中学校別対策

中学受験 学校説明会は「話半分」と思え


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「実像に近い」ものを持ち帰る
使用教科書で進度と難度を予測
売りの「補習」実態を把握すべし
・通塾に対する学校側の回答

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「実像に近い」ものを持ち帰る

9月から本格的に学校説明会が各校で始まります。

中学受験をする、と決めた親御さんが「入試の傾向と対策」に次いで興味があるのは、目指す中学校がどのようなプロセスを経て、わが子を「志望する大学」に入れてくれるかということではないでしょうか。

先取り学習、補習体制、塾いらず…説明会ではさまざまな「魅力的なフレーズ」が担当の先生の口から出てきます。

まさに「至れり尽くせり」、さすが私立中高一貫校!となりますが、それはあくまで「コマーシャル」。学校説明会は「話半分」と思って臨むのが「心得」の1つです。

少し割り引きながら「本編」の説明を聞き、終了後に学習カリキュラムなどの気になる点を個別質問して、その学校の「実像に近い」ものを持ち帰るのが、説明会での親御さんの「ミッション」です。

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使用教科書で進度と難度を予測

「先取り学習」は多くの中学校が方針として示している半ば「標準装備」のカリキュラムです。

中3の段階で高校の内容に入り、高校2年までに全課程を終え、高3では文系・理系に分かれ、学校によっては国公立、私立、医学部など細分化してクラス編成しながら大学入試の演習授業に、というのが「典型」です。

中学の課程を最初の2年間でやらなければならないので、当然授業の進度は早くなります

英語について、中学側は「入学前はゼロからの状態で大丈夫。1から教えますから」と説明会で断言しますが、真に受けずに、受験終了から入学までに独自にでも「予習」しておくことをおすすめします。

「予習」が必要かどうかの1つの目安として、メインで使う教科書が何かである程度占えます。

私立中学で使う英語のメインテキストが「NEW TREASURE」(Z会編集部編)か「PROGRESS」(イエズス会出版)の場合、学校側が描いている「1から」と親御さんの思う「1から」には、隔たりがあります。

この2冊は、公立中学で使う「ニューホライズン」や「クラウン」などより、一段も二段も難しい教科書です。学校パンフレットに使用教科書が記載されている学校もあるので、英語は確認しておくことが得策です。

使う教材のレベルが高い、英語が少人数の能力別クラス編成になっていない場合、入学までに公立中学校の「中1レベルくらいの内容はわかる」という状態にしておかないと、スタートから苦しい展開になる可能性があります。

数学もレベルが高い数研出版の「体系数学」を使用する場合は、学年の半分の生徒は苦戦を強いられます。

「予習必須」「授業進度が早く難しい」という心の準備が必要かもしれません。

売りの「補習」実態を把握すべし

中高一貫校の多くが「馬に食わせるほど」宿題を出します。

加えて次の授業や朝の登校直後に小テスト。そしてまた新しい単元と、親御さんが説明会で理想的に見えたカリキュラムは、子どもにとって「息つく暇もない」スピーディーでハードなものiになることが多いです。

どうしても一定数「ついていけない子」が出てきます。落伍すると、中間・期末テストは悲惨です。そこで行われるのが「指名制の補習」です。

補習で遅れた分を取り返せればまだいいのですが、放課後や夏休みの数時間でカバーはできないのが現実です。

もう一度先生はひと通り教えてくれますが、つまずいているところは個々で違うのに一斉授業だと、効果は…です。

粘って粘って質問に行く子は脱出する可能性が高くなりますが、そういう子は少数派なので、多くは形だけの補習で終わります。

なので、学校の勉強についていくために塾に通うというケースは、英語と数学を中心に中高一貫校の生徒でも結構います

最近では、その学校の卒業の大学生が相手をする「チューター」制、予備校(塾)そのものが学校に「出張」して補習を引き受けるシステムもあり、それが学校の「売り」になっている場合もあります。

先生方の「働き方改革」の一環とみられますが、もしかしたらこちらの方が意外と期待できるかもしれません。

いずれにしても、補習体制について学校側は半ば自慢げにシステムの素晴らしさを強調しますが、実際は「話ほどでは…」というのも「中学受験あるある」です。

文化祭などで在校生をつかまえて質問すると、補習の「実態」が把握できる可能性があります。説明会でアウトラインの知識を仕入れ、気になったことは親御さんの「独自調査」力がものを言います。

在校生に接するチャンスは少ないです。機会があれば、一歩踏み込んでヒアリングします。補習体制は子どもの中高一貫生活の学習面での柱の1つ。よく調べて受験校の選定に活かします。

通塾に対する学校側の回答

補習の流れで話題になるのが、学校独自の受験用「講習」です。塾や予備校に行かなくても、学校の先生が開いてくれる季節講習で「大学入試対策は万全。まさに塾いらずです」と学校側は説明会で強調します。

確かに先生をいい意味で「利用」すれば、高額の塾代も払わずに済みますし、質問もしやすいという大きなメリットがあります。

しかし、実際に通塾している生徒が中堅校だけでなく、上位校も難関校でも多いのは何を物語っているでしょうか。

全てをリサーチしたわけではありませんが、私立中高一貫校の通塾率はかなり高いです。

中堅校から東大や京大、一橋、東工大、早慶に合格した生徒の多くは、学校の勉強はほどほどに入試にターゲットを絞って塾や予備校を活用して結果を出したというパターンも結構あります。

学校説明会で機会があれば、こちらも個別の質問で聞いてみてください。「通塾している割合はどれくらいですか」と。

正確な答えを要求しているわけではありません。答え方に注目してください。「ウチでも講習はやりますが、みんな結構通っています」というような返事なら信用できます

逆に「よく分からない」とか「あまり通ってませんし、学校でも勧めていません」「通っているようですが、多くが自習室を利用するという目的です」という場合は、額面通り受け取っていいのかどうか。

親御さんの判断にお任せしますが、学校説明会は「宣伝PRの場」、ということを考えればある程度察しがつくと思います。


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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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