大学附属・系属校

立教系4校 バラエティに富む選択肢が魅力


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山の頂上を目指すルートは4校それぞれ
“穴場”から激戦入試になった香蘭
・立教進学熱望 専門塾も存在
・推薦枠が余ったままの立教女学院
・池袋、新座は反動で志願者減も…
・立教大学の入試大胆改革で中受も熱視線

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★山の頂上を目指すルートは4校それぞれ
 2024年に創立150年を迎える立教学院。関係する中高一貫校は大学と同一の法人でともに男子校の立教新座(埼玉県新座市)と立教池袋(東京都豊島区)、別法人で系属校となると立教女学院(同杉並区)、香蘭女学校(品川区)の4校です。

 学校の特色もそうですが、大学進学についてもそれぞれ独自路線を貫いており、山の頂上を目指すルートがバラエティに富んでいて、男女ともに人気の4校です。

おしゃれな立教大学の池袋キャンパス

★“穴場”から激戦入試になった香蘭
 「立教」という冠が付かないものの、存在感を増しているのが香蘭女学校です。タレントの黒柳徹子さんや女優の大塚寧々さんら、各界で活躍する女性を輩出している130年以上の歴史を誇る女子校は、立教と同じくキリスト教団体「日本聖公会」に所属している関係で大学推薦枠を持っています。以前は1学年の定員160人の半数にあたる80人の推薦枠がありましたが、現在は97人となり約6割の生徒が立教に進める権利を手に入れることができます。

 18年まで入試は1回しか行っていませんでしたが、19年から2日午後の2回目入試を実施。それまで立教に大量の推薦枠を持っていることがあまり知られていなかった“穴場的存在”から、現在の入試で注目の的になりやすい午後入試に参入したことで知名度が一気に広がり、2回目入試1年目は定員60人に対し738人が志願。18年まで1回しか入試がなかった際には2倍を超えない実質倍率でしたが、4.5倍という激戦になりました。

人気校になった香蘭女学校

★立教進学熱望 専門塾も存在
 20年も計2回の入試で前年比15%増の1374人の志願者を集め人気は沸騰していましたが、21年度は同前年比で16%減の志願者数となりました。これは香蘭の人気に陰りというのではなく、最近の志願者増加に対し、今年は「安全入試」がトレンドとなった傾向から、シビアな入試が予想できる人気校を敬遠したと見るべきでしょう。中学受験でよくみられる「隔年現象」(志願者が増えた翌年は減り、減った翌年は増える)が来年は起こる可能性が高いでしょう。

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 香蘭志望の女子は「立教進学」を強く希望しているとみて間違いないです。同じミッション系の青山学院にも14人の推薦枠がある同校ですが、受験して大学へという雰囲気がどちらかというと希薄です。立教進学を目指し、学内の成績順位を上げるための専門塾に通う生徒もいるくらいですから、入学後は仲良しながらもライバル、という構図になりそうです。

立教進学へ塾へ通う生徒も

★推薦枠が余ったままの立教女学院
 対照的なのが立教女学院です。20年春には卒業生180人のうち99人(55%)が立教大学へ進みましたが、推薦枠が余ったままの状態でした。21年度は151人の推薦枠を持っています。コロナ禍で入試による進学を断念して、推薦で進学する生徒がどれぐらいになるのか注目されますが、立教女学院は「立教熱望組」だけでなく、それぞれの夢に向かって受験もいとわない雰囲気が香蘭より強いことは間違いなさそうです。東大をはじめとする国公立大や医学部に進学する生徒もおり、早慶や他の私立大を選ぶケースも珍しくありません。

 21年度入試は前年比97%の志願者数で若干減りましたが、入試自体は落ち着いており、この4年間で合格者数が131~134人、実倍率が2.2~2.5倍と変動の少ないのが特徴です。香蘭が人気と相まって偏差値が上昇し、四谷大塚合不合格判定模試で1日の1回目が58、2日午後の2回目が60となり、対する立教女学院は1日の1回のみで61。5年前は香蘭の偏差値が51で、立教女学院の“すみ分け”があったのですが、こう数値が接近してくると、持ち偏差値が60前後の家庭では迷いが出てきます。

人気の立教女学院

★池袋、新座は反動で志願者減も…
 大学直属の立教新座と立教池袋は、池袋の9割近い生徒がそのまま立教へ行くのに対し、新座は他大学受験コースもあり、選択肢は豊富です。

 2月2日に1回目入試が行われる池袋は21年度入試で前年比79%と志願者数を大きく減らしましたが、これは20年度入試で2割も志願者が増えたことの反動とみるのが自然でしょう。新座も前年比10%減でしたが、これも3年連続で志願者数が増えていたことでの現象。2回目入試はそれぞれ前年比増ですので、立教人気は健在です。

立教の本拠地・池袋

立教大学の入試大胆改革で中受も熱視線
 英語教育を重視してきた立教大学が「英語4技能に秀でた学生の入学を促す」目的で21年度入試から、文学部を除き英語の学校独自の入学試験を廃止し、英検やGTEC、IELTS、TEAPなどの「外部試験」か共通テストのスコアが合否に使用される改革を断行しました

 他にも同じ学部・学科(専修)を複数回受験できるようにするなど、大胆な入試改革が進みました。人気のある大学ながら、その地位に安住せずに前へ進んでいく姿は魅力にあふれています。中学受験を志す親御さんにとって、立教系の中学校へさらに熱い視線が注がれそうです。(受験デザイナー・池ノ内潤)


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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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