中学受験 合格体験記の向こう側(1)

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冷静に…合格体験記の「読み方」
「奇跡の逆転合格」の裏側には…
勉強法は参考になるが
合格体験記の「過去問神話」
・オリジナルストリーを作る番に

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冷静に…合格体験記の「読み方」

 3月の声を聞くと、各大手進学塾のホームページには、今年の合格体験記が出始めます。まだ興奮冷めやらぬうちに書いた手記は臨場感にあふれ、全く縁もゆかりもない人のストーリーなのに、こちらも読んでいて胸が熱くなります。

 これから受験を控えている5年生以下の生徒、親御さんにはとても合格体験記は参考になる情報や考え方、示唆に富む経験など、宝の山ですが「感動した。頑張ろう」で終わらせないためにも、合格体験記は冷静な「読み方」が必要になってきます。

「奇跡の逆転合格」の裏側には…

 合格体験記で親御さんの感動を誘うのが「奇跡の逆転合格」の話です。模試で一度も合格可能性が80%に達しなかったが本番で逆転合格とか、過去問で一度も合格点に達していなかったのに受かった、というような話です。

 しかし、体験記が伝える「悲惨な状況」は、実際どういう状況だったのか文面からはほとんど分かりません。模試の判定が20%でも、それまでの複数回の平均が50%以上なら心配する必要はありませんし、スイッチが入っていないといっても親御さんが謙遜して書いていることがほとんど。そのあたりを差し引いて読む必要があります。

 温度感は当事者と第三者では違うにもかかわらず、文面からの情報を真に受けて都合よく解釈、厳しい状況でも受かる、と読み手側が安易な希望を抱くのは危険です。最後まで「まだ本気出してないだけ」という逃げの言葉で本番を迎えることになります。結果は見えていますよね。

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勉強法は参考になるが

 「間違えノート」「親と一緒に朝の計算練習」「算数の解法暗記」…、合格体験記にはいろいろな勉強法も披露されています。それぞれの家庭が編み出した“●●家メソッド”を確立して、惜しげもなく公開しているものもあって感服します。

 しかし、その子にはハマっても、我が子には当てはまらない場合もあります。試す価値はありますが、うまくいかなくてもがっかりしないことです。勉強法は人の数だけあって、正解はありません。最大公約数的なものはあっても絶対ではなく、合う合わないが子どもによってあります。そこの判断をするのが親御さんであって、だからこそ子どもの「観察」が必要になってくるのです。

 勉強法は合格体験記に答えを求めるというより、ヒントにするくらいの気持ちで「参考文献」として読んでいくぐらいがちょうどいいでしょう。

合格体験記の「過去問神話」

 「過去問を何度もやった」という手記も時折見かけます。確かに入試説明会では中学側の先生も過去問の重要性を説きます。過去問は必ずしっかり解いて入試に臨む必要はありますが、同じ年度を「何度もやる」というのは、全ての学校で「有効」なわけではありません。。

 受験の成否のカギを握っている算数。中堅校、一般校ならば「過去問反復」はかなり有効です。前年や数年前と全く同じ問題はまず出ないと思っていた方がよいのですが、形式や考え方、単元は同じものが頻出するという学校も多いです。数値を変えただけで同じアプローチをすれば解ける問題が多いのは事実です。

 しかし、難関校だと話は全く違い、「初見の問題」がどれだけ攻略できるか、が命運を決めます。初見、といっても考え方や見る角度を変えればできる問題がほとんど。合格する子は問題を見た時期の瞬間、どう解くかの「方針」を探ります。合格の厳しい子は「こんなもんだいやったことない」で固まってしまい、時間だけが過ぎていきます。

オリジナルストリーを作る番に

 先輩方がどういう道筋をたどり、目標を達成できたかの合格体験記は非常に貴重です。専門家と呼ばれる人たちが、いくら理想的な受験プランや戦略の「シミュレーション」を提供しても「ライブ」には勝てません

 ただ、それは●●家の受験ストーリーであって、同じものは2つとしてありません。合格体験記は「そういう話もある」程度にとどめ、オリジナルのストーリーを今度は自ら確立してください。(受験デザイナー・池ノ内潤)

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