◆中学受験の窓口 今日のメニュー
・負けに不思議なし 敗因分析を
・手応えより30点も低かった理由
・気にしてほしい字の濃さと丁寧さ
・流れを変える「食」と「得意科目」
「前受け」受験は、志望校合格への布石です。
しかし、足をすくわれることが少なからずあります。
「まさかの不合格」です。
「まさか」は実力相応校、前受け校を受けた際に起こります。
「模試ではいつも(合格判定)80%だったのに」「過去問の出来は良かったのに」と親御さんの嘆きが聞こえ、受験した子どもはあまりのショックにむせび泣くばかりです。
不合格には理由があります。
入試を受けている時点で手応えがなければ、単純に「できなかった」ということで答案の再現を通して敗因を分析、次に備えます。
問題は手応えがあったのになぜ…というケースです。
前受け校の多くが、入試結果を個人に開示します。
その点数から推測して、「思い当たること」が出てくるかもしれません。「勝ちに不思議あり 負けに不思議なし」です。
第1志望合格のために、まさかの二の舞にならぬよう、つらくてもつまづいた入試問題にもう一度向き合います。
算数の点数が150点中90点で不合格だった男子は、自分の予想では「120点以上は間違いない」という読みでした。
合格者平均が110点だったことを考えると、比較的解きやすい問題が並んだ出題だったと言えます。
しかし、結果は予想より30点も低いものでした。
答案分析をすると、出るわ出るわ計算ミスの数々。おまけに問題の読み違えと勘違い、解答欄への転記ミスもあり、「できた!」と思った、ところが…という状態でした。
受験生はまだ12歳です。初の「本番」に足が地につかない状態で試験会場へと吸い込まれていきます。
試験が始まり、勢いよくとりかかったのはいいが、前のめりになりすぎて、いつもならやらない、信じられないミスが続出しても無理はありません。
これが「受験の洗礼」というものです。
家で過去問をやり込んでも、何度模擬試験を受けても味わえない「本番の怖さ」です。
同時に「本番のありがたさ」でもあります。
ここで1度「痛い目」を見ておけば、次は気を付けます。
本番の「インパクト」はそれほど強烈です。
算数や理科の計算問題での「思わぬ間違い」は、実は「自分の書いた字」から誘発されることが多いです。
「1」と「7」、「0」と「6」など、余白に計算をしているうちに、自分の書いた数字(文字)の判別を間違えた、そのまま計算してしま「誤答」は、大人が考えている以上に中学入試「あるある」です。
「+」と「-」の書き間違え、解答用紙への「転記ミス」も思っている以上にあります。
消しゴムでいい加減に消して、消し残したものまで入れて計算をしてしまったり、解答用紙に消し忘れの数字が残ったりして「誤答」というケースもあります。
消し残りは国語の漢字書き取りでよく見られます。
「出ないところが出ている」「はねないところがはねている」「何の字か分からなくなっている」…漢字の書き取りなら「一発アウト」のケースも多く「残念な失点」になります。
字が下手なのは仕方ありませんが、「読めない雑な字」は記述問題でも減点されます。
「前受け」で万が一最悪の滑り出しになったとしたら、いち早く気持ちを立て直します。
親御さんが失敗を責めても1つもいいことはないですし、変な励ましの言葉もいりません。
「場面」を変えて、嫌な流れを断ち切ります。
例えば食事。泣きはらした後は子どもの食べたいもの、大好物を用意します。
「食べたくない」と言っても、体は正直です。好物が目の前にあれば食指が動きます。
食は明日への希望、活力です。
「食」で復活し、次に進む気持ちへと切り替えて、流れを取り戻した子は過去の事例で結構います。
「食」の後は過去問です。
次に受ける学校の中で1科目だけでよいので取り組みます。
できれば一番の得意科目で。高得点を取れたら、親御さんは真顔で「大丈夫。イケる」と言ってあげます。
大げさなほめ言葉はなし。ひと言「大丈夫」だけです。
励ましより、親御さんの落ち着いた言動は、子どもにとって心強いものです。
親御さんも精神的につらいかもしれませんが、ここが踏ん張りどころ。仕切り直しで次に向かいます。