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中学受験「コスパとタイパ」改善への6つの行動


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「割に合わない」中学受験
「塾を使い倒す」が最高のコスパ
「お迎え、すきま、細分化」
・「種まき」を続けることの大切さ

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「割に合わない」中学受験

現代社会は「コスト・パフォーマンス」(費用対効果)と「タイム・パフォーマンス」(時間帯効果)を重要視する風潮にあります。

投入した費用に対して、得られる価値やメリットの度合いのことを指す「コスパ」。かかった時間に対してどのくらいの効果が得られたかという視点で行動の価値を測る「タイパ」。この2つ、実は中学受験とは一番マッチしない、遠い存在にあります。

中学受験はコスパもタイパもかなり悪い、つまり「割に合わない」プロジェクトに終わる可能性が高い挑戦です。

小学3年生の2月から大手進学塾に入り、受験勉強をスタートする標準的な生徒で、第1志望合格は25%程度、4人に1人です。
3年間で300万円前後かかる大金と1000日を超える膨大な時間を考えれば、それに見合った結果とは言い難いです。

ただ、支払ったお金を生かし、効率の良い時間の使い方にするには、日ごろの些細な「行動」で改善できる余地があります。

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入塾当初は下位クラスにいた子や転塾を機に「姿勢」を改めた親御さんは程度の差はあるものの、日々の「行動」を意識して「結果」を出しています。子どもの成績アップをアシストし、志望校合格を果たしている背景にはお金の有効利用と時間の有効活用をするための「努力と工夫」が見られます

「塾を使い倒す」が最高のコスパ

中学受験のコスパ改善の第一は「塾の先生への質問」です。

通塾したら先生に質問、は当たり前のように感じますが、多くの生徒が受講料に含まれる「特典」=「質問」を有効利用できていないのが現実です。

授業が終わると、中下位クラスの子は分からないことがあっても、気になることがあっても笑顔で教室からいそいそと出て行きます。「勉強おしまい」モードに切り替わるからです。授業が始まる前に早く来て質問することもありません。開始1分前に駆け込んできて、終われば1分もしないうちに「さようなら」です。

人にもよりますが、成績上位の子、成績を徐々に上げてきた子は違います。塾の先生を質問で「使い倒す」ことをしています。授業が終われば疑問点を尋ね、家庭学習でつまづけば授業前に、あるいは授業がない日で担当の先生がいる日に質問に来ます。

質問が「当たり前」になっている生徒とそうでない生徒、入塾時は成績の差がなくても3年間で「絶対に縮まらない差」が生まれます。質問は受講料に含まれています。それを自ら放棄しているとすれば、コスパはすこぶる悪いといえます。

子ども自身が積極的に質問に行けないなら、きっかけ作りとして親御さんが連絡を取って「橋渡し」をします。成績が振るわない子にとって質問は「敷居が高い」です。「分からないことがあるのは恥ずかしい、格好悪い」と思っています。そこを親御さんのアシストで、風穴を開けてあげます。

コスパ改善の2番目は「教材のフル活用」です。

大手進学塾の教材は程度の差、アプローチの仕方の違いはあっても、カリキュラム通りに進め、これをマスターすれば、最難関校に合格できる内容、レベルになっています。市販の参考書や問題集はなくても大丈夫です。

しかし、大半の生徒、親御さんが塾のテキスト、テストの類を有効利用できていません。解答解説が十分でない、内容が難しい、説明が不十分…理由はさまざまですが、これはコスパ改善の第一歩である「質問」とセットで改善していきます。

塾のテキストの問題をやって手も足も出ないと、親御さんは家庭教師や個別塾、市販の参考書や問題集に頼る傾向が強いのですが、出費がかさむだけで十分な効果が得られないこともよくあります。

それよりも塾の先生に質問してできない問題を丁寧に解説しても裏だけでなく、子どものレベルに合わせて取り組む課題の取捨選択をお願いしたり、テキスト、テストを使っての家庭学習の進め方を指南してもらう方が有益です。

追加の「補正予算」を組んで成績不振からの脱出を図るより、塾の教材「一点絞り」で繰り返し取り組むだけで志望校合格は可能です。質問と同様、教材でも塾を「使い倒す」のがコスパを良くします

3つ目は「変化球」になりますが、塾代に回す予定だった軍資金の一部を違う塾に「転用」して、有効な対策を打ちます。これは6年生秋からのコスパ改善対策の1つです。

6年秋から大手進学塾の多くは「志望校対策特訓」を日曜日に行います。土曜日も「土曜特訓」の名のもとに入試問題を使った演習授業を展開します。

しかし、男女御三家や早慶附属・系属校などの学校名が付く「冠講座」を受講している子や難関・上位校受験の生徒以外は正直なところ「お呼びでない」ものです。

偏差値50台前半から40台後半、首都圏模試で偏差値59以下の学校を志望している生徒は、基礎確認と受験校の過去問対策として、それぞれの塾が展開している個別指導教室(サピックスの「プリバート」や日能研の「ユリウス」など)の利用がお勧め。特訓授業用の費用を個別に回します。

特訓授業を「必修」としている塾もありますが、家庭の方針を話せば塾側もダメとは言いません。他塾ではなく、グループ内にお金を落とすわけですから抵抗もありません。

その代わり、普段の授業をより大切にします。先生にお願いして、基本の徹底と授業で分からなかったことの質問を積極的にします。ここでも親御さんの「一歩踏み込む」という姿勢が肝になってきます。

「お迎え、すきま、細分化」

コスパ改善が「塾との関係」にウエイトがかかっているのに対し、「タイム・パフォーマンス改善」は親御さんの管理能力が勝負です。

まず「塾のお迎え」です。

塾によって授業終了時間はそれぞれですが、できれば親御さんが毎回子どもを迎えに行きます。家から近くて、それほど危険ではない帰り道だとしても迎えに行きます。

授業が終わると、子どもはホッとして塾友とおしゃべりをしながら、じゃれあいながら帰宅の途に就きます。「息抜きの場」です。勉強に息抜き、休息は必須ですが、授業後の際限のないダラダラな息抜きはすべてを無駄にします。

帰宅後の短い時間で、夕食や風呂、授業の復習、そして就寝と、一連のリズムをつくるのに、その導入部にあたるお迎えは大切です。帰路、迎えに来た親御さんと「きょうの塾ばなし」の雑談をするのも、我が子の学習のヒントになりますし、後々のいい思い出にもなります。

2番目は「すきま時間」の活用です。

塾に行く前に軽食を食べながらの10分、電車やバスで塾へ行く間の10分、寝る前の5分…こんな時間をかき集めると、1日1時間程度はあります。

ここで国語の慣用句を1つ2つ覚えたり、YouTubeで歴史の動画を見たり、塾でその日にやった内容を書いたノートやテキストに目を通したり、と短時間でやれることをやります。

1回ずつは大したことのない時間と量ですが、この積み重ねは3年という年月で「貴重な財産」になります。

ただ、「すきま時間勉強」をどの場面でも「必須」にしてしまうと、子どもは嫌がります。疲れている時や乗らない時もあるので、月に何度か「スキップする」権利を子どもにあげます。

受験勉強は「スケジュール満タン」より「いかに休みをうまく挟み込むか」で「流れ」が決まります

最後は「勉強時間の細分化」です。これは成績が低迷している子、勉強の集中力があまりない子には効果があります。長時間1つのことをやり続けるより、集中力が持つ時間内で取り組む方がパフォーマンスは上がります。

「どんな方法でもいいからこの範囲の漢字10個を10分で書けるようにする」「この図形の問題、10分で解く。分からなければ、いけるところまで行って、すぐ解答解説を読み、どこが分かっていなかったかを確認する」など、目先を変えて勉強します。

2つの単元で5分休憩とか、子どもによっていろいろカスタマイズします。詰め込むより「ああ、面白かった」で言える程度で終わると、子どもは「次またやろう」という気持ちになります。

親御さんはタイムキーパー兼教材用意係です。次の単元に移る際に、岩手名物「わんこそば」のように間髪入れず教材を並べます。厳しくではなく、楽しくやるのがコツ。タイパ改善の肝は「ゲーム感覚」です。

「種まき」を続けることの大切さ

中学受験「必敗の法則」の最たるものは「塾への丸投げ」です。塾に何もかもお任せ状態で、親御さんはお金を払うだけというスタンスです。

塾のカリキュラムに乗って成績が良く、気持ちよく走っている子どもに「介入する」必要はありません。「丸投げ」でも良いでしょう。でも95%以上が「ウチの子ったら…」という状態なのが実状です。

塾は志望校合格に必要な教材とそれをどう活用したら良いかの「取り扱い説明」は、費用の分だけしてくれます。しかし、吸収消化するのは子どもです。塾はできるだけ「飲み込みやすく」はしてくれますが、完璧というわけにはいきません。

最後の「詰め」にして、最も重要な勉強の吸収消化は、家庭学習です。事実上、自走できる子がほとんどいないのなら、親御さんの伴走、アシストが流れを決めることになります

中学受験は決して安くない「投資」であり、貴重な時間を割いての「開拓」事業です。それ故、多くの親御さんが試行錯誤しながら、悩みながら、我が子にさまざまなアプローチを試みます。

難しいのは、子どもの数だけアプローチの仕方はあって、A君で効果てきめんだったことが、B君では全く反応なし、なんて話は当たり前ということです。血のにじむような努力をしているにもかかわらず、「先が全く見通せない」という親御さんは一人や二人ではないはずです。

前述した6つのやり方も一例であって、これがベストというわけではありません。受験で結果が出た「最大公約数」的なもので、もっと有効なやり方もあるかもしれません。

ただ、1つ言えることは「種をまき、手入れをし続けないと花は咲かない」ということです。

短期間で種まきの効果が出る子もいれば、入試直前、もしかとたら当日にやっと花が咲く子もいて、無責任な言い方ですが、こればっかりは「やってみないとわからない」というのが本当のところです。

それでも子どもは1つの「きっかけ」で大きく変わります。親御さんの粘り強い「種まき」がいつか実を結びます


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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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