中学校別対策

中学入試 英語だけで勝負になるのか

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22年度は「英語入試解禁元年」!? 
・ 4科目でつらい思いをするより…
出題レベルは英検4~3級レベル中心 
難関、上位校が英語入試を導入しない背景 
・選抜試験として英語が中受で成り立つか? 

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★22年度は「英語入試解禁元年」!? 
 中学受験で英語による入試を実施する学校が増えています。首都圏模試センターの調べによると、2021年度入試で英語による合格者選抜を行った学校は143校(帰国生入試を除く)。14年度に英語入試を行ったのが15校で、7年の間に10倍近く増えたことになります。 

 小学校の新学習指導要領が20年度から実施され、英語が5年生から「教科」として扱われることになり、22年度はその“1期生”が中学入試に挑みます。同センターでは22年度は「実質的な“英語入試解禁元年”になるのではという見方もできる」との分析をしています。 

★ 4科目でつらい思いをするより…
 課される内容は学校によってさまざまです。オーソドックスな筆記試験にリスニング、面接でのスピーキング、ネイティブとの会話、英語でのプレゼンテーションなどがあります。国語、算数のどちらか1科目と英語というパターンや英語のみなどの学校、コースによってそれぞれです。英検準2級以上で筆記試験免除、面接のみで入学というケースもあります。 

 英語教育に力を入れている広尾学園はインターAG(アドバンストグループ)という、もともと英語力に長けている(英検2級以上のレベル)子を対象に英語の試験を課しており、算数も英語で出題されます。 

 4科目入試でつらい思いをするより、英語ともう1科目で頑張って入試本番へという選択肢もこれからは十分考えられる入学ルートです。 

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入学ルートは多岐にわたる

★出題レベルは英検4~3級レベル中心 
 筆記試験の一例を見てみましょう。駒込(東京都文京区)の問題から。 

◆意味の通る文になるようにア~オの語を並び替えて、AとBに入るものを1つずつ選ぶ。 
This (  )( A  ) (  )(  B  ) (  )100 years ago. 
ア built イ old ウ about エ church オ was 

 公立中学なら2年生で習う受動態の文です。「この古い教会は100年前に建てられた」で 
This( old )( church ) ( was )( built ) ( about )100 years ago.となり、正解はAエ Bアです。 

 もう1つ、今度は長文読解の一部を安田学園(東京都台東区)の問題から。 
During the first month of the year, many people decided to change something about their lives.These decisions are usually called “New Year’s resolutions”. 

基礎的な文法知識、ある程度の語彙力が求められることが分かると思います。英検のレベルとしては4級から3級、公立中学で習う程度の内容です。 

難関、上位校が英語入試を導入しない背景 
140校あまりで英語入試が行われている一方で、首都圏の学校約200校ではまだ導入していません。特に偏差値帯でいう難関・上位校ではほとんどみられません。今後も導入する予定は当面なさそうです。また、市川(千葉)は中学で21年度から一般受験の英語による入試を廃止しました。 

 市川がなぜ英語入試を廃止したかは学校側がアナウンスしていないので何とも言えませんが、英語入試をやらない学校の多くは、通常入試でも志願者を十分集められるところが多いというのが1つの理由としてあると思います。逆に英語を導入すると大手進学塾がその対策をしなければならなくなり、その余波でたとえば理社の比重が軽くなるとかの方向へ進むと、塾側が機構改革を余儀なくされ負担がかかります。多くの“人材”を送り込む塾と、それを受け入れる学校はある意味“持ちつ持たれつ”なので、急な制度改革へ舵を切ることはないとみられます。 

★選抜試験として英語が中受で成り立つか? 
加えて英語を出題するにしても、小学校で習った範囲では入試レベルとして耐えうるものではない、というのも挙げられます。帰国子女が受ける英検準2、2級レベルを出題すれば選抜試験として成り立ちますが、そこまでのレベルを広く一般受験生に求めるのは、学習指導要領の範囲内で作問するという「建前」から逸脱せざるを得なくなります。 

 難関校は入学後、独自の英語テキストやプリントで授業を進め、生徒たちを鍛えます。自らのメソッドがあり、入学前の生半可な英語力ならいらないという雰囲気も醸し出しています。英語入試を採用する学校は今後も増えていくことは間違いなく、中学受験の1つの形としては存在しますが、主流になることはしばらくないと予想できます。 

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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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