公開模試 合格可能性20%は絶望的なのか

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・「判定」はあてにならない?
・80%と20%の意味するところ
・30~50%の肝は「詰め」次第
・ 一喜一憂するなの意味するところ
「判定」はあてにならない?
よく「模試の合格判定はあてにならない」という言葉を耳にします。半分当たりで、半分外れの言葉です。
「当たり」といえるのは、数千人から、模試によっては1万人以上の中学受験生の生のデータを何十年と蓄積したものから数値を出しているわけですから、客観的な判定として信じざるを得ない「説得力」があります。
一方で、その蓄積されたデータはあくまで他人のものであって、その子個人の可能性までは細部まで分析したわけではありません。それに模試の判定は「現時点でこの試験問題で入試が実施された場合」という条件付きです。
中学受験は入学試験終了の瞬間までの学力の伸び、受験校との問題の相性、当日の心身のコンディションによっても結果が大きく左右されます。
なので、1回くらい模試の結果が良くても悪くてもそれは「参考記録」程度。模試は複数回、できれば同じ塾、業者のものでの平均値、あるいは最高値と最低値を抜いての平均値で見ていくと、おおよその子の「実力」が計れます。
80%と20%の意味するところ
合格可能性「80%」。この数字をコンスタントにマークできれば事実上合格は「鉄板」です。
入試はどんな問題が出題されてもまず合格する、という層がその学校の受験生の2割を占めます。それがまさに模試で80%を連発した受験生です。
逆に合格可能性「20%」が続く状態はどうでしょう。数値は20%とありますが、一部を除いて厳しい結果が入試では待っているといえます。
ひと昔前の大学受験の判定には「5%未満」「志望校の再考をおすすめします」という絶望的な数値と文言がありましたが、現在の「20%」はそれと同等です。
もちろん可能性20%でも合格している子はいます。中学受験ほど「奇跡」が起きる受験はありませんから。
ただ「奇跡」にはちゃんとした「プロローグ」(序章)があります。「奇跡」を起こした子は①遅くても6年生夏から入試まで継続して頑張った子②ケアレスミスを意識して減らした子③多くの問題に触れ経験値を高め、間違いを次につなげるよう丁寧に復習した子、です。
こう見ると実は「奇跡の合格」てはなく、「合格するべくして合格した」のです。偏差値的には模試が終わる12月ではまだ伸びきれず、2月に「間に合った」ということです。
合格可能性20%で合格がクローズアップされるのはレアケースだからです。奇跡を信じたい気持ちは分かりますが、ズバリ言ってしまえば、やることをやっていない限り「棚からぼた餅」は「ほとんど期待できない」というのが本当のところです。

30~50%の肝は「詰め」次第
合格可能性「50%」。文字通り五分五分の戦い、今後の「詰め」が合否を決めるといえます。入試後の追跡調査をみると、本当に半々で明暗が分かれているケースが多いです。
五分五分という緊張感が力を伸ばすのか、入試結果では不合格者の方が上回っているという結果はほとんどなく、「50%」ならば十分有望、事実上60~70%あると思ってもらって大丈夫でしょう。
ただ「詰め」を誤まると、「30%」「40%」の子に逆転負けします。入試が終わるまで緊張感を持って、きめの細かい学習が求められます。
「30%」「40%」も決して悲観する数値ではありません。
「50%」の子とは偏差値にして2~4程度しか変わりません。4教科であと1問ずつ正解するだけで、偏差値が上昇し一気に五分五分の戦いに持っていけます。
「30%」「40%」が続くということは「決定打」に欠けていると言えるので、①得意科目をさらに伸ばす②「ミス」といわれる類のものを丁寧につぶし「残念な失点」を減らすのが近道です。
入試までの時間が限られているので、個人的には勉強が苦にならないよう得意科目が伸びる余地があるのならこちらを優先的に伸ばし偏差値にして65以上できれば70に乗せるくらいのレベルにしたいところです。
得意といっても「これ以上はもう…」なら、4科目でミス撲滅を徹底します。
国語の漢字や記述の書き方、算数の計算ミス、理科と社会の漢字記述の正確さと選択肢問題の細部の違いの確認、などやれることは多いです。ミス撲滅を注意深くやることで集中力が増し、偏差値を3カ月で12上げた子もいます。

一喜一憂するなの意味するところ
模試の結果は良ければ信じたいし、悪ければなかったことにしたいものです。基本的にはそれで構いません。
大切なのは終わった後。模試は一部の「やりすぎた」問題(難問・奇問)は別として、正答率の高い問題ほど復習、解き直し(自力で解答を再現できるようになること)をして、自分の「デキる・使える」のレパートリーに加えることに意味があります。
出題者は各校の入試で出題される可能性が高いものをできるだけ毎回並べています。
各模試で出題された国語の素材文が本番の中学入試でもよく使われる(的中する)のは不思議な話ではなく、それが出題するに値すると複数の専門家が判断したからです。
塾で「模試に一喜一憂するな」の意味は、合格判定や偏差値だけにとらわれず「模試での自分の解答をきっちり見直して入試に生かせ」、ということです。

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