社会の勉強法

開成、渋幕、豊島岡…23年「鉄ちゃん」有利!?


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23年は「鉄道開業150年」問題
思考と想像のできる子求む
合否の分かれ目「なぜだろう?」
・24年度は「関東大震災100年」

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23年は「鉄道開業150年」問題

入試問題にはその年度の「トレンド」というものがあります。国語なら読解の素材文としてよく出題された作品、作家、算数なら西暦の数字にまつわる計算問題などです。

そのトレンドを色濃く出す傾向にあるのが時事問題を一番多く取り扱う社会。中でも毎年どこかの中学で出題されるのが「あれから●周年」という切り口の問題です。23年度入試で複数の中学で採り上げられたのが「鉄道開業150年」でした。

鉄道開業それ自体が問題として出題されることに加え、それを出発点として、さまざまな関連問題、現代社会での鉄道を含めた輸送機関の問題へと発展します。

内容的には、女子よりも「鉄ちゃん」が多い男子にややアドバンテージがあったかもしれません。

思考と想像のできる子求む

開成では鉄道開業150年に対して「直球」の問題が出題されました。

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「1872年、外国人居留地のある築地に近い( さ )から、開港場に近い( し )までの間で鉄道が正式に開業しました」という問題文。( さ )と( し )にあてはまる地名を入れるという基本問題とともに、鉄道開業の1872年(明治5年)に同じく始まった事業を選択肢から選ぶという歴史的知識の問う問題が出題されました。

さらに開業時に一部区間で海上に堤をつくり、そこに汽車が走っていたことを示す遺構が2019年に発見されましたが、その場所に一番近い現在の駅名を答える選択肢問題も出ました。「高輪ゲートウェイ」という開業したばかりのJR山手線30番目の駅が正解。これは鉄道史に絡んだ時事問題といえます。

千葉の最難関、渋谷教育学園幕張では1月の1次入試で、鉄道開業150年をフックに、歴史ではなく公民の問題が大問1から出題がされました。

「昨年(2022 年)は、新橋駅とa横浜駅(現在の桜木町駅)の間に日本初の鉄道が開業してから 150 年の節目で、様々な記念行事が行われました。」という文からスタート。下線部aで横浜駅や桜木町駅のある横浜市は政令指定都市ですが、政令指定都市の説明として2つの文の「正誤」の組み合わせが正しいものを選ぶ、という問題でした。

この程度は「序の口」。渋幕は鉄道好きにやや有利でありながら、そうでなくても日ごろから世の中のことに「なぜ?」という意識を持って生活しているかどうかを問う問題を記述式で出題しました。

駅の「ホームドアの普及にはまだ時間がかかりそう」とする理由について、製造や設置費用以外で、何が障害になっているかを記述で答えさせるものでした。「鉄ちゃん」なら多くが「すべての列車のドアの位置が統一されていないから」と答えるでしょう。問題意識を持っている子なら「設置のために日中列車を止められず、夜中にしか作業ができないから」という答えが一例でしょう。

鉄道の歴史にせよ、現代の交通事情にせよ、鉄道に興味のある子にアドバンテージはありますが、受験勉強を通じて「思考する」「想像を巡らせる」ことのできる子を各中学は求めていることが分かる出題と言えます。

合否の分かれ目「なぜだろう?」

女子校でも鉄道にまつわる出題が複数校でありました。女子にとっては苦手というより、なじみのない世界ですが、社会科で女子にありがちな「興味がない」といって放置すると、入試本番で「大けが」をすることになります。

頌栄女子学院の1回目入試では開成同様、鉄道開業時のことから、昭和の東京五輪開幕に合わせて開業した東海道新幹線の開業年を西暦で問う、基本問題が出題されました。

頌栄はさらにコロナ禍で赤字経営に転落した鉄道事業についての設問があり、歴史と時事の「融合問題」という総合型の体裁が目を引きました。社会が単なる「暗記」では合格点に達しないことを物語る良問です。

豊島岡女子学園の2回目入試では渋幕同様、「鉄ちゃん」有利も、知識と共に 「思考する」「想像を巡らせる」 ことができれば「何とかなる」問題が出ました。

東京から鉄道を使った場合「営業キロ(線路の長さ)で比較すると、遠い鹿児島の方が近い宮崎よりも東京からの所要時間が短いのはなぜですか、理由を解答らんの文頭に続くように10字程度で答えなさい」という問題。「鹿児島は」という文頭に続ける文は、博多から九州新幹線が通っていることを短くまとめます。

テキストに掲載されていることだけではない、資料集なども駆使しながら常に「なぜだろう?」という姿勢があるかないかが合否の大きな分かれ目になります。

24年度は「関東大震災100年」

24年度入試の注目は「関東大震災から100年」です。難関校、中堅校などを問わず、かなりの学校で出題されると予想できます。

地震関係の歴史と当時の世相、社会のようすをたどるだけでも成立しますし、今後の地震や災害発生時への備えなどについても記述問題を中心に問われそうです。社会だけでなく、理科の地学系の問題でもかなり狙われますし、国語の読解も災害を中心に自然科学系の説明文で多く出題されることが考えられます。

塾でも授業中の演習問題で取り組むとは思いますが、子どもは特に何も思わず、先生が「入試に出る」と念を押しても一部のデキる子以外、ほぼ「スルー」です。秋になって時事問題のテキストに載っていて、ようやく勉強する子もいますが、それでもまだ…という子もいます。

塾のテキストや模試で、地震関連の問題を親御さんが見つけたら、「ここは出る」と子どもに「予言」します。「えーっ、どうして?」と子どもは反応するでしょう。そういうことをきっかけに、親子で時事問題の話をすることで、家庭学習の雰囲気は明るくなりますし、重くならずに受験モードへと変わっていきます

話はややそれましたが、明るく楽しく家庭学習をすることで、子どもの中での「インパクト」が違ってきます。インパクトが強ければ、「なぜだろう?」と疑問や興味もわいてきます

机にかじりついて苦痛を感じながら勉強するより、「なぜだろう?」は成績を短時間で劇的に上げます


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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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