◆中学受験の窓口 今日のメニュー
・なぜ、子どもは質問しないのか?
・丸投げ「わかりません」の怖さ
・「こう思う」を持っていく意味
・親が「質問の橋渡し」を
偏差値50前後で足踏みしている子を見ていると、塾の先生にも親御さんにも、あまり「質問しない」という傾向があります。
理由はいくつかあります。
分からないところがあっても、それほど気にならない。受験がまだ「自分ごと」になっておらず、「まあいいか」で済ませてしまう子もいます。
一方で、わからないことを人に伝えるのが恥ずかしい子もいます。
自分ができないことは本人が一番よく分かっています。それを先生の前で認めることには、それなりの「勇気」がいります。
家庭でも同じです。「わからない」と言えば叱られる、さらに勉強させられる。「塾で先生に聞いてきなさい」と言われるだけで、結局何も解決しない――。そんな経験が続けば、子どもが質問しなくなるのも不思議ではありません。
親御さんに促され、塾の先生へ質問に行ったとしても、この偏差値帯の子に多いのが、問題を差し出して「わからないんですけど…」という質問の仕方です。
もちろん、問題文の意味自体が分からないこともあります。しかし、毎回「全部わかりません」では、自力で考える力は育ちません。
背景にあるのは「諦めの早さ」です。
問題を見てすぐ解法が浮かばないと手を止める。直感的にできそうな問題だけに手をつけ、少し考える必要がある問題は飛ばして戻らない。偏差値50前後から抜け出せない子には、こうした傾向がよく見られます。
「わかりません」と丸投げして先生から解法を教えてもらえば、その場では理解した気になります。しかし、自分で「なぜそうなるのか」を考えていないので、しばらくするとまた解けません。先生に質問したはずなのにテストで「点につながらない」のはそれが理由。
丸投げ質問が怖いのは「わかったつもり」で終わってしまい、いつまでたっても実力はつかないことです。
手っ取り早く点数を取ろうとすると、今度は解法暗記に走ります。
典型問題なら通用しても、少し形を変えられただけで対応できず、中堅校以上の入試で必要になる自力解答力はいつまでたっても養成されません。
成績が安定して良い子は、先生によく質問しますし、質問の仕方に特徴があります。
「ここまでは考えました」「こういう式を立てたけれど、ここから進みません」「この答えになったのですが、どこが違いますか」。
正解でなくても、自分で考えた「こん跡」を持ってきます。
「わかりません」と丸投げする質問との大きな違いです。
自分なりに問題を解くためにもがいていることで、先生から「ここまでは合っている」「この条件を見落としている」「考え方はいいけれど、ここが違う」と指摘されると、「あっ、そういうことか」と合点がいきます。
この「自分で考える→行き詰まる→質問する→気づく」という流れは、頭の中に強いインパクトを与えます。教えてもらった、受け身の姿勢とでは大きな違いです。
自分の考えを先生に見せるのが恥ずかしい子もいるでしょう。全然的外れだったら格好悪い、こんなこともわからないのかと思われたくない、という気持ちは大人が思っている以上に強いものです。
それでも、質問を自分の「血肉」にするには、どんなに稚拙でも「自分はこう思った」を持っていくこと。これが偏差値50前後で足踏みから一歩踏み出すための最大のポイントです。
簡単な疑問やワンポイントのアドバイスで済むことなら、親御さんが対応できるのが理想です。
ただ、親子だと感情が入り、教えているうちにけんかになる家庭もあります。内容的に親御さんでは難しい問題も当然あります。
その場合は、無理に家庭で解決せず、塾の先生の出番ですが、質問すること自体に高いハードルを感じている子は想像以上に多く、自ら動きません。
まず家庭で「どこまで分かった?」「どう考えた?」と聞き、「こう思ったけれど、ここから分からない」という状態まで整理してあげます。それを持って先生のところへ行かせます。
それでも難しければ、親御さんから先生に「本人が質問するのが苦手なので、少し声をかけてもらえませんか」とお願いするのもかなり有効です。電話や授業前に直接会ってお願いできればなお良し。塾の先生は「利用してナンボ」です。
高い授業料にはテキストや講義だけでなく、質問して理解を深める機会も含まれている、と考えて構いません。
親御さんがほんの少し「質問への橋渡し」をするだけで、子どもの勉強に対する姿勢も、見える景色も変わってきます。