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品川翔英「校則問題」にみる中高一貫校の自由度


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品川翔英高生、人権救済申し立て
伝統を守る?時代とともに変化?
肌感覚も…偏差値帯と校則の関係
・「知らなかった」では済まない

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品川翔英高生、人権救済申し立て

12月5日、共同通信社が各マスコミに配信した記事に、あまり耳にしたことのない申し立てがありました。共同の記事をネット上に公開した日刊スポーツの記事の見出しにはこうあります。

「校則がないから入学したのに厳しい指導」東京・品川翔英高生、人権救済を申し立て

記事を簡単にまとめると、品川翔英高の3年生が「校則がない」ということを入学説明会などで聞き、同校に進学。しかし、入学してみると髪を染めている生徒への指導が始まり、「ドレスコード」が導入され制服着用が求められるようになったといいます。指導に従わない場合は指定校推薦をしないと言われたり、行事への参加を制限されたとのこと。23年1月に「校則がない」という文言はホームページから削除されました。

代理人弁護士は、私立は学校運営の自主性が認められているとした上で「生徒の自己決定権が侵害されている。指導するなら生徒の意見を十分にくみ取って校則を作るべき」とし、東京弁護士会に人権救済を申し立てました。

品川翔英は1932年創立で、19年まで小野学園女子として中学、高校で生徒を募集、20年度から共学となり現校名となりました。校則がない、学校が決めたクラス担任ではなく、生徒が担任を決める「メンター制」を採用、定期テストなしなど、でにわかに話題となりました。

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21年度の高校入学者数は定員の300人の2.5倍以上の800人超に。中学入試では定員割だった学校がいきなりの「人気」で、教室、先生とも不足状態に。なんとか急場をしのいだものの、文部科学省の「指導」の対象になり、どちらかというと地味な印象の学校が一躍「注目校」になりました。

伝統を守る?時代とともに変化?

記事だけでは背景や経緯が分からないところも多く、学校側の言い分もないことから、どちらの主張に筋が通っているかどうかは判断しかねます。ただ、中学受験をする家庭にとっては入学前にそれほど重要視していない傾向にある「校則」について、少し考えさせられる高校生の訴えです。

「私立は校則が厳しい」というイメージが親御さん世代では強いかもしれません。実際、頭髪検査や女子のスカートの丈の長さ、制服の決まりなど「うるさく」指導する学校も現存します。校則に厳しいある女子大附属の先生は「それが嫌なら本校を受験しなければいいだけ」と話し、その「伝統」は守り抜く方針のようです。

一方で時代とともに柔軟な姿勢を見せる中高一貫校も増えています

学校側と生徒会が定期的に話し合いの場を持つ共学校、生徒の意見をまとめた代表委員会が学校側と協議、生徒側が求めた内容を承認する代わりに、運用も含め罰則も生徒側に決めさせ、責任を持たせる女子校…。新しいやり方で「校則」をアップデートしている学校もあります。

推測の域を出ませんが、今回の品川翔英の場合は、今までにない画期的な「学校」の誕生で経営危機の状態は脱したものの、学校側予想を超えた服装や髪の色、学校での生活態度に教職員が戸惑い、古典的な「締め付け」という方法で問題を解決しようとした流れがうかがえます。

救済申し立てをした生徒以外でも「入学前と話が違う」「校則はないがルールはあると言ってくる先生がいる」など、生徒同士のトラブル対応も含め、おとなしめの女子校から画期的な共学校への体制変更は「道半ば」といったところでしょうか。生徒集めの「劇薬」は副作用も強かったようです。

肌感覚も…偏差値帯と校則の関係

一概には言えませんが、偏差値帯でみると、難関校上位校とされる学校の方が「校則」は割と緩く、自由度が高いというのが肌感覚としてあります。普段から気持ちが開放されているからか、陰湿ないじめなどの話はほとんど聞かれません。

男子校の麻布は校則がありません。代わって生徒たちが自主的に決めた「麻布三禁」(校内での麻雀禁止、授業中の出前禁止、校内を鉄下駄で歩くことの禁止)があるくらいで、時代的にもこれを破る子もいません。御三家の一角、開成も校則はあるにはありますが、どれも常識的なもので、一番厳しいのが、登校や部活動の対外試合などで出かける場合は「制服着用」といったところです。

大学附属校は学校によつて大きく違います。MARCHの附属校はやや厳しめかもしれませんが、中央大附属のように中学は制服着用も高校からは服装、髪型自由の「中附スタイル」で登校が可能。ロン毛に茶髪もいれば、服装もそれぞれです。同じ中大の附属の中大横浜は中高6年間制服あり。スマホのルールも厳しいようです。

偏差値50前後の中堅校は比較的「校則厳しめ」「勉強の課題多め」の傾向にある感覚です。

先生方も目を配ってくれていて、預けている親御さんは「安心」かもしれません。ただ、青春時代を過ごす多感な10代の子どもたちには少々「窮屈」ではと思うこともあります。その気持ちが学校生活の中で表れてしまい、生徒同士のトラブルに発展することも少なくはないようです。

「知らなかった」では済まない

いじめの対応なども含めて進学候補校の「校則」に関して、親御さんは頭に入れておいた方が良いでしょう。

学校説明会の機会も少なくなってきましたが、可能ならそこで質問するのがおすすめ。入学してから「知らなかった」では済まされないこともあります。いじめの加害者になった場合など、最初は反省文程度で許してくれるところもあれば、一度でも問答無用で「退学」という学校もあります。

生徒同士のいざこざは、互いに握手して終結を図る「曖昧な」解決法しかとらなかったのに、ネットの掲示板に先生の悪口を一度書き込んだだけで退学処分にした学校もあります。成績優秀で大学の進学実績の「見た目」を良くしてくれそうな子に、校内で不祥事を起こしても「もみ消した」という話も聞きます。

話半分ですがネットの各校の「口コミ」でチェックするのも大切。すべてが事実ではありませんが、多くの投稿者が共通して書き込んでいる「最大公約数」はホントのことが多いです。参考程度にのぞくのは「あり」です。


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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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