不合格体験記

【不合格に不思議なし】実は丸写しでした

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先生は言った「答えを写したものでしょう」
愛娘を信じ切っていたお母さん
・娘は言った「大切なのは過去問の出来」
・泣きながら白状「ママにしかられるのが怖かった」

共働きの親御さん 勉強は塾と本人任せ
・自分を責める母親「もう少し子どものことを見ていたら…」

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★先生は言った「答えを写したものでしょう」
親御さんが娘の「本当の姿」を知ったのは、入試が差し迫った12月の中旬でした。

 受験校を決定する塾の個別面談の席上。子どもから報告を受けていたのとは、食い違う現実に「一体どういうことですか?」と震えた声で尋ねる母親に、先生は言いにくそうに答えました。

過去問の点数やお母さんに見せていた解答用紙は、答えを写したものでしょう。これだけ過去問が“できて”いて、この模試の偏差値はあり得ないです。4回の模試の偏差値が娘さんの現状での実力です」。

実は丸写しだった

愛娘を信じ切っていたお母さん
「答えを丸写し」。衝撃のひと言に、お母さんは絶句するしかありませんでした。えっ、どういうこと?どうして?私はずっと気が付かずにいたの?なんであの子がそんなことを…。頭の中でさまざまな疑問が浮かびますが、答えが出てくるわけもなく、ただただ呆然自失で座っているだけ。先生が何かおっしゃっていたのは覚えているものの、何を言っていたかは頭に残っていませんでした。

自分一人で用意して、嫌がらずに通塾する愛娘を信じていたお母さん。明るく「塾は楽しい」と話す娘は、塾でしっかり勉強していると思っていました。日中家に誰もいない間も、塾の自習室で勉強していると聞き、安心していました。

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母親はパニックに…

娘は言った「大切なのは過去問の出来」
 ただ、不安はありました。9月以降の模試の偏差値は48、50、49、45。志望校は四谷大塚の偏差値で60以上の女子校でということを考えると、時期が時期だけに「かなり厳しい」と言わざるを得ません。

 模試の成績、判定を気にするお母さんにヒナタさんはこう説明していました。「ヒナタの受ける学校はこの模試のような問題は出ない。だからできなくても大丈夫って、先生が言っていた。大切なのは過去問ができているか、どうかだって」。

 その過去問の出来を見せてもらうと、100点満点で概ね80点前後。赤本に出ている合格最低点は超えており、お母さんは「合格実績も良い塾だし、先生がそう言うのだから」と自分を納得させていました。

娘は都合のいいように説明していた

★泣きながら白状「ママにしかられるのが怖かった」
 それが塾の面談で発覚した「解答丸写し疑惑」。信じたくありませんでしたが、事実でした。

 泣きながら白状するヒナタさん。「本当はほとんどできていない。ママにしかられるのが怖くて、できるところはやって、できないところは解答を見て書いていた。あまり点が良すぎるとバレると思って、適当に間違えたりしていた」。

 いずれは本当のことが知られると分かっていたヒナタさんですが“これが最後”、“もうやらない”と思っていても、母親ががっかりする姿を見たくないのと、やっぱり悪い点を見せるのはイヤ、という気持ちで、やめられなかったといいます。

泣きながら本当のことを話すのは聞く方もつらい

共働きの親御さん 勉強は塾と本人任せ
 ヒナタさんのご両親は共働き。お父さんは単身赴任で九州、お母さんはキャリアウーマンで、仕事が終わって家に帰るのは毎日9時近くになります。休日も家を空けることが多く、受験勉強はもっぱら塾に任せっきり。しっかり者のヒナタさんは、4年生のから通塾し、自分で教材管理をし、勉強計画を立ててきました。

 4年生の時は塾内でもトップのクラスに在籍していましたが、5年生の夏休み前から算数や理科で授業が分からなくなり始め、成績も下降線。クラスもだんだん下へと落ちて行きました。6年生になっても状況は好転せず、ヒナタさんは現在の姿を親に悟られまいとすることに躍起になります。母親から聞かれる前に塾の話をして、自分がちゃんとやっているということを“アピール”し続けました。その行きついたところが「過去問解答の丸写し」でした。

もう少し子どものことを見ていたら…

★自分を責める母親「もう少し子どものことを見ていたら…」
 残り2カ月弱。遅まきながらほとんど分からなくなっていた算数を個別で補い、苦手の社会はお母さんが時間を割いて見ることに決めました。もともとは勉強のできる子。つまずきが取り除かれると、過去問でも自力でできるものが増えていきました。

 結局、偏差値50台中盤の中学に合格したヒナタさん。目指していた女子校は複数回受験したものの手が届きませんでした。愛娘を責めるより、お母さんは自分を責めました。「もう少し子どものことを見ていたら…」。実績を残している大手進学塾に通わせている安心感と子どもの日常の学習にあまりにも無関心だったことを悔やむばかりでした。

 塾に任せておけば…そう思っている親御さんはことのほか多いです。勉強そのものまで見ることは必須ではありませんが、子どもの現状把握は中学受験をする以上必須です。「子どもを観察する」。これだけは気に留めておいてほしいものです。

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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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池ノ内 潤

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