができます。

 偏差値の高い子どもは、算数や理科で大問丸ごと正解ということが珍しくありません。問題の「ねらい」を読み取っており、どう解けば一連の問題が流れるようにできるかが、頭の中で電気回路がつながるように出来上がっているからです。

流れに沿って解くからできる子は水が流れる如く全問正解する

「間違ったところだけを解き直す」に意味はない
 大問が一連の流れに沿っているということが分かれば、「間違ったところだけを解き直す」ということに意味がないことが分かるはずです。○をもらっているところも、それが自信をもってできているのかどうか、再確認です。

 小問を上から順に解いて行って、どこまで人に教えてあげられるくらい理解しているのか、どこから「なんとなく分かったような、分からないような」になっているのかをしっかり認識することが大切です。つまずき始めているところからじっくり、ここからが「解き直し」の肝になります。

「間違ったところだけ」は意味がない

★「初見の問題」に対抗する力
 〇をもらったもののあやふやな問題、間違った問題、手も足も出なかった問題…自分でああだこうだ、どうしてその答えになるのかを考えます。とりあえずは何か自分の方向性を出しましょう。

 あさっての方向を向いている、とんちんかんなものしか出ないかもしれません。それでも構いません。「自分で考える」ことに意味があります。これがテストで、入試で、塾ではやったことがない(実際はやったことはあるが問われ方が変わっている)「初見の問題」に向かっていく力になります。

 入試では、特に上位校以上では、塾のテキストで見たような問題は、そのまま出題されないと思った方がいいでしょう。その年の入試の合否を分ける問題は「初見の問題」(上記したように実際はやったことがある問題の変形)になることが多いのです。過去問は出来ても、この力が欠けている子は「まさかの不合格」になるケースがあります。

初見の問題で動揺するとまさかの結果に…

★先生への質問の仕方の変化は成績アップの原点
 考える習慣が身に付くと、暗記に頼った勉強より、偏差値が上がります。水を得た魚のように10とか15とか、劇的な上昇もあり得ます。

 考えても分からなければ、初めて塾の先生に質問してアシストを求めてください。「全然わからない」と丸投げする質問では効果はありませんが(自力でという姿勢がない子は伸びません)、「ここまでは分かったけど、どうしてそうなるかが分からない」と具体的な質問ができるようになれば、吸収力は早くなります。成績が上がります。やった分だけの勉強の成果が出始めるのは、自分で考えるという姿勢になってからです。

子どもにキレる前に善後策を講じましょう

★怒るな!中学受験は「仕事」と一緒
 ただ、子どもが客観的にそれを自覚していくのは難しいです。親御さんがサポートしてあげてください。

 言うまでもありませんが「何でこんな問題が分からないの!」という怒りをぶつけないこと。これは中学受験というプロジェクトを成功させるための「仕事」です。どんな仕事でも、声を荒げクライアントを恫喝するなんてあり得ませんよね。我が子を顧客だと思って、「合格」という商品を期日(合格発表)までにきっちり納品するという「ミッション」を果たしましょう。

「奇跡の合格」実はやる前から決まっている
 実際の入試では、限られた時間内で自分のやってきたことだけを頼りに出題された問題と格闘します。問題と勝負するというより、当日まで自分の思考回路を構築、整備しておくことが勝敗の分かれ目になります。厳しい言い方かもしれませんが、合格、不合格は、すでに試験前からほぼ決まっていて、後は会場へ行き、名前を書いて、解答欄にやってきたことを披露するだけなのかもしれません。

「奇跡の合格」はやる前から決まっている

 奇跡の合格も、当日に奇跡が突然起きたわけではなく、奇跡が起きるだけのことをしてきて、それを解答用紙に表現しただけと言えるでしょう。本当は奇跡ではなく、試験当日にドンピシャに照準を合わせることができた受験生と親御さんが頑張った結果、それに受験の神様が最後にひと押ししてくれた、それが「奇跡」なのです。(受験デザイナー 池ノ内潤)

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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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