中学受験 難関校が英語入試を積極導入しない理由

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英語入試8年で約10倍も…
なぜ英語入試は「鈍化」?
英語の入試問題作成の難しさ
・英語入試で合格、入学後は大変?

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英語入試9年で約10倍も…

中学受験で英語による入試を実施する学校があります。

首都圏模試センターの調べによると、2023年度に英語入試を実施した中学は、141校(帰国生入試を除く)。14年度に英語入試を行ったのが15校で、9年の間に約10倍に増えました。 

1都3県の私立中学約300校の半数近くが英語入試を導入していることになります。

小学校の新学習指導要領改訂で英語が5年生から「教科」として扱われることになって4年が経過しましたが、英語入試導入の勢いは実は「鈍化」している様相です。

21年度から22年度にかけて、英語入試を新設したのは3校、22年から23年にかけては5校減りました。積極的に導入しているという流れではありません

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その一方で、英語を使った入試形態が多様化しているという「進化」もみられます

「英検利用」入試など、小学校の時にあらかじめ検定試験を受けて合格した実績を中学校側に申告、それを「5級なら80点、4級なら90点、3級なら100点」のように点数に換算し、入試の得点として加算する方式も目立ってきています。

英語入試の進化系として注目されるのが、女子校の山脇学園の「英語AL(アダプティブラーニング)入試」です。英語の試験ではなく、出願資格が「英検3級以上の合格」で、これに算数の入試が課されるというものです。「英語ができるだけではダメで、大学進学を見据えて算数(数学)ができる子歓迎」という入試です。

なぜ英語入試は「鈍化」?

「グローバル教育」の名のもとに、私立中高一貫校は「ほぼ全て」と言っても過言ではないくらい英語に力を入れています。

それでも半数の学校が、特に偏差値的に見て難関校とされる中学が、英語入試を行っていないのはなぜでしょうか。

広尾学園系や三田国際などに代表されるインターナショナルクラスなど、英語に特化したコースを設置したり、帰国生枠は別として、最初から英語ができなくても「独自カリキュラムでできるようにする」というスタンスの中学校は割と多いです。

英語教育の手法に各校ともそれなりの「自信」を持っているのです。

難関校は入学後、独自の英語テキストやプリントで授業を進め、最初から少人数あるいはレベル別で生徒たちを鍛えます。

自らのメソッドがあることで、学校側の説明からは入学前の生半可な英語力ならいらないという雰囲気が伝わってきます。

それよりも進度の早い中学の授業についていける国語と算数(数学)の基礎力と、英数国に勉強時間を割けるために、入学時点で高いレベルの理社の知識、考察力を持っている子を中学側は「欲しい」と考えています

英語の入試問題作成の難しさ

英語入試は「難度をどのレベルに設定するか」という難しさもあります。

帰国子女が受ける英検準2、2級レベルを出題すれば選抜試験として成り立ちますが、そこまでのレベルを広く一般受験生に求めるのは、事実上無理です。

私立の中学入試と言えども、学習指導要領の範囲内で作問するという「建前」から逸脱せざるを得なくなるからです。

それに英語を入試に全面導入すると大手進学塾がその対策をしなければならなくなり、その余波で、たとえば理社の比重が軽くなるとかの方向へ進むと、塾側が「機構改革」を余儀なくされます

多くの「人材」を送り込んでくれる塾と、それを受け入れる中学校はある意味「持ちつ持たれつ」です。塾に負担がかかる急な制度改革へ、中学が舵を切るのは「大人の事情」もあって、簡単ではないのです。

英語入試で合格、入学後は大変?

現状の英語入試は、オーソドックスな筆記試験にリスニング、面接でのスピーキング、ネイティブとの会話、英語でのプレゼンテーションなどで、学校によって違います。

国語、算数のどちらか1科目と英語というパターンや英語のみなど、パターンもそれぞれです。英検準2級以上で筆記試験免除、面接のみで入学というケースもあります。 

年々難化する4科目入試で「つらい思い」をするより、英語に全精力を傾けて中学へという選択肢も十分考えられる入学ルートです。 

ですが、「英語組」は入学後、結構頑張らないと4科で入学してきた子に後れを取りがちです。

4科入試で入ってきた生徒のレベルはどの学校でも高く、通常授業の進度も早く内容もそれなりなので、ついて行くことが大変です。英語以外は毎日のように放課後補習、ということもあり得ます。

中学側は「定員確保」と英語ができるという大学進学で大きなアドバンテージとなる「将来性」で、入試の間口を広げて英語のみでも入れてくれますが、入学後は甘くないです。

英語で中高一貫校進学も楽ではありません

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