中学校別対策

前受けでも熱望でも…埼玉&千葉は「初回」で


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「前受け」こそ全力で勝負
「前受け」複数校受験の意味
毎年違う「読めない」2回目
・偏差値がアテにならない2回目

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「前受け」こそ全力で勝負

1月10日解禁の埼玉の中学入試、同20日からの千葉入試は、どうしても「お試し」「前受け」というイメージが強いです。

東京中心の中学受験に対する考え方がそうさせているのは否めません。それでも忘れてはならないのが「お試し」どころか、埼玉、千葉入試こそが天王山、いきなり「決勝戦」の受験生も数多くいるというこです。

埼玉、千葉の学校が第1志望であったり、進学先の候補である子は当然「真剣勝負」で挑んできます。中学受験は本番になると学力や偏差値より「メンタル勝負」になります。程よい緊張とともに気持ちが集中している子は入試本番で最高のパフォーマンスを見せます。

「お試し」だとか「模試代わり」など、ユルい気持ちで受験すると、実力的にはやや劣るかもしれない熱望組に超されます。「お試し受験、まさかの不合格」「特待落ちのスライド一般合格」などの結果です。

「楽勝」だったはずの「試合」で苦戦、まさかの黒星スタートは、その後続く各校の入試で少なからず影響を与えます。総じて言えるのは「流れが悪くなる」方が多いということです。

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よく「前受けで落ちたら気合が入った」という体験記を目にします。もちろんそういうケースもあります。しかし、合格体験記は「成功者の記録」。負けて納得のいかない入試結果の声はなかなか届きません。

埼玉、千葉入試が「前受け」という位置づけの子でも、最初の入試は「決勝戦」のつもりで「全力投球」です。この「1戦目」で納得できる結果を出すと、不思議と2月もいい流れになることが多いです。

「前受け」複数校受験の意味

ただ、受験生本人は全力を出し切ったとしても結果が伴わないこともあります。12歳の受験です。どこかでボタンが掛け違ってしまってそのまま…ということもあります。

「前受け」で思わぬ「黒星」となった場合、「もう1回チャレンジ」とばかり、翌日などに同じ学校を受験する場合があります。

「リベンジ」、大いに結構なのですが「イレギュラーなことを急きょ入れる」というのは、中学受験の本番に突入した場合は「ご法度」です。気分を変えて別の学校を、というのも考えられますが、過去問を一度もやったことがない学校はリスキーです。

「まさか」の時に慌てないためにも、「前受け」はあらかじめ2、3校受験する予定を組んでおくのが得策です。「デキる」親御さんは「前受け」のスケジュールも2月入試同様入念に練ってエントリーします。最悪でも確実に「1勝できる」学校を組み込んでいます。

実際の入試は模試の何倍も意味がある「実戦体験」です。「連勝」すればかなり勢いがつきます。2月受験まで間が空きすぎるのもあまりよくありません。前受け複数校受験は、志望校合格の布石のためにもおすすめです。

毎年違う「読めない」2回目

埼玉、千葉が第1志望、熱望校なら強い気持ちとともに実力も十分つけて初回入試に臨む必要があります。「ダメだったら2回目もある」と考えがちですが、厳しいことを言えば「2回目は1回目と比べ物にならないくらいエグい入試」になります。

多くの学校が複数回の入試機会を設けていますが、東京や神奈川と同じく、回が進むにつれて実質倍率が跳ね上がり、合格者数はかなり絞られる傾向にあるからです。

都内の難関校との併願も多い埼玉の立教新座は、23年度入試で1月27日の第1回では募集人数100人に対し、1685人が受験し804人が合格、倍率は2.1倍でした。2月に行われた第2回の入試では募集40人に対し217人が受験し、合格者数は応募定員より若干多い46人。倍率は4.7倍でした。

もう1つ、こちらも人気校の千葉・東邦大東邦。23年度前期入試(1月21日)では、募集240人に対して受験者数男女計2147人が集まり、987人が合格、倍率は男子が2.1倍、女子は2.4倍でした。

しかし、2月3日の後期入試では募集20人に対し、男女457人が受験し、合格は男女11人ずつの計22人、倍率は男子21.4倍、女子は20.2倍。22年も2回目は男子9.6倍、女子も7.4倍と高倍率でしたが、それをはるかに超えた「狭き門」でした。

1回目では立教新座が定員の8倍超、東邦も4倍超の合格者が出ましたが、一転して2回目はほぼ定員通り。1回目の入試で合格者の「歩留まり」が良く、2回目の合格者を多く出せなかったと推測できます。合格者数が年によって違うという「読めない」のが2回目入試の特徴でもあります。

この実質倍率を試験前に知っていたら、親御さんとしても我が子の合格を確信することはとてもできないと思います。

偏差値がアテにならない2回目

大手進学塾の偏差値表をみると、立教新座も東邦大東邦も2ポイント程度第2回の方が低いのですが、それだけで「1回目より易しい」と判断するのは短絡的です。

子どもの持ち偏差値はそうかもしれませんが、わずかな合格者しか出ない2回目以降の入試で合格を勝ち取るのは偏差値勝負ではなく、メンタル勝負です。

ベタな言葉ですが「どうしても合格したい」「負けられないという」気持ちが空回りせず、落ち着いてテストにぶつけられた子が、2回目以降の入試で合格を手にします

偏差値的に見て厳しい子が合格し、レベル相応の子が落ちる…2回目以降の入試はこんな現象が珍しくないのです。

学校によっては複数回入試を行っても、合格者の「歩留まり」の読みがはずれて、2月入試が終わったころから「繰り上げ合格」を出すところも少なくありません。

しかし、倍率の厳しさ、精神的重圧を考えると、中学入試はやはり「初回勝負」です。1回目入試で勝ち続け、流れを良くしたまま、志望校に挑戦します。


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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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