中学校別対策

志望校選び「意外と」見落としがちな6つの要素


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重要視の割合10%以下の6要素
「学校の歴史」「宗教教育」
「制服・新校舎」は親子で対照的
・ 特待生制度、入試問題の傾向

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重要視の割合10%以下の6要素

週刊誌「サンデー毎日」と大学通信の学習塾の塾長、教室長を対象にしたアンケート(サンデー毎日22年10月9日号掲載)によると、親御さんが中学受験の志望校を選ぶ際に重視している3大要素は「大学合格実績」「交通の便」「偏差値」でした。

それぞれ85~60%前後の先生が、親御さんと接する中で「何を重要視して受験校を決めているか」を体感して答えたアンケート結果(複数回答可)なので、かなり信ぴょう性があります。

逆にそれほど気にしていない「要素」は何があるのでしょうか。同アンケートで回答の割合が10%を切った6つの要素を並べてみます。

6つとも、「重要ではない」のではなく、受験校を絞るうえで「優先順位が高くない」、というもので、実際受験をする際にはぜひこの6つも考慮に入れて考えるべきであることは、言うまでもありません。

「学校の歴史」「宗教教育」

親御さんは「学校の歴史」(7.9%)、「宗教教育」(2.6%)にそれほどこだわりがないようです。

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明治時代から続く「伝統校」でも、学校創立からまだ日が浅い「新興校」でも、それだけで受験校として選ばれることは少なく、「大学合格実績」や「偏差値」がどうなのか、という「現実」の指標を加えての選択になります。

ただ「伝統のある進学校」の安定感はさすがです。毎年受験者数の激増、激減などはほとんどなく、一定数の志願者を集めます。男女御三家はその典型例です。

逆に「新興校」は、目新しさから当初驚異的な増え方で受験生を集め、大学入試の結果を経て「安定的な人気」になるか「横ばいからやや下降線」をたどるかの道に分かれます。

最近の「新興校」は、もともと「伝統校」としての歴史がありながら、学校経営の方針変更で「校名変更、共学化」となるケースが大半です。もう一度「リセット」して再スタートを切る、といった感じです。

ここで「イメージチェンジ」に成功すけば、「人気校」への仲間入り。受験者数を集め、複数回の入試を実施して合格者を絞り、偏差値が上昇するという「戦略」は「人気校」から「難関校」へと続く1つの「ロードマップ」として定番化しています。

「宗教教育」はキリスト教系の女子校を中心に、「心の教育」の一環として「売り」にしている学校も多くあります。毎朝の礼拝や週1,2回ある「聖書」の授業内容、その意義を学校説明会で丁寧に説明します。

しかし、親御さんの方では宗教色で受験校をどうするか、と考えるケースはそれほどないのか現実です。どの学校も、日曜礼拝などは「おすすめ」するだけで、強制されたりするわけではありません。

ただ、礼拝や聖書の授業で「ピンとくる」子は毎年何人もいるようで、10代という多感な時期に目覚ましい「心の成長」を遂げる子もいます

「制服・新校舎」は親子で対照的

「制服」「新校舎」(ともに6.4%)は、親御さんの学校選択の優先順位としては高くありません

対照的に、この2つは受験生本人たちにとっては「決め手」になることも多いので、そのギャップはとても面白いです。

特に女子は「制服が気に入ったから」「新しい校舎ができるから」といった理由を志望動機として挙げる場合が少なくありません。制服は夏服、冬服、高校でも新たな制服とバージョン変更が多彩なうえ、最近はスカートだけでなく、パンツスーツも選択できる学校も増え、女子校や共学校は「制服」に気を使っています。生徒募集に直結するからです。

「制服」にしても「新校舎」にしても、子どもにはうれしい限りですが、親御さんの負担は相当なものです。

制服だけで一式そろえれば大抵は10万円以上します。新校舎も「寄付金」、「設備費」の値上げといった形でまとまったお金が出て行きます。

寄付金は任意で強制ではありませんが、空気感として「出さざるを得ない雰囲気」になります。

特待生制度、入試問題の傾向

意外だったのが「特待生制度」(7.3%)と「入試問題の傾向」(3.8%)親御さんの中で、志望校を決めるうえではそれほど注目度は高くないようです。

特待生に選ばれて、入学金や学費が免除されれば名誉なことだとは思いますが、中学受験をする家庭の多くが経済的に学費くらいなら何とかなる家庭で、そこを狙って、という受験は少数派です。

もちろん「6年間の学費免除」などの「目玉商品」を用意している学校へは志願者が集まります。通常の特待の範囲内だと、どの学校にもある制度なので、親御さんの目にはそれほど魅力的に映りません。

「入試問題の傾向」は、受験の行方を左右するともいわれますが、実際そこは「塾にお任せ」という親御さんが多いため、受験校決定の重要項目の上位に上がってこないのでしょう。

それぞれの中学校で入試問題には特徴はあるものの、受験するかどうするかを左右するほどの差でなければ、親御さんも深くは考えません。

ただ、学校説明会では一歩踏み込んだ「出題傾向・内容」が学校側からアナウンスされます。その話を担当者からされたときに「よくわかる」(具体的にどういう問題が出題されるか想像できる)ようにするためには、親御さんは「入試問題の傾向」を、前もって頭に入れておくことは大切です。

せっかくの学校側からのメッセージです。少しでも有効活用することで、子どもの合格をアシストします。


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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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