中学受験 偏差値&成績

6年生夏期講習「期待薄な子」に有効な勉強法


にほんブログ村 筆者プロフィール

◆中学受験の窓口 今日のメニュー
・講習で効果がある子と期待薄の子
・鍵はモチベーションUPのきっかけ
叱咤激励より1つの「できた!」
「雰囲気づくり」で風向きが変わる

スポンサーリンク

講習で効果がある子と期待薄の子

5月半ばですが、夏期講習の申し込みが始まっている塾もいくつかあるようです。

塾側は「受験の天王山」という触れ込みで、6年生の全員参加を前提にカリキュラムを組みます。

多くの家庭が参加申込書を提出しますが、その「当たり前」が酷な受験生も結構います。

6年生になると、夏期講習参加で「効果が出る子」と「期待薄の子」がハッキリするからです。

難関校に挑む生徒は、4年生から積み上げてきたものにもう一度「演習問題」を通じてローラーをかけて、秋からの本格的な志望校特訓講座(徹底した過去問と予想問題演習)へと進みます。

スポンサーリンク

一方で学校名付きの「冠講座」にも、上位校対策として開講される特訓授業にも、正直なところ「距離がある」生徒に夏期講習の演習中心のテキストは「厳しい」内容です。

鍵はモチベーションUPのきっかけ

講習テキストの演習問題は、基礎の確認とともに受験生がつまずきやすい問題を載せ、もう一度取り組むことで「弱点補強」につなげる意図があります。

難関・上位校が狙える子は「弱点」がある程度限られるので、「できることの確認」とともに「課題のあぶり出しから克服」へという流れで、志望校合格へと少しずつ近づきます。

一方、模試や通塾している塾の月例テストで4科(2科)トータルの偏差値50以下が続くようだと、夏期講習を有効利用することは難しくなります

偏差値の高い子に比べ、総じて「課題」が多く、演習問題の質量とも消化しきれないどころか、授業中「今何をやっているか分からない」状態もしばしば起きているのが、この偏差値帯です。

もちろん塾側もレベルに合わせてクラス編成をしているので、「手が出る」問題を通じ、少しでも成績アップにつなげようとします。

しかし「新しくできるようになる」ものがなかなか見つからず、効果は限定的なことが多いです。

授業に出席しても効果が限られる理由は「モチベーション」です。

難関校・上位校を必死で狙っている子と下位クラスの子の決定的な差は、成績以上にここにあります。

下位に長らく低迷している子で、気持ちが前向きの子はごく少数です。

逆に「モチベーション」が上がるきっかけをつかめば、成績アップは6年夏からでも可能です。

叱咤激励より1つの「できた!」

「頑張れ!」「やればできる!」「諦めないで!」「そんなんじゃ、どこも合格しないよ!」……さまざまな言葉で親御さんは我が子を叱咤激励します。

しかし、多くの場合、親の言葉は「暖簾に腕押し」「馬の耳に念仏」です。

それよりも子どもの「モチベーション」が高まって行くのは、1つの「できた!」です。

成績が低迷している子にとって、絶対的に不足しているものは「できた経験」=「自信の数」です。

これを1つ1つ積み重ねていくことで流れは徐々に変わっていきます。

「入試まであと半年なのに、そんな悠長な…」。追い込まれている親御さんはなかなか聞く耳を持ってくれません。

一気に不安を解決しようと、実力に見合っていない問題集を買い与えたり、状況が把握できていない家庭教師や個別塾に丸投げしたり…。問題はさらにこじれ、同じ偏差値帯を足踏みするか、さらに下降します。

そうではなく、基礎的な「確実にできる問題」を1つずつ増やし、次に手を伸ばせば届きそうな問題=少しのヒントでなんとかなる問題、を中心に攻め落としていくことで「できた経験」=「自信の数」を増やします

1日1つでも結構な数になります。継続していくと、状況は変わり出します。

問題は誰が経験値の低い、自信のない子に伴走、引っ張り上げるかです。

感情的にならず、沈着冷静に対応できるのなら親御さんがベストです。

難しい場合は塾の先生にお願いします。橋渡しは親御さんがします。

先生も講習中はかなり忙しいのですが、そこは親御さんも一歩踏み込みます。

密に連絡を取り、決して先生に「丸投げ」にしないように、親御さんも家庭での復習に付き合うなど協力します

塾は親御さんが踏み込むかどうかで「お値段以上」になります。

「雰囲気づくり」で風向きが変わる

6年生が夏期講習に参加しない、という選択も「なし」ではありませんが、条件が3つあります。

①「連日勉強に“きっちり”付き合ってあげられる人がいること」②「身の丈受験にシフトチェンジ」③「親子でバトルをしない」の3点です。どれも高いハードルです。

これまでの勉強の「負債」を抱えながらも、塾のカリキュラムに沿わず、自らの課題を克服して「納得いく中学受験」を考えているならば、「覚悟」が必要になります。

①は時間管理から何に絞って勉強するかを決めるのが肝です。

勉強スケジュールはガチガチに組まないこと。「ゆるい」くらいで丁度良いです。

勉強習慣、勉強体力がない子に勉強の「特盛り」「大盛り」は何ら効果を得られません。

②は「現実を見つめる」つらい事態になるかもしれません。夢のないことを言ってしまえば、志望校との偏差値が7以上開いての「逆転合格」はレアケースです。

「諦める」のではなく「方向転換」と気持ちを切り替え、「身の丈に合った学校」に照準を定めます

「偏差値の少しでも高いところ」という考えは捨て、先を見据えた学校選びにシフトします。

中学受験の合格校、入学校で6年先の大学、もっと先の人生は決まりません。力量以上のことに無理やり挑戦させて勉強嫌いになったり、心を閉ざしてしまう方が人生に影響します。

それよりも「現状でベストな学校」へと目標を絞ります。

親御さんが校風や6年間どのように進んでいくのかを調べ(できるだけ早い時期に学校説明会出席は必須)、子どもにもプレゼンします。

夏休み中に過去問に触れ、子どもの「出来」「手応え」を頭に入れておくのも秋以降の「詰め」で大切になります。

③が一番難しいかもしれません。親御さんは「この夏」の意味をしっかり子どもに説きます。

子どもが反発、反論しても、声を荒げず、表情を変えず、冷静に受け答えします。子どもはいつもと違う雰囲気に「何か」を感じます。一貫して親の真剣さを見せれば、子どもの姿勢も変化が見られるはずです。

ただ、勉強の伴走をするときは「明るく、楽しく」を忘れずにです。

ヘンテコな答えを出してきても、笑いに変えてしまいましょう。できない問題に当たったら、一緒に考えて、どちらが先に「ひらめく」が競争です。

現実的な状況は笑えないかもしれません。それでも親御さんは無理やりにでも「雰囲気づくり」をします。

学力以上にムードが良くなった家庭に「逆転合格」の風が吹いてきます。すべてとは言いませんが、毎年どこかで必ず見られる光景です。


にほんブログ村 筆者プロフィール

スポンサーリンク
池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

Recent Posts

早稲田 大学合格実績

※( )内の数字は実際の進学者…

5年 ago

普連土学園 大学合格実績

【主な国公立大】 21年度 東…

5年 ago

東洋英和女学院 合格実績

※( )内の数字は実際の進学者…

5年 ago

お問い合わせ・ご相談

苦手科目の克服、学習面の取り組…

5年 ago

渋谷幕張 大学合格実績

※実際の進学者数は公表しておら…

5年 ago

開成 大学合格実績

※( )内の数字は実際の進学者…

5年 ago