東京出身3割 早稲田佐賀からの早大進学ルート

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・大隈老候生誕の地の系属校
・倍率1.3倍 合格には6割以上を
・東京早大系3校と佐賀の偏差値
・1千万円で「早大進学権」買う?
大隈老候生誕の地の系属校
佐賀県唐津市、唐津城の隣にある早稲田佐賀中学・高校は早稲田大学の系属校です。
東京でいう早稲田実業や早稲田中学・高校と同じ立場。早大への推薦枠を入学定員の最大50%(約120人、各学部10人を限度)持っているのが特徴です。
1882年(明治15年)、早稲田の前身である「東京専門学校」を創設した大隈重信の郷里・佐賀に中高一貫校が登場したのは、2010年(平成22年)でした。
かつては地方の学生がこぞってワセダを目指した時代が長く続きましたが、現在は首都圏の高校出身者が圧倒的多数。地方出身者をワセダへという声が強く、卒業生団体「稲門会」からのリクエストもあり、大隈老候の生誕地である佐賀に白羽の矢が立ったという背景があります。
倍率1.3倍 合格には6割以上を
1月上旬から中旬に中学入試は前哨戦である埼玉入試とともに、各地の学校が東京に試験会場を設け「首都圏入試」を行います。
早稲田佐賀も早大のキャンパスを会場に入試を実施。近年、志願者数、難易度ともに上昇傾向が続いています。
23年度は首都圏入試で508人が志願、6会場で行われた九州入試の493人より多い496人が受験し、合格は387人、実質倍率1.29倍でした。九州入試の方が厳しく、合格者は315人で倍率1.57倍でした。
25年度入試、つまり現5年生が受験する年から算数の得点を1.2倍換算で判定します。
早大は文系の政治経済学部の一般入試でも算数を課すなど「数学重視」の姿勢ですが、大学側の要請も少なからずある「変更」と思われます。
入学は定員より多い143人(男子85人、女子58人)。合格最低点は非公表ですが、受験者平均は173点(300点満点、国算各100点、理社各50点)。学校側は「180点から200点弱が合格の目安」と説明しています。
偏差値はこのところそれほど変わらず、23年の結果偏差値は四谷大塚でAライン(合格80%)偏差値が男子57、女子は59です。区分で言えば「難関校」一歩手前の「上位校」レベルといえます。

東京早大系3校と佐賀の偏差値
気になるのは東京や関東の出身者がどれくらい在籍しているかです。
23年4月時点で中学3学年で、27都道府県出身の390人(男子249人、女子141人)が在籍。うち東京出身は131人で3割を超え、福岡の127人を上回り、実はトップです。
地元佐賀は32人。神奈川23人、千葉19人、埼玉8人で、東京と合わせると首都圏だけで約46%を占めています。
大隈老候の幼名にちなんでつけられた寮「八太郎館」には中高合わせて約700人が生活しています。
寮費は年間約92万円(1日3食付、1年目のみ入寮費別途15万円)。4人1部屋の共同生活(高2からは個室)、スマホ禁止、寮に帰ってもきっちり勉強時間が設けられており、寮以外でも校則は厳しめの学校です。自分の思うようにいかない生活は「青春」謳歌したい10代には少々窮屈になるかもしれません。
敢えて遠く離れた佐賀で寮生活をしてまで早稲田佐賀に中学から進む背景には、首都圏の早大付属・系属校の難易度の高さがあります。
同じ四谷大塚での偏差値で見れば、早大に全員進学できる早大学院と、早大だけでなく23年度は東大にも39人合格した早稲田中・高は偏差値64(四谷Aライン偏差値)、共学の早稲田実業は男子が63、女子68。佐賀のAライン偏差値ではこの3校ともCライン(50%偏差値)にも達しない、という状況です。
入試難度という点を考えると「九州ルートから早大逆上陸」というのは、「どうしてもワセダ」という熱望組にはあり得る「選択肢」なのです。
早稲田佐賀過去3年の早大学部別推薦合格者数
学部 | 23年 | 22年 | 21年 |
---|---|---|---|
政治経済 | 7 | 10 | 9 |
法 | 6 | 7 | 8 |
教育 | 9 | 10 | 9 |
商 | 9 | 10 | 9 |
社会科学 | 8 | 10 | 9 |
国際教養 | 7 | 9 | 8 |
文化構想 | 10 | 10 | 7 |
文 | 10 | 10 | 3 |
基礎理工 | 4 | 8 | 8 |
創造理工 | 1 | 2 | 5 |
先進理工 | 1 | 4 | 3 |
人間科学 | 10 | 10 | 6 |
スポーツ | 10 | 10 | 7 |
合計 | 92 | 110 | 91 |
1千万円は必要 「隠れ条件」も
概ね普段の学業成績、学校生活の態度などで早大推薦権を得られる早稲田佐賀ですが、英検2級必須、河合塾の全統一模試で偏差値60以上が目安といった「隠れ条件」も存在します。
推薦の自己アピール用の動画を作成しプレゼンするなど、早大への道は越えなければならないハードルがいくつかあります。
親御さんにとっては金銭面も気になります。
首都圏から佐賀で6年間過ごすことになるとすれば、学費と寮費に諸々の雑費を合わせてざっと1千万円程度は必要です。
早大への推薦も半数と考えれば、お金を出すだけで早稲田進学が手に入るわけではなく、近づくというだけで、やはり中学へ入っても勉強を頑張らなければならないのは変わりません。寮でも勉強時間が決められ、チューターらがそれを管理する体制です。
それでも子息を、愛娘を「ワセダへ」という親御さんにとっては、経済的に耐えうるのなら「あり」の選択肢なのです。
早大だけでなく東大や慶應、九州大か国公立医学部への進学者数も多い学校で、そのあたりの面倒見も良く「早大一辺倒」というわけではありません。
ただ同校が掲げる「早稲田佐賀VISION25」の5つの目標の筆頭は「系属校として推薦枠50%からの飛躍」です。創立25周年となる2035年までに、早大への推薦枠をさらに拡大していく方針は明白。九州ルートは今後も注目です。

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