中学受験 最後に「伸びる子」「停滞する子」

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・デキる子の合格への「ダメ押し」
・「粘ってきた子」も必ず報われる
直前期に勉強も「停滞する子」
・過去問より「実戦」の効果大

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デキる子の合格への「ダメ押し」

中学受験では子どもの学力(ここでは問題を解く力、といった方が分かりやすいです)は「入試が終わるまで伸びる」といわれます。

第1志望校を受験するまでに「前受け」などさまざまな実戦経験を積み、入試直前になって今まで「つながらなかった」バラバラの知識と知識がつながったり、総復習で「なんとなく」が「自信を持って」解けるに変わったりと、子どもそれぞれで日々「成長」します。

入試直前という切羽詰まった状況が「集中力」を高めるので、普段より「成長」が早く、中身も濃くなるというわけです。

しかし、その「成長」のパワーやスピードは6年生の11月末くらいまでに「どれだけ地道に積み上げてきたか」の量と質によって違ってきます

一番「伸びる子」は普段から成績の良い子です。総合偏差値にして「65」以上ある子たちとみていいでしょう。

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「そんなに良かったらもう伸びしろがないのでは?」と思われがちですが、数字にはそれほど表れないかもしれませんが、周囲がどんなに猛勉強して追いかけてきても、好成績をキープ、中には偏差値で0.5とか1程度最後の模試でアップさせる子もいます。

わずかでも上げる子がいるのですから「しぶとい」です。この「しぶとい」というのが、入試における「最強」の資質です。

偏差値65をコンスタントに出す子たちの「最後の伸び」は、直前期になって新しい知識を得るとかできないことができるようになったというレベルではありません。これまでつくり上げてきた数々の「引き出し」の中身を整理して、問題を解くための「道具」をあらためてメンテナンス=「復習」を入念に行った結果の「伸び」です。

普通の子の伸びが「穴をふさぐ」イメージなのに対し、より強度を増して「漏れや抜け」をなくすというイメージです。志望校合格へ「ダメ押し」の「伸び」です。

「粘ってきた子」も必ず報われる

夏前から秋にかけて頑張ってきた子は、その成果がようやく発揮できる時期にさしかかった、と言えます。

勉強は成果が出るまで、早くて3カ月、通常半年程度はかかり、1年後にようやく、というケースもあります。やったことを「定着」させ、それを「自力運用」できるまでには時間がかかるからです。多くの親御さんが欲しがる勉強の「即効薬」はありません。

「1カ月で偏差値がアップした」なんていう広告展開をしている塾や個別指導、家庭教師センターなどもあります。多くは「よほど勉強していなくて、知識を注入して上がった」か「自力で頑張っていたが、教える側がしたちょっとしたアドバイスで流れをせき止めていた小石をたまたま取り除き水が流れた(成績が上がった)」というもので、ちょうどその「タイミング」だったということです。

地道に、試行錯誤を重ねながら粘り強く勉強をしてきた子は、十中八九報われます。「定着」と「自力運用」の力がつき、ある程度の勉強量をやると成績は確実に伸びますそれが入試の時期に差し掛かったことから「入試中も伸びる」といわれるのです。

子どもは1日で、1回の試験で格段に、飛躍的に成長するときがあります。知識が増えたというより、思考する勉強を続けてきたことで「どう考えたらよいのか」感覚が身につくのでしょう。このタイミングが入試と重なると、大逆転の「合格」が舞い降りてきます。

逆転合格は「奇跡」ではなく、やってきたことの「当然の結果」なのです。

直前期に勉強も「停滞する子」

逆に追い込みの時期になって、ある程度勉強していたにもかかわらず、最後の「伸び」が感じられずに「停滞する子」はどういう受験生でしょうか。

端的な例としては、 新しい問題集に手を出したり、一問一答集や各教科の「まとめ」のようなテキストに取り組む 、社会の「時事問題」系のテキストに時間を割いている子などは直前期頑張っても思ったほど入試での「伸び」が感じられません

答えは簡単。最近の入試で「差のつく問題」(合否を分ける問題)にそれほど効果がないからです。

入試で 「差のつく問題」(合否を分ける問題) は単純に知識を知っていれば正解が出るというタイプは年々減少しています。トレンドは解答を出すまでに工夫や気づきが必要だったり、理由を考えるもの、原理原則にのっとって思考をめぐらせたり、読み取ったことや自分の考えを記述する方へとシフトしています。これは一朝一夕にできるものではありません。

トレンドに沿って対策しようにも、気持ちはあっても「どこから手を付けて良いのか分からない」ため、結局は一問一答など「やりやすい勉強」に直前期も時間を割くので、成績は「停滞」のままになります。

成績の良い子、あるいは6年後半になって上昇傾向の子は、ここに至るまで地道に復習を繰り返えし、とても「遠回り」に見える思考する勉強に粘り強く取り組んできました。だからこそ解くための「引き出し」や「道具」を持っていて、問題に向き合った時に使えるのです。

目の前の塾のテスト対策に躍起になり、手っ取り早い知識系の問題が成績の「土台」だった子は、厳しい言い方ですが「直前特訓」「正月ゼミ」「入試前そっくりテスト」なども効き目はほとんどありません。

「奇跡の逆転」は稀だからこそ「奇跡」であって、「逆転」は逆転できるだけのことを以前からコツコツ積み上げてきたから、入試当日に「間に合った」だけの話です。

過去問より「実戦」の効果大

伸びが「停滞している子」に突破口があるとすれば、「実戦」=入試そのものです。家で過去問をやっているより10倍の効果があるのは受験本番。ここでの「気づき」はインパクトが強く、次の試験ですぐ使えることが多いです。「前受け」の大切さは入試の「場慣れ」だけでなく、問題を解くための「気づき」の場になるという側面もあります。

塾の小テストや家庭学習で計算ミスをしても漢字でトメ、ハネなどをいい加減にしていても本人はそれほど気にしませんが、入試で計算ミスった、漢字の書き取りでやらかした気がする、などと感じれば「不合格につながるかも」となり、入試に対する「怖さ」を子どもは体感します。この経験は12歳にとって強烈です。

かりに合格していたとしても入試後に味わった「恐怖心」は簡単にぬぐえません。となると、次の受験の際には細心の注意を払います。この「緊張感」だけで10点くらい違ってきます。実際の入試では合格最低点前後5点くらい100人程度がひしめきます。10点プラスなら「ギリギリ」から抜け出せます。

入試での教訓は他へも波及します。「前受け」を複数校経験した子の解答用紙には「締り」が感じられます。国語の記述問題でも「型」を意識するようになり、無駄な失点が減ります。社会や理科の選択肢問題でもテキトーに読んで答えていたものが、選択肢のどこが解答のポイントになるかきっちりチェックしたうえで答えるようになります。

「前受け」で「ああすればよかった、こうすれば…」の経験は、子どもの「持ち偏差値」などに関わらず志望校入試にとって有益です。できれば複数回の「実戦経験」を経て志望校入試を迎えるのが「合格」を近づけます。

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