不合格の危険性大!過去問の「子ども任せ」
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・実りのない過去問の取り組み方
・「恐怖」は嫌…12歳がやること
・「解答への痕跡」に注目
・「悲しい」で子どもに伝わるもの
実りのない過去問の取り組み方
過去問は「取り組んだ後」が肝心です。
解答分析と①不注意による不正解②何かの「気づき」がなく正解しなかった問題③正解したものの実は「ヤマ勘」だった系の問題の自力解答力を付けることを中心に復習します。
手も足も出なかった問題は一旦棚上げ。11,12月ごろに再チャレンジしたり、塾の先生に取り組む必要があるかどうか相談します。中には難しくて正答率が低く「落としても合不合格に影響しない」ものもあるからです。
一番実りのない過去問演習は、採点だけをして○だ、×だ、何点だ、合格点だ、あと何点足りない、という取り組み方です。
合格最低点や平均点に目を奪われ、合格点をクリアしては浮かれて放置、点数が悪かった時は「見たくない」とばかり放置…。そういう受験生がかなりの数に上るのが現実です。
特に子どもに丸付けや取り組み方全般を任せている場合は要注意です。
やり直してみて「やった!前より点数が良くなった」と親御さんへ報告に来ても、前回の丸付けで正答の記号や言葉を覚えていただけ、あるいは解答を丸写し、という可能性があります。
「恐怖」は嫌…12歳がやること
大人から見て「そんなことをしても仕方がない」といったことでも、子どもはやります。親御さんに叱られたくないからです。
入試が近づき、志望校の問題を目の前にして手も足も出ないのは、子どもにとって「恐怖」です。親御さんに叱責されるのはさらに「恐怖」です。
少し先の入試のことより、目先の嫌なことを避けたがるのが12歳です。悪いと分かっていても、「恐怖心」から過去問解答の丸暗記、解答を事前に覚えておく行為に及びます。
子どもを信用しないわけではありませんが、過去問の解答解説は子ども任せにせず、親御さんが管理、保管します。
過去問集の本からでなく、実際の問題、解答用紙と同じサイズにコピーしたり、実物の入試問題で過去問に取り組む意味もそういうところにあります。
それでも子どもは少しでも「よく見せたい」とばかり、書店で過去問集を見て「解答を暗記」する子さえいます。
親御さんに怒られる恐怖心とともに、「がっかりさせたくない」という思いも強く、短絡的な行為に走ります。反抗期に入り、口では生意気なことを言っても、そこはやはり子どもなのです。
これを続けていると、確実に「不合格」になります。
よく受験後の感想として「過去問の出来は良かったのに…」という親御さんの言葉を耳にしますが、実は「子ども任せの過去問取り組み」だった例が大半です。「こんなことはやめなきゃ…」と思いつつ、小学6年生の子どもだけでき、どうにもならないのです。
「解答への痕跡」に注目
子どもが過去問の解答暗記に走っていないかどうかを簡単に見極める方法があります。
問題用紙に残る「解答への痕跡」に注目することです。
過去問と真剣勝負しているのなら、問題用紙に解答を導くための「こん跡」が必ず刻まれています。
算数の計算、図形なら思考の跡がうかがえる線や図、国語の読解なら素材文や選択肢への線引きなど、正解を出すために格闘した跡がリアルに残ります。
解答用紙にも、消しゴムで解答を書き換えた、思考の「揺れ」の跡が所々で見受けられます。
一転して解答暗記の子の問題用紙は総じて「きれい」です。
多少「アリバイ」作りで線を引いてみたり、簡単な計算をした跡くらいはあるかもしれませんが、時間内ギリギリまで「格闘」したとは思えないくらいさっぱりしています。
「きれい」「さっぱり」の問題用紙で、解答用紙にも「揺れ」の跡がなく、得点が合格者平均以上なら、子どもが真剣に取り組んだ結果ではない可能性が高いです。
「悲しい」で子どもに伝わるもの
「解答暗記」を親御さんが気づいても怒りを露わにしたり、厳しく追及しても解決には至りません。
かといって放置しておくわけにもいかないので、気が付いた時点で手を打たなければなりません。
その子自身によってアプローチの仕方は考えなければなりませんが、1つは親御さんがいくつかの解答の根拠を聞いたうえで、答えるのを嫌がったり、曖昧であることが確認できたら、穏やかな口調で言います。
「解答、暗記してるんじゃない?」。
子どもは激しく否定しますが、親御さんはヒートアップせず、どこまでも穏やかに追及します。
そして「なんだか悲しいな。できないことが悲しいんじゃなくて、できないことから逃げていることが、とても悲しい」と寂しそうに言います。
子どもは親御さんをがっかりさせたくない、という思いも強いです。口喧嘩をしたり、激しく叱責されれば、態度は頑なになりますが、「悲しい」と言われると、子どもは罪悪感を感じます。
自分の行為が見抜かれていたことを知ると同時に、親に悲しいと思わせないためにはどうしたら…と考え始めます。
「ごめんなさい」と謝ってくれば、これまでの行為は責めず「できないことは恥ずかしいことじゃない」と諭します。一緒に考えるなり、塾の先生にアシストをお願いするなりの善後策で対応します。
要は親御さんが「過去問の点数が低いことやできないことで、あなたのことを見捨てないから、受験に向き合いなさい」というメッセージを伝えられるかどうかが鍵です。
入試本番が近づき、日を追うごとに精神的に不安になる子を親御さんが受け止められるかどうか。ここがしっかりしていると、子どもも受験に正面から向き合えます。「できない」を、1つずつ「できる」に変える努力を落ち着いて取り組むようになります。
「過去問ができない」「合格点に達しない」と焦って、新しい問題集に手を付けてみたり、家庭教師を頼むなど親御さんが「ざわざわする」前に、過去問の問題用紙、解答用紙から「改善策」がにじみ出てきます。
「観察」「分析」そして「解決への道」。中学受験に限らず、受験全般で言える「できないを克服する」鉄則です。
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