24年中学入試 芝国際9割減!?「国際系」明と暗

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適正かも…「騒動」後の志願者数
4年目で…広尾小石川の減少傾向
「急がない」国際系もある
・国際系に合う子、伝統校に合う子

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適正かも…「騒動」後の志願者数

2月1日解禁の東京、神奈川入試の募集締め切りが近づいてきました。

24年度は前年度に比べて志願者数が減っている中学が多めです。もちろん最後の数日で「駆け込み」出願が殺到し、一気に前年を上回る可能性もありますが、中には極端に出願数が減っている中学があります。

特に「国際系」とよばれる英語と理系を意識した先進の教育を「看板」を掲げる、校名変更、共学化でイメージを一新した学校に「陰り」が見えます。

昨年、東京都内で最多の志願者数を集めた芝国際は1月30日時点で、4回の入試機会がある本科生入試で男女計303人が出願しています。

入試の形態が違う点もありますが、日程で単純比較すると計3158人集めた23年度の9.6%にしか達しておらず、このままいくと前年比9割減の可能性があります

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同校の「売り」の1つである国際生ADVANCED入試も2回の入試機会で前年比51%(30日現在、男女合計)にとどまっています。

さまざまな「騒動」が起きた、新装開店「元年」の芝国際の入試でしたが、結果的に「合格者は多めに出す」とした学校幹部の発言とは対照的な実質倍率10倍超だらけ(24年度の試験形態に直しての倍率。23年の試験形態では66倍とか101倍とかの回もあった)の入試に、期待感は一気にしぼんだことは否めません。

ただ1年目の超が3つくらい付く厳しすぎる入試によって、各大手進学塾の偏差値ランキングにいきなり登場。合格可能性80%偏差値でサピックス47(男女)、四谷大塚55(特待入試女子)は「破格」で、「数字の上」では中学受験の上位校にランク付けされました。

その意味では24年度の志願者数は、合格レベルにはるかに達していない受験生が出願を断念する「絞り込み」の効果はあったかもしれません。いわば今年の志願者数が本来の適正人数かもしれません

数年たてば騒動の話も風化することでしょう。その時に芝国際がどのような中高一貫校として受験生や親御さんに評価されているか注目です。

4年目で…広尾小石川の減少傾向

開校当初の大人気から昨年は落ち着きを見せた広尾学園小石川。24年度入試は落ち着きというより、難易度の高さから、受験「敬遠」傾向がはっきり出てきています。

23年度は本科、インターSG、インターAGの11回の入試機会で男女合計で、22年度比男子64%(518人減)、女子が79%(403人減)と1000人に近い志願者減となりました。

24年度はそれ以上の勢いで志願者が減少傾向をたどっており、9回の入試機会で1月30日現在、男子で前年比66%の481人、女子が同77%の848人です。入試機会は減りましたが、募集定員は昨年度の85人から10人増えて95人に。その効果も現状あまり感じられません。

入試のタイプ、何回目かによって80%偏差値は変わってきますが、男子でも四谷大塚で50台後半、女子は概ね60超、サピックスでは男女とも2回目以降は55以上。このポイントだと出願できる受験生は限られてきます。

学校の体制が変わってから4年目で偏差値がここまでくると「いい学校だから」だけでは受験に踏み切れません

実質倍率10倍を超える回が続出していた22年度入試時と比べ、23年度は男子の本科、インターSGのそれぞれ1回目で2.6倍などと競争は緩和されました。

しかし、本来第1志望の子が多く受験する1日午前本科入試で募集15人で合格17人、同日のインターSGも同じ15人募集で合格23人と、まるで定員を満たした学校の第3回、第4回入試のような合格者の出し方です。

後半日程で受験する偏差値の高い子を数多く合格させ、入試難易度を高め、憧れの難関校になった「成功例」もありますが、度を過ぎると本当にその学校で学びたい子、学校の教育方針に共鳴して受験する家庭が減少する危険性があります。

「急がない」国際系もある

一方で志願者数を伸ばしている「国際系」の学校も存在します。

24年春で校名変更、共学化から10年目になる開智日本橋は1月30日現在、1日の第1回、4日の第4回で締め切り前にして男女とも男女とも前年度を上回る志願者を集め、第2~4回目も残りの日数を考えれば、前年を超える出願になる勢いです。

東京都の帰国生入試の要件が変わり、海外在住経験のないインターナショナルスクールの生徒が同校の一般入試に回る可能性が指摘されましたが、それ以上に通常の受験勉強をしている子どもたちからも親御さんから支持されている形となりました。

「開智」という中学受験界でのブランドがありながらも、校名変更、共学化から地道に学校を変えてきたイメージがあり、偏差値も急速にアップしたというより徐々に上がっていきました。

24年度の志願者増は23年度の減少からの「隔年現象」という側面も否めませんが、国際系の各校の志願者が減少している中での増加は学校への信用の1つの証明です。

校名変更、共学化2年目のサレジアン国際世田谷も軒並み志願者数が増えています

1月30日現在、2月1日午前、午後の2回ずつ行われる本科とインターの入試で男女合わせて前年比33%増(99人増)。受験生の数は2桁が中心で、多くても150人超の入試という規模はコンパクトですが、熱望組の割合は高いです。

国際系の売りである英語教育については前身の目黒星美学園時代から継続しており、伝統校の良いところを残しつつ、新しいものも採り入れるというスタイルに安心感があります。

偏差値も特待生レベルで四谷大塚Aライン40台前半。無理せず、自分のペースで勉強しながらでも合格できる学校。中学受験で摩耗せず、入学後の6年間でどう伸びていくか「楽しみのある中高一貫校」と言えるかもしれません。

サレジアン国際世田谷

国際系に合う子、伝統校に合う子

「国際系」の中高一貫校は100年前後の歴史がある「伝統校」に対して、親御さんの目を引く目新しい教育内容が目白押しです。雑誌に例えれば「表紙」が鮮やかで、巻頭のグラビアも見栄えが良く、おもわず買ってしまう(受験してしまう)ほどです。

ただどの子にもフィットする、居場所がある学校という感じではありません

授業のスピードは速く、特に英語に関しては小学校からある程度習っている生徒、帰国生が普通にいて「ついて行けない」という子も少なくありません。積極的に意見を言ったり、コミュニケーション力の高い子が活躍し、学校生活の中心を担います。

逆に伝統校では割と許される「マイペースな子」「おっとりしている子」は、自分の時間軸で過ごすことが難しく、退学する子や高校進学を機に転校する子も他の中高一貫校より多めと聞きます。

親御さんは受験校、進学先を決める際、表向きは「校風」や「教育方針」を重視するとしていますが、どうしても気になってしまうのが「偏差値」「大学合格実績」「授業カリキュラム」などの数字や豪華な内容です。

「国際系」の中高一貫校はかなり「魅力的」に映ります。「この学校に入れば」と子どもの将来が開ける感覚になります。しかし、中高6年間の青春時代に、自分の「居場所」が見つけられないのは悲劇です。

学校の知名度や偏差値より「この子が一番居心地のいい学校は?」ということを念頭に学校選びするのも「あり」です。

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