入試直前 個別にお願いして逆転は可能か?

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「何か手を打たなければ」
難しい合格までのコーディネート
本当?「ウチにお任せください」
だから逆転合格を勝ち取れる
・子どもは入試前に「覚醒」する
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「何か手を打たなければ」

 6年生にとっては最後の合格判定模試が12月に行われます。あくまで模試なのですが、その結果次第で心中穏やかではなくなる親御さんも少なくありません。合格判定、偏差値…思うような数値が出ないと、親御さんとしては「何か手を打たなければ」と居ても立ってもいられなくなる心境になります。

 一番は塾に頼りたいところですが、その塾を信じてここまで来たのに、この成績では…となり、別の考えが頭に浮かびます。個別指導塾は、家庭教師は、とさまざま打開策を検討し始めます。

難しい合格までのコーディネート

 個別の場合、生徒の要望でカスタマイズできるのが売りですが、その要望に応えられる先生が利用することを予定している教室にいるかどうかというのが最大の問題です。

 中学受験の算数などは中学や高校での数学とはまた一味違う世界なので、自らも中学受験を経験していないと、ピントがずれた教え方になります。過去に1年通して受験生を面倒見て合格まで導いたなどの経験などがないと、目の前の問題の解説はできても、短期間で「合格までのコーディネート」(個人の得意不得意を把握し、得点力をアップし最後に合格へとまとめ上げる)ことを期待するのは至難の業です。

 通塾している進学塾に個別の教室が併設されているケースも多々あります。そちらのほうがまだ有効かもしれませんが、この時期は同じような熱望組が駆け込み寺のように殺到しています。こちらも塾のテキストなどの分からないところなどはクリアにしてくれますが、やはり肝心の「合格までのコーディネート」までは難しいでしょう。

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本当?「ウチにお任せください」

 家庭教師の先生はどうでしょう。各家庭教師派遣会社には「プロ家庭教師」という先生が所属しています。ホームページなどを見ると、輝かしい合格実績を誇る先生も数多く在籍しています。

 しかし、この直前期になって中学受験指導の経験豊富な先生にお願いするのはほぼ無理でしょう。そういう先生は何人も生徒を抱えています。来年以降の予約も入っていることでしょう。経験は浅いけれど、ポイントを分かりやすく教えてくれる先生に当たれば、かなりラッキーなくらいでお願いする勇気が必要でしょう。

 「ウチにお任せください!」「この成績なら大丈夫です」など、やたらと営業さんの元気は良いという派遣会社は、すべてとは言いませんがご用心を。子どもの成績や答案内容、間違える内容のクセなど、さまざまなことを知らないと有効な指導はできないのが、中学受験の家庭教師です。

だから逆転合格を勝ち取れる

 「奇跡の逆転合格」はそう簡単に起こりません。その一方で、毎年中学入試では「ミラクル」と呼ばれるようなことも多数起きているという事実があります。例えば12月の時点で模試の成績が安定せず、合格可能性が50%だったり、20%だったりと乱高下しながらも合格した受験生がいます。多くは遅くとも夏前から努力を継続して、それが模試が頻繁に行われる時期には未完成で、1月を経て2月の試験当日に何とか“間に合った”という場合です。

 成績って一朝一夕には上がらないものです。今まで全く勉強をしてこなかった子が、基本をきちっとやって短期間で結果を出すことはあります。しかし、その先の一段高いレベルになると、勉強の成果は3カ月とか半年後くらいにようやく結果として目に見えてくるものなのです。それが「逆転合格」の実態、ということがよくあります。

 模試の結果が悪くても、解答用紙に必ず「進歩」が見られるものです。偏差値や得点は一進一退でも、国語の記述で部分点が取れるようになったとか、ケアレスミスが減ったなど、答案内容が充実しているのが解答用紙をじっくり観察すると「成果」が出ているはずです。そうなっていれば逆転合格の「伏線」が出来上がっている状態です。あとは継続。残り2カ月、2月には入試の合格ラインを超えるレベルに達します。偏差値と合格判定だけの数値だけで判断せず、親御さんはそこまで見て、最後まで伴走してあげてほしいと思います。

子どもは入試前に「覚醒」する!?

 もう1つ、逆転合格があるとすれば「集中力」です。直前期になって、追い込まれた子どもの中には家庭学習に取り組む姿勢から塾での課題に取り組む姿勢まで変わってくる子がいます。「このままじゃマズい」と尻に火がついた状態になり、子どもなりの最大限の力を発揮して勉強します。

 この集中力が今までやってきたこととリンクして、電気回路に電流が流れて明かりが点灯するようにな光を放ちます。受験勉強でいえば演習問題を解いて正解する、過去問の合格最低点に達するようになる、塾でやっている問題ができるようになるなど、遅まきながらも「覚醒」状態になります。

 「覚醒」して入試本番を迎えると、その勢いのまま合格へとなだれ込みます。子どもがいつ「覚醒」するか、それが読めれば親御さんも不安にならないのですが、これはもう自分の子を信じるしかありません。親御さんとしては身が持たないかもしれませんが、それが中学受験なのです。(受験デザイナー・池ノ内潤)

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