中学校別対策

東大「1人合格」はどういう生徒なのか?

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・東大合格者輩出の高校は全国の8%
中堅校・一般校の「とんでもないヤツ」
6年間“執念”を燃やし続けられるか
・東大合格者と通学時間の関係
・火が付いたらすごい東大“覚醒合格”

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★東大合格者輩出の高校は全国の8%
 3月10日、21年度入試の東京大学合格発表が行われました。文系理系合わせて9089人が受験し、2993人が合格。競争倍率は3.0倍でした。開成(東京都荒川区)が現役浪人合わせて144人が合格、合格者数で1982年(昭和57年)から40年連続1位となりました。

 まだ、未集計の部分もあり、正確ではないのですが、2020年時点で全国4874校(国立15校、公立3537校、私立1322校)の高校がある中で、東大合格者を輩出するのはわずか8%程度です。うち約36%の約140校超が東大に「1人だけ合格」という高校です。どんな勉強をして、合格を勝ち得たのかを含め、どんな若者なのかが気になるところです。

今年は女子の合格者が初めて2割超になった東大

★中堅校・一般校の「とんでもないヤツ」
 首都圏の1都3県で東大に1人だけ合格した中高一貫校の顔触れをみると、江戸川女子、大妻中野、開智日本橋、帝京大、普連土学園(以上東京)、鎌倉学園、桐蔭学園、日本女子大附属(以上神奈川)、大宮開成、城西大付属川越(以上埼玉)、専修大松戸(千葉)などです。中学受験時の偏差値帯でみると、多くが「中堅校・一般校」とされる一貫校です。

 「じゃあ、中学に入学したときは、将来東大へ、という感じではなかった?」と思うかもしれません。確かに学校全体としてみればそうかもしれませんが、生徒個々でみると、入学時から「モノが違う。何でこの学校に!?」という生徒が毎年いるものです。

 よく第1志望や第2、第3志望も合格せず、泣く泣く「すべり止め」の中学校へ進学して「ここなら学年上位に入れるでしょ」と想像しながら通うと、「とんでもないヤツ」がいるもので、その入学時からその「とんでもないヤツ」が6年後に東大へ現役合格する例はよくあります。

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「何でここに?」という秀才が各校に1人はいる

6年間“執念”を燃やし続けられるか
 「とんでもないヤツ」はなぜ最難関校や上位校へ進学しなかったのでしょうか。理由はさまざまですが、2つ例を挙げてみます。1つは中学受験で志望校合格がかなわなかったケース。実力はありながら12歳の試験では結果が出せないかった子ですが、それだけに心中期するものがあります。学校での成績はそう苦労せず上位を走ることができる分、早くから大学受験に向かってスタートを切り別建ての勉強をしています。

 高校へ進むと、中堅校、一般校は難関校以上に大学受験対策を熱心に取り組みますが、このタイプの生徒は学校に頼らず“独自路線”で突き進むことが多いです。中学受験で成功し、やれやれとひと息ついている子と比べて、悔しさを味わった分「大学受験こそ」という“執念”を持っている子は強いです。

 周囲のペースや雰囲気に負けないのは、勉強をする以上に大変なことで、入学当初は「モノが違う」場合でも流されてしまうと“リベンジ”は夢物語に終わります。中学受験時に飛び抜けていても、6年間静かに燃え続けることは難しいことです。

執念を燃やす続けられるか

★東大合格者と通学時間の関係
 偏差値に関係なく、中堅校・一般校に入学する生徒もいます。学校選びのポイントで「通学のしやすさ」を最重要視したケースです。1時間、満員電車に揺られながら毎日通学してヘトヘトになるより、近所の中学へ徒歩や自転車で通い、体力的に余力を残して勉強に取り組めるというメリットを選択する場合もあります。

 東大に合格する生徒も体育会系の部活に所属していることが多く、ガリ勉タイプは少数派です。部活で疲れ、帰りも満員電車で座ることもできず、家に帰れば食事をして風呂に入ってしまえば、恐ろしいほどの睡魔に襲われてバタンキュー。そしてまた朝早く学校へ…。この繰り返しでは勉強する雰囲気ではありません。

 高2後半、あるいは高3になって部活動を引退して、勉強を始めても基礎を積み重ねていない分遅れをとります。そういうことまで計算して受験校を選んでいないかもしれませんが、中堅校・一般校の東大合格者は近隣在住というケースは話を聞いてみると、結構多いことが分かります。

自転車通学は東大への近道!?

★火が付いたらすごい東大“覚醒合格”
 中には“覚醒合格”というケースもあります。中学受験時は勉強に対して“なかなか火が付かなかった”ものの、入学後に着火して勉強に取り組んだ結果、東大合格にたどり着くという場合もあります。きっかけは十人十色ですが、「やらされている勉強」から「やる勉強」へスタイルが180度変わると、成績も偏差値も劇的に変化します。

 昭和や平成の前半のころと比べ、今は個人で情報収集することも独学で勉強をする環境も整っています。それを受け身でなく積極的に有効利用した生徒は、学校が特進クラスとか作らなくても、馬に食わせるほどの教材やプリントを与えなくても自分でバリバリやります。こういう生徒もしぶとく合格を勝ち取ります。「東大1人合格」にもそれぞれ流儀があるのです。(受験デザイナー・池ノ内潤)

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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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