中学校別対策

中高一貫校はホントに「塾いらず」なのか


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◆中学受験の窓口 今日のメニュー
・塾いらずには「但し書き」がある
・「補習」で何とかなるのか
「逆転合格物語 」は後輩に広まる
・ 他校生の中で揉まれる「強さ」

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「ただし書き」がある塾いらず

中高一貫校の多くは、授業の進度が「早い」です。クラスのトップ1,2割のレベルに合わせて授業を進めるのと考えていいでしょう。

その点では中学受験の進学塾と構造は変わりません。学校案内にも「高校2年までで高校の課程を終え、3年は大学受験に向けての演習を中心に進める」とうたっているところが本当に多いです。

「先へ先へ」これが中高一貫校の授業の基本姿勢です。復習は次から次へと行う「小テスト」が中心で、授業中に振り返る時間はとりません。

中学校の説明会では学校の「面倒見の良さ」とともに、「塾に行く必要はありません」と「セット」で強調します。

ただ、これには「ただし書き」があって、あくまで「学校の授業スピードについていけたら」というもの。実態としては全員が「塾いらず」にあてはまるわけではありません

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「補習」で何とかなるのか

学校側は決して「スピードについていけたら」とは言いません。代わってそのフォローとして「補習」という「代替手段」を用意して、新入生の確保を図ります。

補習で丁寧に指導してくれる場合は救いになり、「塾いらず」になります。実際、粘り強い教員の指導で学力をアップさせ、つまずいた子も早期の段階でを立て直す先生も数多くいます。

中堅校の中には、放課後の補習を受験のプロである予備校講師に任せ、学校に赴いてもらい指導しているケースもあります。東大や早慶の学生、あるいは卒業生を「チューター」として雇い、後輩の面倒を見る、というスタイルも増加傾向です。

背景には「ブラック」とされる教師の労働時間問題がありますが、それは別として「放課後の補習」は中堅、一般校を中心に必須となっています。

しかし、さまざまな中学校の生徒の話を聞くと、補習は「形式的」な場合も多いのが実情です。生徒が理解しているかどうかよりも「補習をやった」という既成事実が大切で「後はお前たちそれぞれでちゃんとやっとけよ」という雰囲気だそうです。

実際、補習をした後に伸びた、という生徒はあまり聞かないのも事実です。もともとその先生の授業を聞いても分からなかったのに、同じ先生が補習をやっても…なのです。

学校側の言う「面倒見がいい」は宿題の多さや小テストでのチェック、補習や追試の繰り返しということが多く、1学年が100人以下のような学校でない限り「一人一人にカスタマイズ」して対応してくれるわけではないのです。

「逆転合格物語 」は後輩に広まる

中高一貫校の生徒がにわかに通塾し始めるのは、高校に上がる頃かです。

塾、予備校側もその点をよく知っていて、中学時代に学校の進度の早さに乗り遅れた=基礎がしっかりしていない状態(特に英語と数学)の生徒が門をたたくという前提で講座を設定しています。塾のパンフレットをみると、先取りよりは「基礎」の文字が並ぶ講座が多いのはそのためです。

塾側は中高一貫校の生徒「歓迎」です。

高校受験はしていないとはいえ、中学受験組は元来ポテンシャルが高い子が多いので、基礎講座で「復元」してあげれば、塾側の集客に影響大である「国公立、難関私大合格実績」に貢献してくれるという期待がそこにはあります。

「あんな成績だった子が、あの塾へ行って慶應に合格した」とかの「先輩の合格情報」は、中高一貫校ではいち早く広まります。

中1の時から高校生と接しているような私立では、先輩と後輩の関係がより濃いので、特にこの手の「逆転合格」の情報は「効き目」があります

先輩の影響で「自分にもできるかも」となり、学校の補習や講習よりも、通塾を選択する子が多くなります

他校生の中で揉まれる「強さ」

塾へ行くか、行かないかは最終的に個人の判断なので、一概には言えませんが、塾に行くことによって「刺激」を受ける、というメリットもあります。

特に中堅校や一般校に通っている生徒は、難関校や上位校に通うレベルの高い他校の生徒を見て「何かを感じる」ことが多々あります。この「感じる」ことで中高生は成長します、

上には上がいる、あのレベルになるにはどうしたら…自分の学校にはいないような他校生に刺激を受け、客観的に「果たして自分はどうなのか」と分析。自分の強みと弱みを認識したうえで勉強に取り組むと「メタ認知」の能力が上がり、受験だけでなく、社会に出てからも通用する考え方の「ベース」が築けます。

学校の中での狭い競争から一歩踏み出し、外で「揉まれる」経験をした子は本当に「強い」です。校内の優等生より、大学受験では力を発揮します。

最近は大学進学は推薦での進学が半数以上を占めます。学校のカリキュラムに沿って駆け抜け、指定校や総合型選抜で進学先を決めるのも中高一貫校の大切な「利用法」の1つです。

しかし、あくまでも自分で道を切り開きたい、自分が目指したい大学があって一般受験で、というなら学校内だけにとどまらず「対外試合」は実力アップにオススメです。


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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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