中学校別対策

中学受験 偏差値と入試の難易度は比例しない?


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親御さんが見落とす「視点」
開成入試にみる基本問題の大切さ
入試での「応用」問題の扱い方
・デキる子も「まさか」のつまづき

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親御さんが見落とす「視点」

入試が近づいてくると、多くの親御さんが我が子に対して口をそろえて言う悩みがあります。

「ウチの子、応用問題が弱くて…」

算数や理科、あるいは国語の記述問題などを対象に、やや難易度の高い問題、正答率が40%以下の問題に対して、過去問や模試の出来が芳しくないという悩みです。

このあたりの問題ができないので偏差値が伸びない、過去問の合格最低点に届かないあるいはボーダーライン前後をウロウロしている、という不安を親御さんは吐露します。

この悩みを訴える前に親御さんは冷静に子どもが問題を解くために使った問題用紙などの「余白」を良く分析してみてください。応用問題、正答率の高くない問題以前に「基本問題」が正確に解けているどうかのチェックの方がはるかに大切です。

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何も書かずブランクのままの解答欄、手を付けた形跡がない問題にばかり目が行きがちですが、多くの入試が「基本問題」「標準問題」を確実に正解していけば合格に至るという視点を親御さんは見落としがちです。

開成入試にみる基本問題の大切さ

実際に合格している子は「応用問題や難問ができた」というより「落としてはならない基本問題」の正解を丁寧に積み重ねた子です。

少し古い話になりますが、2018年の開成の算数の問題がその好例です。

その年出題された算数の問題は「開成にしてはあまりにも易しすぎる」と中学受験界が騒然としたほど、偏差値70超の最難関校にしては「あり得ない」と言われるような入試問題でした。

基本中の基本、中堅校レベルの子でも多くが正解できるような問題で「これでは差がつかない。みんな満点だ。何でこんな問題を出したんだ。開成合格に向かって努力して難しい問題に取り組んできた生徒の気持ちを踏みにじるものだ」と激怒する塾講師もいたくらい「衝撃の易しさ」でした。

しかし、結果は85点満点で合格者平均73.9点。受験者平均が62.0ですから約12点差がつきました

開成受験生の算数のレベルで考えれば、全員満点、あるいはかなりの高得点で差が付かないのではと懸念されましたが、実際には受験生全体で、平均4,5問不正解になっていますし、合格者平均と受験者平均で例年と大きく変わりない点差がつきました。

開成受験生で算数ができない子はほぼいません。結果から見て「基本問題をどれだけ落としたか」という差で算数は勝負が決まったのです。

入試での「応用」問題の扱い方

中学受験でも大学受験でも、難関校の入試問題は難しくて、中堅校や一般校は易しいというイメージが親御さんにはあるかもしれません。

正確には難関校の問題はよく練られた、解法暗記ではできない「出題された問題の本質を分かっているかどうか」「与えられた条件や原理原則を踏まえて結論(解答)を出しているか」ということを問う「良問」であって「難問」ではありません

むしろ中堅校の方が「これは難しい」という問題が混じっていたりして、正答率が10%を切ったり、適当に答えたものが「当たった」なんて現象が起こります。問題の難易度は学校の偏差値だけで判断できません

偏差値が急上昇している人気校や「国際系」と呼ばれる進学重視の中学、算数や理科で合格者平均点が満点の半分程度や5割を切るような問題はよく出す中学校は、応用・発展問題の「解きにくさ」に惑わされず、基本問題だけをきっちり正解することに集中した方が、合格への近道になります。

一方、難関校で合格者平均が高い場合は、リズムよく解くとともに、1つ1つ的確に正解を積み重ねるという「地に足の着いた」姿勢が肝要です。平均点は公表していませんが、慶應系の中学などが典型例です。

入試本番では決して難問を強引に解こうとして「沼」にハマらないように。難問に正解しても基本問題でも配点は大きく変わりません。「リズムを良く解く」ことがポイントです。

「解答への糸口が見つからない」「方向性が見えない」時は迷わず「後回し」です。模試や過去問演習で「深追いしない」練習をしておくのは本番で大いに役立ちます。

デキる子も「まさか」のつまづき

算数で言えば、大問の場合、小問の(1)と(2)を確実に、できれば(3)まで正解、あるすは部分点を獲れるようにします。前提として、最初の計算問題、小問集合(一行問題)を慎重に解いて確実に得点を重ねます。

難関校のようにいきなり大問スタートの場合も慌てず、(3)までの生か死を目指します。もっとも難関校を受ける生徒なら、大問を解いているうちに「出題者の意図」をくみ取り、解答の糸口が見つかれば「芋づる式」に正解に至ります。基本をきっちりおさえているからこその「芸当」です。

応用問題ができない、というのは応用問題そのものができないというより、その前の基本に弱点があることの方が実は多いです。応用問題そのものの解決策を探るより、つまづいていたら「まさか」と思うようなところまでさかのぼって復習します。

「えっ」と絶句するようなことが実は分かっていなかった、あやふやだったということは、難関・上位校を受験できるレベルの子でも「中学受験あるある」です。

常日頃からの「復習」はやはり一番大切です。


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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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