親御さんの役割

中学受験は「狂気」くらいで丁度いい


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外野から見れば「狂気」の母親
・塾の先生はわかってくれる

不合格への「勘違い」「筋違い」
・クールに でも強い気持ちで

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外野から見れば「狂気」の母親

中学受験に必要なものは「父親の経済力」と「母親の狂気」。中学受験を描いたコミック「二月の勝者」のあまりにも有名な言葉は、コロナ禍を経ても様相は変わっていません(父親と母親の部分が入れ替わる家庭も最近は増えてきています)。

中学受験で子どもに伴走するお母さんの中には、子どものために良かれと思って、評判の塾を探したり、合格に役立ったと聞けば参考書や問題集を買い揃えたりするケースは「中学受験あるある」です。

勉強に対して「腕に覚えがある」親御さんは、成績アップ、合格のために「親塾」を展開。塾のテキスト、教材の整理やスケジュール管理はあたりまえで、家庭学習に伴走するために、母親自ら中学受験の内容を「勉強」して、子どもを指導しています。

「デキる」親御さんは「中学受験が4、5年生勝負」「6年で順調に実力を養成するには基本を扱う最初の2年が大切」であることをよく知っています。なので、この4、5年生のうちはきっちり「伴走」するのです。

具体的な方法や考え方はそれぞれでも、中学受験をする家庭の母親は、大なり小なり「狂気」、少しソフトな言葉に言い換えれば「一生懸命」です。

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受験をしない家庭の親御さんから見れば「何もそこまでしなくても」となり、それが「狂気」に映ります

塾の先生はわかってくれる

受験に関係のない外野の人々だけでなく、一番近い家族や夫から「狂気」=「懸命」が理解を得られないため、母親の気持ちは揺れますし、追い込まれます

ママ友においそれ相談するわけにもいかず(うっかり相談すると面倒なことに…)、親に愚痴をこぼしたところで…です。

そうやって「孤独感」にさいなまれ、子どもの成績も思うように上がってくれないとなれば、心身のバランスを崩す母親は相当数いても不思議ではありません

「私のやっていることは子どもを苦しめているのではないか」「子どもに好きなことを我慢をさせてまで勉強をさせるのは意味があるのか」と、自問自答しては苦しみます。

2021年秋にテレビドラマ化された「二月の勝者」でも、「母親の狂気」がテーマになった回がありました。その際のカリスマ塾講師・黒木蔵人の対応は鮮やかでした。

「苦労されているのは(子どもとともに)お母様も一緒です。塾通いを始めた4年生からの2年間、本当に大変だったと思います」

母親の「狂気」=「懸命」にまず理解を示したことで、お母さんは鼻の頭を赤くしながら涙が止まりません。

そして決めのひと言「匠さん(受験生の息子)は決してできないお子さんではありません。できることがこんなにあるんです。匠さんが自分の持っている力で力強く成績を伸ばしていけるように私たちがお手伝いします」。

黒木の言葉の背景には、お母さんの「狂気」=「懸命」の方向は間違っていないという「励まし」とともに、我々(塾の先生)はお母さんの「応援団」です、という意味が込められています。

母親の「狂気」が認められた瞬間です。心のよりどころを得たお母さんは、百万の味方を得た気持ちになりまた歩き出せるのです。

実際には塾をやめようとする家庭を引き留めるための「巧みなレトリック」が半分以上含まれているのですが、苦しんでいる母親にとっては「刺さる」言葉です。

「塾の先生の言葉に救われた」という親御さんは少なくありません

迷ったり、苦しくなったら塾の先生を頼ってください。それも「受講料」のうちです

不合格への「勘違い」「筋違い」

ただ、塾への勘違い、筋違いの「狂気」は「受験失敗」につながります。塾への「狂気」とは、塾に対する「過度な期待」です。

「●●塾じゃないと難関校は合格しない」「●●塾に任せておけば大丈夫」など、塾に厚い信頼を置くのは良いのですが、自分たちは何もせずに塾に通っていれば自然と難関校に導いてくれると頭の中で「妄想」を描いているのは、的外れもいいところです。

「そんなバカな…」と思うかもしれませんが、このタイプの勘違いがはなはだしい親御さんは、みなさんが想像している以上に多いのが現実です。

「サピックスに入れば御三家」「早稲田アカデミーのNNに行けば志望校逆転合格」など「考え方」はさまざま。総じて言えるのは「塾とのコミュニケーションは皆無に近い預けっ放し」「中学受験について持論ばかり主張し、先生の話はうなづいているが右から左」「中学受験は見栄のためにやっている」ような親御さんです。

筋違いの「狂気」は、塾が勉強を「できるように、やる気が出るようにしてくれる」と思い込むことです。成績が上がらなければ「教え方が悪い」となじり、最終的に志望校に合格しなければ「この塾にダマされた」と捨てゼリフさえ吐く人もいます。

塾は志望校合格のために必要な教材とノウハウ、そして情報を金額に応じて提供してくれます。しかし、それを調理、味付けをして料理として仕上げる(入試問題を解くための引き出しを増やす)のは、通っている生徒自身です。

同じ時間数、同じ教材なのに成績の差が生まれるのは、生徒の「資質」も確かにありますが、8割方は生徒自身の頑張りと工夫です。小学生だけに頑張りと工夫を求めるのが難しいので、親御さんのアシストが成績、合格を左右するのです。

塾を信頼することは大切ですが、それですべて「完了」ではありません。

生徒自身の取り組みが何よりの中学受験ですが、親御さんが先生とまめに対話をしながら、子どもが一番伸びるよう、気持ちよく勉強できるよう、常にカスタマイズしていく――。親御さんの一歩踏み込んだ、端から見れば「狂気」=「一生懸命」が中学受験では必要要素の1つです。

クールに でも強い気持ちで

一生懸命やっていることは、関心のない人から見れば滑稽な「狂気」にしか映りません。

しかし、中学受験だけでなく、高い壁を乗り越えようと決意したのなら「狂気」と思われるくらいのひたむきさがなければ、満足のいく結果は得られません。

頭の中はできるだけクールに、けれど子どもには苦しい時こそ寄り添う強い気持ちで外からは少しくらい「狂気」と思われるくらいで「丁度いい」。それが中学受験です。


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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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