中学校別対策

中学受験 「特待生入試」の偏差値が高い理由


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◆中学受験の窓口 今日のメニュー
・複数回入試、募集人員少なめ
・実際に入学する生徒の実力
・進学塾と中学校の「関係」
・偏差値は「あくまで目安」の意味

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複数回入試、募集人員少なめ

中学入試はたった1回しか入学試験のチャンスがない学校もあれば、4回、5回と入試機会がある学校など形態はさまざまです。

複数回の入試がある学校の中には1回の募集が10人とか5人とか「かなり少なめ」の学校もあります。多くは「特待生入試」や「アドバンスト」のような選抜クラスを狙う生徒用の入試という「看板」が掲げられています。

こういう特別入試の偏差値は、受験生が一番集まる第1回入試のような「メイン」の試験より、合格可能性80%偏差値が「高く」出ます。

メインの入試より、2~3ポイント高いのが「相場」で、学校によっては5ポイント以上の差があります。

「仕組み」は簡単で、合格者数を絞っているため、持ち偏差値の高い子が合格している割合が多いからです。受験終了後、各進学塾が入試結果をまとめて「結果偏差値」を出すと「受験者多数・合格者少なめ」の回は、どうしても80%偏差値は高くなります

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私立中学の難易度を示す物差しである偏差値を語る場合、その学校の代表偏差値として親御さんに認知されやすいのは「一番高いポイント」です。

1回目入試の結果偏差値は「55」として、複数回入試をやって一番結果偏差値が高かったのが「60」だとすれば、その中学は「偏差値60の学校」という認識を親御さんは持つ傾向にあります。

実際に入学する生徒の実力

コースがいくつもあったり、入試が5回も6回もあった学校に実際入学する子はどういう生徒なのでしょうか。

一概には言えませんが、一番多いのが1回目入試=募集人員が一番多い入試で合格した生徒です。

第1回入試は普通「第1志望入試」とも言い換えることができます。特に2月解禁の東京・神奈川入試はその傾向が強いです。合格後、入学手続きをする割合も高い(歩留まりが良い)のが特長です。

その後に行われる「特待生選抜」の入試はというと、特待合格して進学する子もいるにはいますが、実はそう多くはありません

10倍前後の高倍率の中で合格する受験生は、最難関、難関校に合格する力がある子が多く、別の中学へ進むケースが多く見られます。「特待生入試」が「押さえ」になっているということです。

「特待生入試」が偏差値をつり上げて学校の「ブランド」力アップのためだけに使われているかというと、そういうわけでもありません。

特待入試では「スライド合格」という制度を設けている学校も多く、この範囲に入れば特待生ではないものの一般合格として入学が許可されます。

1回目入試残念組、他校残念組などもスライド合格者の中に含まれており、相当数が入学します。

ただ、スライド合格組は特待入試の「正規合格」とカウントされているかどうかは微妙で、各進学塾が結果偏差値を出す場合に「特待合格」のみで計算すると、偏差値は高くなりやすくなります

特待合格の入学者が少なく、スライド合格者が多いと、入学者との偏差値の「ズレ」が生じることになります。

進学塾と中学校の「関係」

ただ、偏差値は「入試結果」だけで決まるものではないのが中学受験です。

各塾の偏差値表は模試で出た志望者の偏差値データと入試結果を照らし合わせたものに加え、入試の志願者動向などを加味して、合格有望(合格可能性80%)やボーダーライン(50%前後)、志望校再考あるいはかなりの努力を要する(20%)などの判定を決定します。

データだけで決めているとすれば、そこに人の意思は介入できないことになりますが、「入試動向などを加味」というのがくせ者。ここに何らかの「意図」が入り込んでいる可能性はあります

私立中学の多くには「入試広報課」というセクションがあります。職員募集要項などには仕事内容として「進学塾への訪問」をメインにしているととれるものもあります。具体的に言えば、学校と塾との「窓口」となり、学校のイメージアップを図るというものです。

進学塾と中学側は「持ちつ持たれつ」の関係です。塾側の動きを見ていると、どの中学さんと「親密」かが分かってきます。

入学試験での優遇措置はないとは思いますが、偏差値のポイントを若干上げるくらいの「アシスト」は十分あり得ます。 

偏差値は「あくまで目安」の意味

そうなると偏差値表の信ぴょう性というのも怪しいものになります。

しかし、塾側も「色を付けた」ものだけを出すと信用にかかわるので、すべていい加減というわけではありません。ただ、複数回入試があって、どれがその学校の偏差値の「相場」なのかは分かりずらくなっているのは確かなことです。 

「バブル偏差値」によって、とても高い壁に見えた志望校が、模試の合格可能性40%、30%くらいでも合格してしまうのは、実際には合格できる実力があったにもかかわらず、色付きの偏差値によって判定されていから、というのもあり得る話です。

偏差値表を「あくまで目安」という言い方をする塾の先生もいますが、その意味がわかるような気がします。 


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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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