実はキツい「ゆる受験」

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・身の丈に合った「ゆる受験」? 
・ゆる受験でも「それなりの」勉強は必要 
・「ユルい」どころか「キツい」受験に 
・なぜ「ゆる受験」の原点を忘れるのか 
・「ゆる受験」の肝は「ペースのキープ」 

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★身の丈に合った「ゆる受験」? 
首都圏の1都3県で中学受験をする小学6年生は5万人強。全体の約2割に相当します。御三家などに代表される難関校受験のイメージが強いのですが、そのレベルが狙えるのは上位5%からせいぜい10%程度。偏差値60にしても上位16%くらいです。 

 一方で最初から難関校ではなく、偏差値50を切り40に近い、いわゆる「一般校」を目指す層も増えています。猛勉強するというより、無理せず身の丈に合った受験というスタイルから「ゆる受験」ともいわれます。 

 偏差値の上下に一喜一憂し、なかなか届かない合格判定80%を目指して悲壮感が漂う光景と、一線を画するような雰囲気の「ゆる受験」ですが、思惑とは違い「ゆる受験」にならないケースがあちらこちらで発生しています。 

★ゆる受験でも「それなりの」勉強は必要 
 「ゆる受験」といっても各進学塾が毎年更新する「偏差値表」に掲載される学校を目指すならば、「それなりの」勉強をしなければ入試は突破できないと断言できます。出題される問題は、難関校でも基本問題として出題される内容と何ら変わらないからです。 

 偏差値的に見て「ゆる受験」の範疇に入る中学校に合格するのでさえ、多くの受験生は平均して3年間、進学塾へ通い、特に6年生ともなれば土日も関係なく通塾します。かけている時間や勉強量は、難関校狙いの子とそれほど変わらないのです。 

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  しかも一般校=簡単な入試問題ではなく、一部では御三家や難関校で出題されるものと同レベルの内容も頻出します。決してユルい勉強をしていて、できる問題ではく、やはり一定の水準に達しないと入試の土俵には上がれません。 

「ユルい」どころか「キツい」受験に 
 子どもが頑張っているのに成績が振るわない場合、親御さんは「別ルート」を検討するのが常です。塾以外に家庭教師や個別指導などにお願いしたり、親御さんが家でも勉強を見る「親塾」、インターネットの動画授業、通信添削などの「増援部隊」投入です。先行きの不透明感、芳しくない成績の伸び…「これをやれば」という思いが募り、投入という決断に至るケースが少なくありません。 

 しかし、子どものためにと決断した「増援」も、多くは塾以外に子どもへ負荷をかけることにしかなりません。もともと「勉強体力」がそれほどあるとはいえない子が多い傾向の「ゆる受験」組にとって、良かれと思ってした「増援」は状況を悪化しかねません。時間だけ、表向きの勉強量だけ増えて消化しきれない状態に陥りやすくなります。 

 「栄養があるし、カラダにもいいから」(この先生に教わり、この教材をやれば成績が上がるから)と、目の前に豪華な料理がふんだんに並べられても(塾以外にやる計画を立てられても)、胃が小さくて(勉強体力がなくて)食べきれずに無駄になってしまう(何かかができるようになるどころか、手つかずの教材と課題の山になすすべもない)のと同じです。 

 偏差値のそれほど高くない、無理せず入れる中学受験だったはずが、気がつけば量的にもスケジュール的にも「ユルい」どころか「キツい」受験になっている家庭も多いようです。中学受験は「覚悟がいる」というのは、難関でも中堅でも一般校でも共通なのです。 

なぜ「ゆる受験」の原点を忘れるのか 
 「ゆる受験」寄りの受験方針を立てた親御さんは、多くが「子どもの性質」から判断して、という説明をよく耳にします。学習面でも人付き合いでも決して器用なタイプでなく、地元公立中学へ進んだらうまくやって行けるかどうか、という心配をしているようです。 

 私立中高一貫校なら高校受験もなく、穏やかな環境が得られる(実際はそうでもありませんが)と考え、決して勉強は得意でないのかもしれませんが、あえて中学受験の道を選択、しかしいざ参戦してみると周りの受験にかける熱量に圧倒され、それに引きずられるように「ゆる受験」という原点を忘れがちになります。 

 思わず言ってしまう「他の子は頑張っているんだから」「そんなことじゃ全部落ちるよ」という「叱咤激励」のつもりの言葉は、親御さんのそんな焦りからでるものです。「ゆる受験」組の子はどちらかというとおっとりしているので、受験の厳しさの実感がわかず、親御さんの言葉は「柳に風」で響きません。親御さんの気持ちを子どもにぶつけてしまうのは「親子バトル」のもと。「ゆる受験」どころか出口のない「泥沼受験」につながりかねませんので、奮起を促す言葉は「ゆる受験」の子には向有効とは言えません。 

「ゆる受験」の肝は「ペースのキープ」 
 「ゆる受験」をすると決めたのなら、成績が上がろうと下がろうと敏感に反応せず、無理にお尻を叩くより、 勉強量、時間を一定に保ち「できる範囲のペースをキープする」を唯一のルールにして進むようにします。その範囲内での勉強の工夫は大いにすべきですが、やらなければいけない量が増えても「ウチはウチ」とできる範囲まででやめておきます。着実に「できるもの」を日々少しずつ増やし、入試までにマスターしたものだけで勝負する。これが自分のペースで無理なく進める「ゆる受験」の極意です。 

 子どもが勉強の面白さに気づき自主的にやるようになっても、すぐに「増量」しないように気を付けます。最初は気持ちがハイになってどんどんやるかもしれませんが、壁にぶち当たった途端に逆戻りどころか、以前よりモチベーションが上がらず、パタリとらなくなる可能性もあります。受験に参入した際のスタンス「ゆる受験」を忘れずにが大前提です。 

 呼吸をするように、三食のご飯を食べるように、意識せずに勉強をしているようになってから「ゆる受験」→「ガチ受験」にシフト変更しても遅くありません。自分からやるようになれば、成績は信じられないぐらい伸びますから。(受験デザイナー・池ノ内潤) 

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