◆中学受験の窓口 今日のメニュー
・偏差値50前後で止まる理由
・「つもり」で止まる
・「たまたま」を掘り下げる効果
・勝負は自力解答力
模試や塾内テストで偏差値50前後を行ったり来たりしている子は相当数います。
一段上のステージ、偏差値55に届かないのは、必ずしも学力そのものが足りないからではありません。
授業はある程度理解できる、基本問題もまずまず解ける、小テストでも平均点かそれ以上…それでも成績が安定しないのは「わかった」「できた」「たまたま正解した」を、そのままにしていることが原因の一つです。
偏差値50前後の子は、「あと一歩」の復習(家庭学習)が足りないために、自力で解ける問題が増えていかないのです。
成績中位層の子は、塾の授業後「今日やったことは分かった」「問題もできた」と、家に帰って話すことがよくあります。
もちろん、本人は嘘をついているわけではありません。先生の説明を聞き、解説に沿って問題を解けば、その場では理解できたように感じます。
ただし、それは先生の誘導があった状態での「できた」かもしれません。
本当にできたと言えるのは、後日あらためて問題に向き合い、算数なら何も見ずに自分で解答までの道筋を組み立てられた時です。
国語や理社なら、答えを選べるだけでなく、「なぜそうなるのか」を自分の言葉で説明できることが一つの目安になります。
授業中は理解できたのに、家庭学習では手が止まる。解説を読めば分かるが、自分からは解き進められない。
「わかった」と「自力でできる」の間には、大きな壁があります。
偏差値50前後の子は、この「分かったつもり」「できたつもり」の段階で学習を終えてしまうことが多いのです。
テストでは「よく分からないけれど、これかな」と選んだ答えが正解することがあります。
誰にでもあることですが、成績が停滞する子ほど、○が付いていると「当たった」で終わりにしがちです。
つまりしっかり理解していない、曖昧なままなのに「できた」部類に入れてしまいます。
解答解説を読み「なぜこの答えになるのか」「ほかの選択肢はなぜ違うのか」を自分で確かめる。算数なら、自分の考えた跡をもう一度たどって、しっくりこないところに注目して、塾の先生に質問する。そこまで進めて、初めて「たまたま」が「自力でできる」に変わります。
「たまたま正解」の問題は、間違えた問題よりも振り返るのに心理的な抵抗が少なく、少し確認すれば理解できる可能性が高い。実は、成績を上げるうえで「おいしい」問題です。
しかも、1問を深く理解することで、別の問題の攻略や関連単元の理解にもつながることがあります。
一つの「たまたま」を丁寧に掘り下げることで、得点力は増強されます。
偏差値50前後から抜け出せない大きな理由は、「あと一歩踏み込む復習」が不足していることです。
塾から帰宅したら、その日に扱った内容を寝る前に5分だけ見直します。それだけでも翌日の復習効率は大きく変わります。何をやったか、短時間の間に確認することで本格的な復習の準備ができるからです。
翌日以降は、塾で一度解いた問題を、解説を見ずにもう一度解いてみます。これが「解答再現」です。
途中で止まったら「どこまで分かったのか」「どこから進めないのか」をはっきりさせます。その状態で先生に質問すれば、単に「分かりません」と聞くよりも、必要な説明を受けやすくなります。
家庭で整理できる内容なら、親御さんが一緒に問題文や解説をたどり、一緒に「糸口」を探すのも一つの方法です。
大切なのは、自分の力で答えまでたどり着く経験を積み重ねること。解法暗記を続けていては、5年夏以降成績は下降線をたどり、そのクセがつくと自力解答力をつける勉強にシフト変更するのは容易ではありません。
家庭学習で自力解答力を意識して勉強すると、塾でも先生の「解答解説待ち」という消極的な姿勢が解消され、何より入試本番で差がつきます。
入試で初見の問題で対応できるか否かの差も、ひらめきではなく、そこに至るまで自力解答力を養成してきたかどうかの差なのです。
「分かったつもり」を自力で解ける状態へ変え、「たまたまの正解」を本物の理解へ変えていく。偏差値55を超えるためだけでなく、これが入試でのしぶとさ=合格力につながります。