中学校別対策

埼玉では約75%…「スクールバス」と私立中学


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首都圏私立の「バス率」約27%
思っていたよりの「時間と費用」
バス通学が精神的に「負担」に
バス通学は「アキレス腱」たが…

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首都圏私立の「バス率」約27%

私立の中高一貫校は、多くの生徒が電車を使って通学します。

東京23区内や政令指定都市の横浜はJR、地下鉄、私鉄などが至る所に走っており、最寄駅から徒歩数分で学校に到着しますが、首都圏といえども埼玉や千葉の学校は、駅から徒歩5分以内の学校は数えるほど。歩ける範囲内ならまだ「駅から近い」といえるくらいです。多くがスクールバスや路線バスを利用して学校へ行きます。

1都3県の私立中学計約300校のうち、スクールバスを導入あるいは路線バスを使わないと学校へ行くのが難しいケースは約27%にあたる80校。東京は約16%(28校)、神奈川約26%(15校)ですが、千葉は約61%にあたる14校、埼玉にいたっては約75%の23校で「バス利用」の私立がありました。

志望校、併願校を考えるうえで「通学の便」を考えるのは基本中の基本です。今後、具体的に受験して合格すれば6年間通うことになる学校の「最寄駅からのこと」は、学校説明会などの折にしっかり調べておくのが親御さんの勤めの1つになります。

思っていたよりの「時間と費用」

一見、便利に見えるスクールバスですが、「問題」がいくつかあります。わかりやすいところでは、「時間」と「費用」がかかります

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電車で学校の最寄り駅に到着してもバス利用の場合は、時間帯によっては満員で乗り切れない、ということもあります。学校側も登校ピーク時の午前7時半過ぎから8時ごろまでは増便しているところもありますが、中学生だけでなく、高校生も乗るので、少しでも早く駅に着いてバス乗り場に並ばないと、乗ろうとしていたバスに乗れず、想定していた時間に校舎に入れません

地域によっては、朝の交通渋滞を頭に入れておかなければなりません。バスに乗って、学校に到着するまで、学校が示している「スクールバスで●分」は、バスに乗って順調に進んだ場合の「最短」です。マンションなど不動産物件の「駅から●分」と同じで、それ以上かかるのが「当たり前」と考えていたほうが「話と違う」と落胆しません。バス通学は「思っていたより時間がかかる」のです。

もう1つ、バス通学にはお金がかかります。路線バスなら当然、スクールバスでも学校が直接運行している場合もありますが、多くは魏業務委託です。「無料」というわけにはなかにかいきません。運賃やガソリン代名目で学費と同じ時期に請求されるケースがほとんどです。

額は学校によってそれぞれですが、学期中3~4万円程度が相場です。夏休み中なども部活や講習で学校に行くことがあるので、年間を通して10万円、とみていた方がよいでしょう。電車の定期代は自宅がどこにあるかで違ってきますが、それに加えて年間10万円の負担。受験前はバス代まで頭に入っていない親御さんも結構いますが、いざ入学となってはっと気づくと、ため息が漏れます

バス通学が精神的に「負担」に

子どもによってバス通学は、メンタル面で「負担」になる場合もあります

受験して入学した中学でも「いじめ」までにはならなくても「いじり」や「からかい」「冷やかし」などはよくあります。高校へ進むと減少しますが、まだ精神的に未熟な中学生では男女とも「よくある光景」です。

徒歩で学校へ行く場合は、三々五々歩いていくので、多少なりとも「よくある光景」は減りますが、「標的」にされてしまう子にとっては、バスの密室空間は短時間であっても「苦痛」の何物でもありません。教室での扱いもそうですが、それ以上に朝の登校前の「その時間」が嫌で、不登校になってしまったりする子も毎年一定数いると聞きます。

生徒によっては会いたくない子との接触を避けるために早起きして、一番早い便のバスに乗車し登校します。あるいはスクールバスを避けて、わざわざ路線バスを使って、学校近くの停留所経由で学校に向かいます。バスに乗らず、徒歩30分近くかけて登校する子もいます。どれも子どもにとってかなりの負担になりますが、自分を守るための「苦肉の策」でスクールバスを避けるのです。

帰宅する際も気を使い、帰る時間を自分なりに調整して、できるだけ会わないようにします。親御さんはなかなか気づくことができませんが、勉強だけでなく、学校での日常生活でもストレスを溜めている子は少なくありません。

バス通学は「アキレス腱」たが…

バス通学は学校によって、アクセスの「生命線」でもありますが、「アキレス腱」でもあります

素晴らしい施設、整った教育環境、誇れる大学進学実績がありながら、志願者数が横ばいあるいは減少傾向だったり、偏差値が伸び悩んだり下降気味という学校には「最寄駅から遠い」というネックがあることは否めません。「いい学校」として受験候補の「最終選考」に残るのですが、日程の都合上、親御さんや受験生から選ばれないことが多いのは確かなことではあります。学校の立地は物理的に仕方がないのですが、「通学路」「時間」というのは中学受験で大きなウエイトを占めます。

ただ、「家から近いから」「通いやすいから」だけでは測れないものもあります。校風や学校の雰囲気が、我が子に合う可能性も少なからずあります。通学の便で「要検討」の場合は、親御さんが実際に足を運んでその時間帯の様子を調べることが肝要。中学受験での学校選択は、ホームページ上やパンフレット記載の「表面的な内容」以上に、いかに親御さんが「足を使った」かで決まります。


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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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