中学受験 同じ偏差値50でも判定は「段違い」

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・同じA判定で偏差の差「20P」
・「身の丈」模試を受ける意味
・レベルが高いと感じたら…
・模試は結果以上に答案分析が勝負

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同じA判定で偏差値の差「20P」

首都圏の中学受験の場合、子どもの実力を計る模試は主に4つあります。

6年生秋だと、サピックスの「合格力判定サピックスオープン」(SO)、日能研の「合格判定テスト」(合判)、四谷大塚の「合不合格判定テスト」(合不合)、「首都圏模試」(首都模試)の4種類です。

同じ中学校でも合格可能性80%(A判定、Aラインなど)は模試によってそれぞれです。例えばSOで80%偏差値が「50」の芝中学(2月1日1回目)は、日能研の合判では「61」、四谷の合不合「60」、首都模試に至っては「70」とSOとでは「20」ポイントも違います。まさに「段違い」です。

首都模試で偏差値50でA判定が出る跡見学園女子 (2月1日1回目)は、日能研の合判、四谷の合不合とも「44」、SOの場合は偏差値表に出ておらず、1日午後の特待入試で「34」となっていました。

なぜ模試によってこんなに大きな差が出るかといえば「模試を受けている受験生のレベルが違うから」というのが答えです。ざっくり言えば、首都模試で100人いたら2番くらいにならないと芝中でA判定は出ず、SOなら100人中50番でもA判定になるのです。

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逆に首都模試で偏差値50なら、芝中学は受験しても全く歯が立たないというのが模試から分かります。SOで跡見学園の1回目の偏差値がないのは、SOを受ける受験生では志望している生徒がほとんどおらず、データを示せないと推測できます。

「身の丈」模試を受ける意味

これだけ極端に80%偏差値が違ってくると、受験生は志望校、自分の持ち偏差値に応じてどの模試を受けるかを吟味する必要があります。

レベルが高すぎる、逆に低すぎる模試で合格判定をしても、実際の入試に即したものにならないからです。

サピックスに通塾しているからといって、偏差値50を切る状態が続いているなら、四谷大塚あるいは日能研の模試を受けた方が正確な判定が出る可能性があります。

サピックスは中学受験をする生徒全体の中でも偏差値が高い子が多く、SOもそれに合わせて問題をつくっているので、偏差値50を割る子には厳しく、手を付けられない問題も多いので実力を測るのが難しいのです。

日能研や四谷の問題が易しいというのではなく、SOと比べて標準的な問題が多いので、上位、中堅校を目指す生徒の「身の丈」に合っているといえます。

サピックスで40以下なら首都模試受験がベターです。日能研、四谷でも45以下なら首都模試がおすすめです。

どこの塾に通っていても偏差値40、30台の子は「基礎力」に欠けています。発展問題や応用問題に取り組む以前の力です。

首都模試で自分の到達レベルを把握し、自分の弱点、全く理解できていないところを冷静に見つめることから、受験の今後を考えます。

加えて一度偏差値50以上の「世界」を体感することも大事。いつも惨めな成績ではモチベーションも上がりません。身の丈の模試を受ければ「それなりの形になった」偏差値をとることが可能です。そこから学習意欲がわいてくる効果も期待できます。

レベルが高いと感じたら

それでも通っている塾の模試を受けるのが「必須」となっていて、どうもレベルが高すぎるという場合は各科目で「自分なりの目標」を持って模試に挑むという作戦もあります。主に4、5年生にはその後の効果に期待が持てます。

レベルが高すぎる、偏差値にして40前後しかとれない子は「今回はここだけに集中して得点を積み重ねる、失点しないようにする」ということに重点を置きます。

たとえば算数。多くの模試が大問1~6、7問程度あり、数字が大きくなるにしたがって難易度が上がる傾向にあります(例外もあり)。その場合、全ての問題に手を付けようとせず、「できる問題」、とりわけ四則計算や「一行問題」など取り組みやすい前半の問題のみを試験時間をフルに使って解きます。

国語なら読解問題が2題出題されたら、どちらか1つで良いのでじっくり取り組みます。その代わり「なんとなく」とか「勘で」とかではなく、「解答の根拠」を後で説明できるようにするまで考えます。

のんびりやれ、というのではなく「焦らなくていいので正確に、余白にやる計算は丁寧にそろえて書く」「勘で解くのではなく、必ず解答への理由を見つける」などのテーマを持って臨みます

算数や国語の得点、偏差値は気にしません。気にするのは手を付けた問題の「正解率」。取り組んだ問題の全問正解が理想です。

やってみて分かるのですが、そうやって取り組む問題を絞っても必ずと言っていいくらい「取りこぼし」があります。そこにこそ成績、偏差値の伸びを阻んでいる「原因」であり、逆に成績、偏差値を伸ばす「起爆剤」が隠されています。

偏差値40台の子は明らかに知識、勉強不足の子より「雑」「思慮が浅い」子が多いです。焦らず、正確にやることで「正答率は上がる」ということを子どもが「実感」すれば、問題への取り組み方は時間とともに劇的に変わります

取り組み方が変われば「気づき」も増えます。この「気づき」こそ、模試の算数で言えば大問5以降の「点差のつく問題」攻略への足掛かりにつながります。国語なら記述問題で「得点できる」解答の作成が可能になります。

極端な話、最初のうちは50分使って解いた問題が5,6問でも構いません。子どもなりに解答を導くための「方針」が立てられ、正しい手順でそれを導くプロセスをたどることが「高い正答率」につながることを「実感」できているなら「目標達成」です。

勉強時間ばかり長くやみくもに「漠然と」取り組むより、長い目で見れば遥かに成績の伸びが全く違うからです。考える力がつけば、スピードは自ずとついてきます。

模試は結果以上に答案分析が勝負

模試やテストを受けて偏差値や順位、合格判定を気にするな、といっても無理な話です。ただそれだけだと「おいしいところ」を捨ててしまっている状態で、模試を受ける意味がないと言っても過言ではありません。

「やりすぎ」というレベルの難問や悪問もありますが、模試の問題は多くは標準的な、これがある程度できれば入試はクリアできるという「良問」が並んでいます。解説を見つつ、これを十分復習し、自力解答できるようにすることが成績アップの「近道」です。

その意味で模試の「答案分析」は生命線です。答案から子どもの「間違いの傾向」「思考パターン」などが浮かび上がってきます。その辺りの修正、あるいは得意のさらなる強化を図り、次回以降に生かせれば、模試を受けた意味が十分にあります。

中学受験の模試は「レベル差」を考えて受けるべきなのは、偏差値差だけではなく、今我が子が取り組むべき問題が何なのかを端的に示してくれるからです。どの模試が良い悪いではなく「特長」をとらえて有効活用するのが成績の伸びにつながります。

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