変動あり MARCH附属・系属校のこれから

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立教より「何となく青学」?
立教系属校の推薦大幅増の背景
明大世田谷「残り3割」の狙い
・「楽しく」「手堅く」の中大附属

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立教より「何となく青学」?

偏差値から見て難関・上位校に位置する「MARCH」の附属・系属各校。学校によって差はあるものの、概ね6割から9割程度が併設の大学に進学します。

志願者動向は毎年のように違った動きを見せますが、一時期の「大人気」という状態からは落ち着いています。それでも毎年少しずつ状況が「変動」しており、その動向は注目に値します。

横浜市の青山学院横浜英和は計3回行われた23年度入試で、前年比男女計285人の志願者増、実受験者数では同28%増という人気ぶり。MARCH系の中高一貫校では一番志願者を増やしました

青学の附属・系属校は男子に比べ、女子の方が難易度が高い(中等部男子58、女子65、横浜英和男子53、女子56、いずれも四谷大塚Aライン偏差値)のですが、女子の方が実質倍率も高いのが特徴です。

大学進学、入試の現況を特集した、経済誌「週刊ダイヤモンド」9月16日、23日号は青学人気について「何となく青学」というタイトルを付けて説明しています。

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同じMARCHのミッション系、立教大学と比較。両方の大学に合格した場合、2018年は立教進学が61.4%、青学が38.6%だったのに対し、21年度を境に青学の方が逆転。23年度は立教48.6%に対し、青学51.4%でやや上回っています。

同誌では青学人気の理由を「文系学部の郊外キャンパスから4年間青山キャンパスへの移転」「入試改革」「全国的なブランド力」の3つ挙げています。中でも「キャンパス移転」は青学進学を選択をするうえで「決定打」になっていることがうかがえます。

特に女子は4年間、「おしゃれな街」で大学生活を過ごせることには魅力を感じており、これが中学受験から「青学で」という志望動機にかなりの部分であると思われます。

ただ、横浜英和から青学への進学は23年度58.4%と6割弱。早稲田や慶應の合格者も輩出していますが、それほど多くはなく、青学推薦に漏れると「厳しい進路」になる可能性もあります。

同じ神奈川県内なら、かつて青山学院の「分校」として誕生した横須賀学院が35人、ミッション系の伝統校・捜真女学校(横浜市神奈川区)が21人、と青学へ大量の推薦枠を持っています

あまり知られていませんが、結構「穴場」です。偏差値だけから考えると、横浜英和よりかなり入りやすいレベルです。中等部、横浜英和とも難度、競争率がちょっと…という場合で「どうしても青学」というのなら、一度学校見学、説明会参加は「あり」です。

立教系属校推薦「満タン」の背景

僅差ではあるものの、ダブル合格なら青学を選択するというデータを突き付けられた立教大学ですが、学生数確保に手は打っています。

まずは手近なところで、系属校の立教女学院(東京都杉並区)と香蘭女学校(品川区)の両校で、25年度から推薦枠が大幅に拡大します。具体的には立教女学院が151人→195人、香蘭は97人→160人になります。

これは両校の「募集人数」と一致します(立教女学院は中学入試で120人募集、小学校から75人程度進学します)。つまり、成績さえクリアすれば全員立教大学へ進学できる枠が用意されているということです。中学入試でも「推薦枠拡大」は人気上昇の一因になります。

両校とも国公立や早慶、医学部進学をする生徒も一定数いることから、現実的に「全入」は考えにくいのですが、「学生確保」に本腰を入れている大学側の姿勢がうかがえます。

系属校の推薦枠「満タン」の背景に、最近の立教の一銀入試での「不人気」が影響している可能性も否定できません。

立大は文学部を除き、独自の英語の入学試験を廃止、共通テストの英語の得点と英検やGTEC、TOFELなど民間の外部英語試験のスコアを得点化する方式に変わりました。共通テストの英語の得点と民間試験のスコアの一番高いものを100点満点に換算して判定するという方式です。

一見革新的に見えますが、かなり物議をかもしています。実際23年度の立大の志願者数は5万8208人で、前年度の6万2646人から4438人減少。06年度以来の志願者が6万人割れとなりました。

最大の問題点は民間試験のスコアがどのように得点換算されているのかが公表されておらず、どれぐらいのスコアを取れれば立教に合格できるのかが全く分からないことです。

そのため、英検が有利なのか TOFEL の方が高い点数になりやすいのかもわからず、分かりずらい入試が受験生の「立教敬遠」という流れにつながっています。

立教は私立中高一貫校だけでなく、公立高校にも「学校推薦型」(指定校推薦)枠の拡大を図っているようで、「立教離れ」に歯止めをかけようとしています。

26年度に新設予定の環境学部は埼玉の新座キャンパスではなく、都心の池袋キャンパスに設置する方針といいます。これから時代の代表的なテーマ「環境」を通じて、文理融合を実現する新学部が立教人気復活の「起爆剤」となるか、動向が注目されます。

立教大学

明大世田谷「残り3割」の狙い

創立100年以上を誇る伝統の男子校、日本学園(東京都世田谷区)は、26年度に共学化し、校名を「明大世田谷」へと変更します。

人気の明大への進学が一定数保証され、しかも近年の中高一貫校のトレンド「共学化」という「おいしい」要素が満載の系属校になります。

系属校化が22年に発表されると、23年度の日本学園の総志願者数は前年比約5.2倍の1322人、3回の入試の平均実質倍率は7.7倍(前年1.7倍)と「大盛況」になりました。

理由は1つ。23年度に中学に入った生徒は、26年度「明大世田谷」高校の1期生になり、卒業時には明治大学推薦の対象になるからです。

24年度入試は2科目受験を廃止します。事実上、日本学園から「明大世田谷」への完全移行措置と言えるでしょう。

23年度は志願者の学力にかなりの幅がありましたが、2科受験の廃止と合格可能性80%偏差値が大幅に上昇(2月1日の1回目入試で首都圏模試で40→60に、四谷大塚は偏差値表掲載なしから50)した結果、受験層も絞られ、倍率も落ち着く(それでも他の明大系よりは高い可能性大)とみられます。

明大世田谷は「明治大学への推薦入学7割」を掲げています。同じ系属校にあたる明大中野、明大八王子から比べると1割以上も少ないことになります。

それではあまり「おいしくない」、と断じてしまうのは早すぎます。明大世田谷は他の3割を国公立や医学部、理系難関大進学などに力を入れる「もう1つの売り」を兼ね備えた系属校を目指す方針を示しています。

入学時から「明大への推薦権」を保持し、子どもの学力の状態、将来の希望に応じて別ルートも選択できるという方針は、親御さんにとってかなり「おいしい」はずです。

どちらかといういうと、明治進学が「既定路線」で、他大学受験が「異端児」扱いされていた附属・系属の3校ですが、新しいタイプの4校目は「残り3割」の大学合格・進学実績次第で、明大系中高一貫校の中で「一番難しい学校」になる可能性を秘めています

明治大学

「楽しく」「手堅く」の中大附属

MARCH附属系属校で「一番自由」な中高一貫校といわれる中央大附属(東京都小金井市)は、23年度入試で1回目入試は前年比で5%程度の志願者減でしたが、4日の2回目入試は実質倍率が前年比で男子3.5倍→4.2倍、女子が5.8倍→8.0倍と上昇しました。

2回目の実受験者が前年より男女計70人も増えたうえに、1回目入試での合格者の歩留まりが良く、2回目入試の合格者を前年より11人減と絞らざるを得なかった事情がうかがえます。

生徒の自主性が尊重される中高時代を謳歌し、大学は中大の看板学部・法学部に成績の上位3割強が進めるのが特長です。

中大は公務員試験をはじめとする資格試験に学校を挙げてとても力を入れており、時代や社会情勢によってどうなるかわからない就職において「困らない」というイメージが強いです。

中高時代は「楽しく」、大学進学は「手堅く」という流れが、中大の中高一貫校にはあります

8割りが中大に進む「安心感」、その後社会に出る際の「安定感」は子どもより、厳しい社会を生きている親御さんの方が魅力的に感じます。

加えて国公立や中央にない学部の私大受験は推薦権を保持したまま受験できるという「保険」もあります。24年度の1回目入試は「隔年現象」もあって、志願者増の流れになっています。

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